リアルワールドデータの活用に向けた製造販売後調査の手法の確立に向けた研究

文献情報

文献番号
202424049A
報告書区分
総括
研究課題名
リアルワールドデータの活用に向けた製造販売後調査の手法の確立に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24KC1008
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
成川 衛(学校法人北里研究所 北里大学 薬学部臨床医学(医薬開発学))
研究分担者(所属機関)
  • 間宮 弘晃(立命館大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
3,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、リアルワールドデータ(RWD)の活用を推進する観点から、「製造販売後の医薬品安全性監視における医療情報データベースの利用に関する基本的考え方について」(平成29年6月9日 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長・安全対策課長通知)等の内容を発展させ、個々の医薬品の特性やリサーチクエスチョンに応じて適切な調査手法を選択するための具体的な考え方の整理及び提案を行うことを目的とする。
研究方法
研究初年度である本年度は、今後の研究の基礎情報を収集する目的で、欧州における市販後安全性監視活動の状況を把握するべく欧州医薬品庁(EMA)における医薬品安全性監視リスク評価委員会、RWD Catalogues、Darwin EU等の情報を収集・分析した。また、米国におけるRWD活用の実態について米国食品医薬品局(FDA)が2008年に開始したSentinel Initiativeのデータを用いて調査を行った。さらに、我が国については、改正GPSP(医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令)の施行から数年を経て承認された新有効成分含有医薬品を対象に、製造販売後調査の変化の状況を調査した。
結果と考察
欧州については、2010年代に実施された市販後研究の多くが観察研究であり、それらの6割強が既存医療データの2次利用(いわゆるデータベース研究)によるものであった。RWD Cataloguesに登録された近年の市販後安全性研究についても、その多くが観察研究であり、また、目的別ではRMPに基づくリスク最小化策の実施状況評価を目的とする研究も多く含まれていた。なお、台湾においても、国民健康保険研究データベース(NHIRD)を用いた種々のタイプの市販後安全性監視活動が行われていることが把握できた。
米国については、Sentinelを用いたデータに基づいて添付文書改訂等の規制措置が行われている具体例がいくつか確認できた。全ての判断がSentinelのデータのみを用いて行われているものではないものの、規制の強化を目的とするもの以外にも、規制解除への活用やリスクの増大がないことの確認などの様々な活用事例が把握できた。
日本の状況については、2020~2023年に承認された新有効成分含有医薬品の製造販売後調査としては、使用成績調査が依然として多く実施されていた。改正GPSP省令施行後に新設された使用成績比較調査は1調査にとどまった一方、データベース調査の実施割合は増加傾向が示された。
結論
個々の医薬品の特性やリサーチクエスチョンに応じて、医薬品市販後の安全性監視活動における適切な調査手法を選択するための考え方の整理を行う上での基礎資料を得ることを目的に、日本、欧州及び米国等における市販後安全性監視活動の状況を調査した。欧州では、既存医療データの2次利用による市販後調査が多く実施されていることが確認され、米国についても、Sentinelを用いた添付文書等による規制措置の強化や解除、リスクの増大がないことの確認など、RWDの様々な活用事例が示された。今後もこれらに関する詳細調査を継続しつつ、得られた情報を参考に、我が国の製造販売後調査における、リサーチクエスチョン等に応じた適切な調査手法の選択の考え方のさらなる具体化に向けた検討を行っていくこととしたい。近年の日本の承認新薬においては、改正GPSP省令で新設されたデータベース調査の実施割合は増加傾向にあった。データベース調査環境の整備や調査手法の多様化が進み、安全性検討事項に対する調査がより積極的に実施されるようになった可能性がある。今後、2024年の情報を加えて、製造販売後調査の動向を継続的に評価していく予定である。

公開日・更新日

公開日
2025-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-06-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
202424049Z