文献情報
文献番号
202406039A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオ後続品の有効性・安全性をリアルワールドで体系的に評価するシステムの確立
研究課題名(英字)
-
課題番号
24CA2039
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
岩上 将夫(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
研究分担者(所属機関)
- 石井 明子(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
- 酒井 良子(明治薬科大学薬学部)
- 堀口 逸子(慶應義塾大学医学部)
- 松元 美奈子(慶應義塾大学 医学部 衛生学公衆衛生学教室)
- 間宮 弘晃(国際医療福祉大学成田薬学部)
- 熊澤 良祐(明治薬科大学 公衆衛生・疫学研究室)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
5,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
バイオ後続品(バイオシミラー)の有効性、安全性について、単に承認審査時に同等性/同質性が確認されていることだけでなく、臨床使用実態下で有効かつ安全に使用可能であるというエビデンスを収集し、医療現場に周知していくことがバイオシミラーの使用を促進するうえで喫緊の課題になっている。そこで、国内外におけるバイオシミラーに関するリアルワールドデータ(RWD)を用いた有効性及び安全性に係るエビデンスの創出状況を整理するとともに、日本のデータベース利活用環境下においてバイオシミラーの有効性及び安全性情報をどのように創出できるか、成分ごとに検討・整理することを目的とした(目的1)。併せて、情報発信のテンプレートの作成など、医療機関や国民に向けた効果的な情報提供の方法についても整理することを目的とした(目的2)。さらに、日本のバイオシミラーの切り替えの実態および切り替えを促進するための課題抽出を行うことも副次的な目的とした(目的3)。
研究方法
目的1のために①文献調査、②既承認バイオシミラーのエビデンス創出方法の検討(研究班会議でのディスカッション、専門医へのヒアリング)を行った。目的2のために①情報発信のテンプレート作成、②規制当局からの情報発信の手法の検討(研究班会議でのディスカッション)を行った。目的3のために①市販のRWDを用いた使用実態の解析、②医療従事者へのヒアリングを通じた課題抽出、を行った。
結果と考察
目的1①:バイオシミラーと先行品の有効性・安全性を比較した文献はPubMed上で75件(日本8件、アジア10件、北米16件、ヨーロッパ41件)が確認され、RWDの種類の内訳はレセプト18件、電子カルテ32件、レジストリ18件、その他9件であった。欧米の規制当局が主導で行なった検証事例は認められなかったが、日本の規制当局からは、2022年に「バイオ後続品の安全性評価へのMID-NET®利用可能性の検討」が行われていた。
目的1②:各医療情報データベース(レセプト基盤、病院基盤、レジストリに大別)の長所・短所(得られる情報、追跡性など)を整理した。安全性については、各バイオシミラーについてプライマリエンドポイントを1つ設定するよりも、(1) 添付文書上の「重大な副作用」、(2)採血値で定義できる指標、(3)疾患定義がバリデーションされているアウトカムといった切り口で、複数あるいは(ある程度)網羅的に設定し、先行品開始者との間で頻度を比較する、あるいは切り替えた患者の中で前後比較する可能性が考えられた。一方、有効性については、まず添付文書に記載されている臨床試験のプライマリエンドポイントがRWDから得られるかどうかが検討課題となった。現17成分のうち、これが採血値であったものは8成分あり、病院基盤データベースで比較できることが想定された。それ以外の品目については、計11人の専門医にヒアリングを行い、一部の成分のプライマリエンドポイント(例:関節リウマチのDASスコア)は既存のレジストリで収集されていることからレジストリで比較できる可能性が挙げられた。それ以外については、代替エンドポイントの設定が提案された。
