ヘルスケアとセルフケアのプロセス統合DXを目指す戦略的国際標準化

文献情報

文献番号
202421069A
報告書区分
総括
研究課題名
ヘルスケアとセルフケアのプロセス統合DXを目指す戦略的国際標準化
研究課題名(英字)
-
課題番号
24IA1019
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
中島 直樹(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院 医療情報学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 中尾 浩一(済生会熊本病院)
  • 岡田 美保子(一般社団法人医療データ活用基盤整備機構)
  • 羽藤 慎二(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター) 消化器外科)
  • 山下 貴範(国立大学法人 九州大学 病院 メディカル・インフォメーションセンター)
  • 佐藤 直市(九州大学 九州大学病院)
  • 錦谷 まりこ(九州大学 データ駆動イノベーション推進本部 健康医療DX推進部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
91,070,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
デジタル化で日本に先行する欧米・アジア諸国が、健康・医療プロセス管理機能開発でも先行する前に、国際標準化の主導のためにいち早く国内外でビジネスモデルの創出戦略を打ち立てる。これには、健康・医療分野のみならず、異産業分野においてもマルチモーダルな健康・医療情報を職の確保(例えば運動能力の評価など)に用い、また、異産業領域のデータを健康・医療目的に用いるクロスモーダルな活用をビジネスモデル創出に含めている。また、国際標準化機構ISO/TC215のワーキンググループにおいてTS発行に向けて手続きを進める。さらには、国際標準化やビジネスモデル確立へ向けて健康医療情報関連企業、あるいは異産業領域の国内外の企業を巻き込んだ実証を進める。結果として患者・市民と医療者間の双方向連携で得られる生活圏の日常データも用いた改善サイクルであるLHSを迅速に回す実システムの国内普及と、汎用性ある健康・医療プロセスモデルの国際規格の標準化を同時並行して進め、産業の壁を越えたオープンクローズ戦略の実践をはかる。
研究方法
戦略的国際規格化に関する分析およびビジネスモデル創出
戦略的国際規格化に関する分析、ヘルスケアプロセス管理のバリューチェーン分解、ニーズ分析、対象市場の調査、ビジネスモデルの仮説検証を行い、具体的なビジネスモデル、ビジネスプランを策定する。
プロセスモデル策定と国際標準規格開発
個人の日常行動の記録、行動変容、退院後(予後)や慢性疾患の自己管理等をユースケースとして医療LHSと個人LHSを連携させたヘルスケアプロセスの精密分析を行う。特許等の知財化について検討する。
ISO/TC215(Health Informatics)に提案し、WG1(Architecture, Frameworks and Models)とWG11(Personalized Digital Health)によるヘルスケアプロセス管理の国際規格開発を推進する。
「生活習慣病PHR推奨項目セット」の国際標準化を推進する。
ユースケースに基づいたプロセス記述の精緻化
国際標準化の論拠として、個人LHSと医療機関LHSを同期して接続する外来パスにおけるプロセスモデルの詳細記述とシステムによる実現可能性の検証を行う。
医療LHSと個人LHSの間の双方向コミュニケーションのHL7 FHIRによる連携仕様を策定する。
結果と考察
「健康経営高度化サービス」「長寿高齢化社会・高度健康支援」について仮説を検証しビジネスモデルを策定した。
健康医療領域外でクロスモーダルにデータを相互活用するビジネス創出として、ドライバー職の継続可能性評価や運転能力の低下予防サービスなどによる安全・安心な社会作りとして、高齢者等の運転能力を病名(てんかん、睡眠障害、認知症等)、視覚/運動/認知機能、センサを用いた運転能力のスコア化など客観的な運転継続可否を判定する基準案を作成し、高齢者などの運転継続判定への同モデル適用実現性を確認した。
健康医療プロセス管理モデルは改訂し、New Work Item Proposal(新作業項目提案)の投票で2025年3月に正式に採択され、ISO/TC215の作業項目として登録された。2027年12月末にISO/TS(Technical Specification)の発行を目標とされた。
生活習慣病自己管理項目セットとCDISC標準との項目レベルでの対応関係を整理した。CDISC標準Biomedical Conceptを導入、各項目間の整合性を調査して、その結果をCDISC HPに白書として公表した。
データ交換のためのePathメッセージ(医療情報学会標準規格)について、国際標準規格(HL7 FHIR)仕様に変換するためHL7 FHIR実装ガイド(FHIR IG)を作成した。国内普及のためにHELICS標準へ申請予定である。
診療ユースケース(糖尿病、がん外来化学療法、全人工股関節置換術)を対象に医療者側、患者側のシナリオに基づいたモデルを検証、精緻化を実施した。
2023年度開発のEHR-PHR連携基盤を用いて実患者を用いた実証を行い、医療者と実患者アンケートを収集して、同基盤運用における課題を抽出した。
結論
健康医療プロセス管理手法のビジネスモデル構築を目的とし、戦略的に複数の国際標準規格化を進めた。健康医療プロセス管理の高次データモデルの頑強化を目的として、その実装システムであるEHR-PHR連携基盤の実証により課題抽出、フィードバックを行った。これらを基盤としたビジネスモデルとして、医療施設の業務効率化、健康経営の促進、AIサービスの高付加価値化が考えられた。加えて、異業種連携間でのクロスモーダルなデータ活用は、健康医療プロセスの改善のみならず、個人のWell-being向上や社会課題解決に寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2025-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-05-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202421069C

収支報告書

文献番号
202421069Z