文献情報
文献番号
202406037A
報告書区分
総括
研究課題名
造血幹細胞移植に用いる臍帯血の品質管理に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24CA2037
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
内田 直之(虎の門病院 血液内科)
研究分担者(所属機関)
- 荒木 延夫( NPO法人兵庫さい帯血バンク 臍帯血事業部品質管理部門)
- 伊木 繁雄(国立感染症研究所 安全実験管理部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
4,225,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
造血幹細胞移植は、白血病など難治性血液疾患に対して有効な治療法である。本邦では臍帯血移植が年間同種造血幹細胞移植3,800件中1,300件と最も多く実施され、移植用臍帯血は全国に6箇所の公的臍帯血バンクより提供されている。
造血幹細胞移植に用いる臍帯血の品質に関しては、「移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令の運用に関する指針(ガイドライン)(平成31年3月14日改訂)」に一定の記載はあるものの、臍帯血調製環境中の浮遊菌・落下菌検査実施のタイミングや菌検出時の対応について、具体的に定めたガイドライン等は存在しない。こうした現状の中、一部の臍帯血バンクの落下菌検査で断続的に陽性結果となり、その際に調製した臍帯血が公開に至らない事例が発生した。造血幹細胞移植を安全性の確保された体制で推進するため、落下菌検査陽性の原因究明に加え、上記を明確化したガイドラインやその作成及びコンタミネーション防止対策の確立は急務である。本研究では、文献的検索および実証実験等を実施し、提言を作成することで、臍帯血移植を含む造血幹細胞移植医療の適切な運用の一助とする。
造血幹細胞移植に用いる臍帯血の品質に関しては、「移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令の運用に関する指針(ガイドライン)(平成31年3月14日改訂)」に一定の記載はあるものの、臍帯血調製環境中の浮遊菌・落下菌検査実施のタイミングや菌検出時の対応について、具体的に定めたガイドライン等は存在しない。こうした現状の中、一部の臍帯血バンクの落下菌検査で断続的に陽性結果となり、その際に調製した臍帯血が公開に至らない事例が発生した。造血幹細胞移植を安全性の確保された体制で推進するため、落下菌検査陽性の原因究明に加え、上記を明確化したガイドラインやその作成及びコンタミネーション防止対策の確立は急務である。本研究では、文献的検索および実証実験等を実施し、提言を作成することで、臍帯血移植を含む造血幹細胞移植医療の適切な運用の一助とする。
研究方法
1)文献等を用いた、臍帯血調製時の適切な菌検出法の検証
国内・海外例や他再生医療等製品の調製状況を含めた状況(細菌検出法のみならず、頻度・調査場所等を含む)を文献検索や取材及び作業環境の確認を通じ調査した。
2)微粒子測定器設置によるクリーンルーム内の常時汚染状況モニタリング
4つの臍帯血バンク施設 で安全キャビネット、クリーンルーム内でのパーティクルカウンタを用いた微粒子測定を1か月間実施した。最大許容微粒子数 (個/m3) は「第十七改正日本薬局方、無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」(以下 薬局方指針)に従った。
3)さい帯血バンクのリスク評価に基づくモニタリング手法とリスクマネジメントに関する考察
4か所の臍帯血バンク各事業所で、環境モニタリングや教育訓練、施設・設備メンテナンスについて事前アンケート調査を行った。また、2度の現地調査を実施し、1回目はSOPの内容・作業区域の現場状況の確認、バイオリスクマネジメントの講演、事前アンケート調査や現場確認で明らかとなったリスクの整理とディスカッションを行った。2回目でリスクへの対策の確認と、意見交換を行った。
国内・海外例や他再生医療等製品の調製状況を含めた状況(細菌検出法のみならず、頻度・調査場所等を含む)を文献検索や取材及び作業環境の確認を通じ調査した。
2)微粒子測定器設置によるクリーンルーム内の常時汚染状況モニタリング