目的2①:後発医薬品に対するブルーブックを参考に、バイオシミラーに関する情報提供のためのデータ集として、パープルブックの内容案が示され、研究班会議にて概ね同意が得られた。
目的2②:規制当局からの情報発信として、パープルブックデータシート作成の手引きとイメージ例が作成され、ジェネリック医薬品・バイオシミラー品質情報検討会Webサイトでの情報発信の準備が整えられた。
目的3①:JMDC保険者データを購入し、2005~2024年における各バイオシミラーの処方トレンドおよび個人レベル・施設レベルでの切り替えの実態を見える化した。
目的3②:9市中病院と3診療所にてヒアリングを行った。市中病院では先人を切ってバイオシミラーを使う怖さがあるため、近隣の大学病院の使用実績があると採用しやすいといった意見が抽出された。またDPC導入病院では高い経済効果を見込んでバイオシミラーの採用を進めているため、入院患者は自動的に院内で採用しているバイオシミラーを使用することになる一方で、外来患者に対してバイオシミラーについて説明する場合は、資材を用いた説明は限定的で口頭での説明が主であり、時間の制約もあるため医療従事者の負担感が大きいこと、患者への周知とプロモーションの強化が必要といった意見が抽出された。診療所においてはバイオシミラーの有効性・安全性に関する十分な臨床データや、医療機関・患者両者に対する費用の優位性についての情報が必要といった意見が抽出された。
目的1②:各医療情報データベース(レセプト基盤、病院基盤、レジストリに大別)の長所・短所(得られる情報、追跡性など)を整理した。安全性については、各バイオシミラーについてプライマリエンドポイントを1つ設定するよりも、(1) 添付文書上の「重大な副作用」、(2)採血値で定義できる指標、(3)疾患定義がバリデーションされているアウトカムといった切り口で、複数あるいは(ある程度)網羅的に設定し、先行品開始者との間で頻度を比較する、あるいは切り替えた患者の中で前後比較する可能性が考えられた。一方、有効性については、まず添付文書に記載されている臨床試験のプライマリエンドポイントがRWDから得られるかどうかが検討課題となった。現17成分のうち、これが採血値であったものは8成分あり、病院基盤データベースで比較できることが想定された。それ以外の品目については、計11人の専門医にヒアリングを行い、一部の成分のプライマリエンドポイント(例:関節リウマチのDASスコア)は既存のレジストリで収集されていることからレジストリで比較できる可能性が挙げられた。それ以外については、代替エンドポイントの設定が提案された。
目的2①:後発医薬品に対するブルーブックを参考に、バイオシミラーに関する情報提供のためのデータ集として、パープルブックの内容案が示され、研究班会議にて概ね同意が得られた。
目的2②:規制当局からの情報発信として、パープルブックデータシート作成の手引きとイメージ例が作成され、ジェネリック医薬品・バイオシミラー品質情報検討会Webサイトでの情報発信の準備が整えられた。
目的3①:JMDC保険者データを購入し、2005~2024年における各バイオシミラーの処方トレンドおよび個人レベル・施設レベルでの切り替えの実態を見える化した。
目的3②:9市中病院と3診療所にてヒアリングを行った。市中病院では先人を切ってバイオシミラーを使う怖さがあるため、近隣の大学病院の使用実績があると採用しやすいといった意見が抽出された。またDPC導入病院では高い経済効果を見込んでバイオシミラーの採用を進めているため、入院患者は自動的に院内で採用しているバイオシミラーを使用することになる一方で、外来患者に対してバイオシミラーについて説明する場合は、資材を用いた説明は限定的で口頭での説明が主であり、時間の制約もあるため医療従事者の負担感が大きいこと、患者への周知とプロモーションの強化が必要といった意見が抽出された。診療所においてはバイオシミラーの有効性・安全性に関する十分な臨床データや、医療機関・患者両者に対する費用の優位性についての情報が必要といった意見が抽出された。
結論
日本でバイオシミラーの有効性・安全性をリアルワールドで体系的に評価し、効果的に情報発信するための土台となる考え方が整理された。
公開日・更新日
公開日
2025-09-11
更新日
-