精神・神経疾患関連バイオマーカー探索による創薬基盤研究

文献情報

文献番号
201010006A
報告書区分
総括
研究課題名
精神・神経疾患関連バイオマーカー探索による創薬基盤研究
課題番号
H20-バイオ・一般-010
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
後藤 雄一(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 高坂 新一(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所)
  • 功刀 浩(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第三部)
  • 山村 隆(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所免疫研究部)
  • 和田 圭司(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第四部)
  • 有馬 邦正(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター病院 第一精神診療部)
  • 村田 美穂(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター病院 神経内科診療部)
  • 吉田 寿美子(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター病院 臨床検査部)
  • 中川 栄二(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科)
  • 林 由起子(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第一部)
  • 金子 勲(大正製薬(株) 研究企画部)
  • 小紫 俊(大正製薬(株) 薬理機能研究所)
  • 茶木 茂之(大正製薬(株) 薬理機能研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
26,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
精神・神経疾患はその病因、病態の複雑さのために、治療薬開発が最も遅れている分野である。ヒトゲノムプロジェクトの成果を受けて、網羅的なゲノム解析手法で疾患関連遺伝子及びその産物が同定されてきているが、それらが病態にどう関わるかについて理解し、さらに創薬に結びつけるには、「たんぱく質レベル」の動態の把握が必要である。平成15年度?平成19年度に行った精神・神経疾患プロテオーム研究において、血液を用いた解析に比べ、髄液を用いた解析では、数多くの神経特異的たんぱく質の同定が可能で、中枢神経の状態を直接的に反映していることが実証された。その手法を最大限活用し、各種の精神・神経疾患患者から採取した髄液のプロテオーム解析を出発点として疾患特異的に変動するたんぱく質を見いだし、診断、病勢、薬効を判定する際に有効なバイオマーカーを同定し、さらにはそのたんぱく質及び関連するたんぱく質の機能解析を行うことで創薬に結びつけることが本研究の目的である。
研究方法
(A)髄液等の患者試料と情報の収集、(B)プロテオーム解析、(C)疾患特異的バイオマーカー同定に向けた研究、(D)臨床応用と創薬研究という研究内容の区分がある。そのうち、本年度は(A)については、 分担研究者のいる診療科及び臨床検査部と連携して、髄液採取のシステムを構築して多数例の髄液を確保する。(B)については、患者髄液2mLからの解析法を確定し、個々の患者の測定を実行する。
結果と考察
(A)疾患患者髄液の登録については、国立精神・神経医療研究センター病院各診療科との連携で髄液試料確保のシステムが整備できた、約1年間で150例の髄液を収集した。(B)については、前処理法を確定し、統合失調症13例、健常者13例のプロテオーム解析を終了した。のべ600余りのタンパク質を同定できたが、各症例に共通して同定されたタンパク質数が比較的少なく、疾患特異性の検討を行うためには質量分析データをさらに詳細に解析する必要がある。
結論
統合失調症における疾患特異的バイオマーカー同定に向けた研究が推進できた。今後は見いだされたバイオマーカー候補のバリデーションを行うことで、疾患特異性を確実にできると期待できる。また、来年度には気分障害についても解析を行うことができる。

公開日・更新日

公開日
2011-08-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201010006Z