かかりつけ医機能報告のための医師の研修項目の詳細な整理等を行う研究

文献情報

文献番号
202421068A
報告書区分
総括
研究課題名
かかりつけ医機能報告のための医師の研修項目の詳細な整理等を行う研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24IA2017
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 仁志(秋田大学大学院 医学系研究科 医学教育学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 今村 英仁(公益社団法人日本医師会)
  • 江澤 和彦(公益社団法人日本医師会)
  • 大橋 博樹(医療法人社団家族の森 多摩ファミリークリニック)
  • 織田 正道(公益社団法人全日本病院協会)
  • 神崎 恒一(杏林大学 医学部高齢医学)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
2,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
超高齢社会と生産年齢人口の減少が進む中、地域の医療ニーズに応じた教育・研修の充実が必要となっている。本研究は、令和7年4月に施行される改正医療法に基づく「かかりつけ医機能報告制度」における「かかりつけ医機能に関する研修の修了者の有無」に関する報告に資する具体的な研修項目を検討し整理することを目的とした。
研究方法
研究体制としては、研究代表者による総括検討委員会のもとに、3つのテーマ別作業班を設け、①頻度の高い疾患への対応および初期救急、②高齢者診療・介護制度・障害者支援、③在宅医療・多職種連携・医療DXの3領域において関連学会の協力を得て検討し、座学研修(知識)および実地研修(経験)の内容を体系的に整理した。適宜、統括検討委員会で全体調整を行った。
結果と考察
第1班は、頻度の高い疾患および初期救急対応に関し、診療の初期対応、鑑別診断、マネジメント、緊急時対応、専門医紹介までをカバーする体系的な内容を提示した。第2班は、高齢者診療や介護・障害者福祉制度に焦点を当て、老年症候群、認知症、生活習慣病、感染症、がんケア、多職種連携等の幅広い観点から研修項目を整理した。また、障害者への合理的配慮や医療機関での対応も詳細に検討された。第3班は、在宅医療導入、多職種連携、医療DXを活用した医療提供に関する研修項目を構築し、地域包括ケアの中核を担う医師の育成を見据えた実践的な視点を提供した。また、実地研修(経験)についても、診療を通じた実践的理解と実践力の養成を目的に、幅広い診療領域での対応、入退院支援、在宅医療、介護・障害者福祉との連携、地域保健活動等が望ましい内容として整理された。これらは、研修実施団体が各医師の実践を評価する形式を想定し、選択性を担保する設計となっている。座学研修はEラーニングや各種研修会、学会活動を通じて提供され、医師が自身のニーズや地域特性に応じて柔軟に選択できるように構成されている。とくに、かかりつけ医機能に求められる知識は疾患対応にとどまらず、チーム医療や在宅ケア、福祉制度との連携、さらには合理的配慮といった医療と社会を結ぶ知識の強化が重視された。
結論
本研究は、かかりつけ医機能報告に対応する研修の全体像を整理し、実地研修と座学研修の両面から、実践的かつ柔軟な学びを支える教育体系の基盤を提示した。今後は、本研究成果に基づき、研修実施団体による体系的な研修展開とEラーニング教材の開発等が進められ、地域医療の質向上と持続可能な制度運用の一助となることが期待される。本研究の成果が、今後、新たにかかりつけ医機能報告のための研修実施を検討する各研修実施団体によって活用され、かかりつけ医機能の質的向上と地域包括ケアの推進に資することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2025-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-06-03
更新日
2025-06-10

行政効果報告

文献番号
202421068C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究は、令和7年施行の「かかりつけ医機能報告制度」に資するため、医師の研修項目を詳細に整理し、知識面の座学研修と経験に基づく実地研修の体系化を図った。地域や医師の多様な実情に応じて選択可能な柔軟な研修体系を構築し、Eラーニング教材の整備方針も示した点が特色である。今後の研修実施団体による活用が期待され、かかりつけ医機能の質的向上と地域包括ケアの充実に資する重要な学術的成果である。
臨床的観点からの成果
本研究は、頻度の高い疾患や初期救急、高齢者診療、在宅医療など、臨床現場で求められる幅広い対応力を備えたかかりつけ医の育成を目的に、実践的な研修項目を体系的に整理した。実地研修では、地域医療・多職種連携・ACP等の臨床活動を評価対象とし、日常診療と直結する形で実践力を高める設計となっている。これにより、医師が地域や患者のニーズに即した臨床能力を柔軟に強化できる点が、本研究の大きな臨床的成果である。
ガイドライン等の開発
本研究では、頻度の高い疾患や高齢者診療、在宅医療等の分野ごとに、臨床現場で必要とされる知識・技能を体系的に整理したことにより、今後の各分野における研修や教育のガイドライン開発の基盤を提供した点が大きな成果である。とくに、地域医療や多職種連携に関する実践的視点を踏まえた項目設定は、標準化と柔軟性を両立する今後のガイドライン策定に向けて極めて実用的な指針となる。
その他行政的観点からの成果
本研究は、令和7年4月に施行される改正医療法に基づく「かかりつけ医機能報告制度」における研修の在り方を明確化するため、座学および実地研修の具体的項目を体系的に整理した。その成果は、今後、各種研修制度設計や周知に向けた予算要求資料の基礎データとしても提供される見込みである。これにより、医師研修の標準化と地域に即した柔軟な制度運用の両立を実現し、厚生労働行政の制度整備と医療提供体制の強化に大きく貢献するものである。
その他のインパクト
本研究の成果は、地域住民の多様な医療ニーズに応えるかかりつけ医の育成を促進し、医療の質とアクセスの向上に寄与する点で、極めて大きな社会的意義を有する。今後は、一般向けパンフレットの作成や、医療関係者向けの講演・シンポジウムの開催を通じて、普及・啓発が進められることが期待される。また、医療政策関連誌への掲載を通じ、医療界や行政機関への広範な発信も見込まれる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2025-06-03
更新日
-

収支報告書

文献番号
202421068Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,640,000円
(2)補助金確定額
3,640,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,010,830円
人件費・謝金 476,000円
旅費 300,790円
その他 12,380円
間接経費 840,000円
合計 3,640,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2025-06-03
更新日
-