4つの臍帯血バンク施設 で安全キャビネット、クリーンルーム内でのパーティクルカウンタを用いた微粒子測定を1か月間実施した。最大許容微粒子数 (個/m3) は「第十七改正日本薬局方、無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」(以下 薬局方指針)に従った。
3)さい帯血バンクのリスク評価に基づくモニタリング手法とリスクマネジメントに関する考察
4か所の臍帯血バンク各事業所で、環境モニタリングや教育訓練、施設・設備メンテナンスについて事前アンケート調査を行った。また、2度の現地調査を実施し、1回目はSOPの内容・作業区域の現場状況の確認、バイオリスクマネジメントの講演、事前アンケート調査や現場確認で明らかとなったリスクの整理とディスカッションを行った。2回目でリスクへの対策の確認と、意見交換を行った。
結果と考察
結果:
1)文献等を用いた、臍帯血調製時の適切な菌検出法の検証
国内外の複数の関連団体からの指針・提言を精査し、無菌操作等を実施する区域の清浄度管理基準として最も使用されている薬局方指針に記載された基準が臍帯血調製時クリーンルーム内の安全キャビネットの清浄度指標として適切と判断した。
2)微粒子測定器設置によるクリーンルーム内の常時汚染状況モニタリング
4か所の臍帯血バンクにてクリーンルーム、安全キャビネット内の微粒子を測定し、何れも薬局方指針基準内であった。
3)さい帯血バンクのリスク評価に基づくモニタリング手法とリスクマネジメントに関する考察
いずれの施設もSOPに従った衛生管理が適切になされていた。一方、事前アンケート調査では、環境モニタリングの意義について疑問が呈された。落下菌や微粒子のモニタリングも、コンタミネーションリスクをさらに捉えやすい方法へ修正の余地があった。また、入室・器材搬入方法から作業終了後の試料の扱い方法までも作業環境毎に多種多様な問題点があり、有識者が一方的に回答を示せるものではないことが明らかになり、ディスカッションを通じて個別に解決策を提示した。
考察:
何れの臍帯血バンクも良好な微粒子測定結果が得られ、臨床で使用するに当たって必要な清浄度は確保されていた。各臍帯血バンクのSOPや職員のアンケート結果からも、適正な清浄度維持に必要な条件を満たしていることが示された。欧米では移植に用いる臍帯血ユニットを「バイオ医薬品、生物学的製剤」とみなし、臍帯血バンクがFDAの承認を得ることが求められている。日本の臍帯血バンクが直ちに国際的な認証を得る必要性は低いが、今後本邦の臍帯血のグローバル化を目指すにはより厳密な基準の制定が必要となるであろう。そのために、今回各事業所で個別提案した改善策に加え、作業中のモニタリング、定期的な有識者によるモニタリング・教育セッションの開催、ディスカッションによる各事業所の状況に応じたリスクマネージメントの実施を提言する。
1)文献等を用いた、臍帯血調製時の適切な菌検出法の検証
国内外の複数の関連団体からの指針・提言を精査し、無菌操作等を実施する区域の清浄度管理基準として最も使用されている薬局方指針に記載された基準が臍帯血調製時クリーンルーム内の安全キャビネットの清浄度指標として適切と判断した。
2)微粒子測定器設置によるクリーンルーム内の常時汚染状況モニタリング
4か所の臍帯血バンクにてクリーンルーム、安全キャビネット内の微粒子を測定し、何れも薬局方指針基準内であった。
3)さい帯血バンクのリスク評価に基づくモニタリング手法とリスクマネジメントに関する考察
いずれの施設もSOPに従った衛生管理が適切になされていた。一方、事前アンケート調査では、環境モニタリングの意義について疑問が呈された。落下菌や微粒子のモニタリングも、コンタミネーションリスクをさらに捉えやすい方法へ修正の余地があった。また、入室・器材搬入方法から作業終了後の試料の扱い方法までも作業環境毎に多種多様な問題点があり、有識者が一方的に回答を示せるものではないことが明らかになり、ディスカッションを通じて個別に解決策を提示した。
考察:
何れの臍帯血バンクも良好な微粒子測定結果が得られ、臨床で使用するに当たって必要な清浄度は確保されていた。各臍帯血バンクのSOPや職員のアンケート結果からも、適正な清浄度維持に必要な条件を満たしていることが示された。欧米では移植に用いる臍帯血ユニットを「バイオ医薬品、生物学的製剤」とみなし、臍帯血バンクがFDAの承認を得ることが求められている。日本の臍帯血バンクが直ちに国際的な認証を得る必要性は低いが、今後本邦の臍帯血のグローバル化を目指すにはより厳密な基準の制定が必要となるであろう。そのために、今回各事業所で個別提案した改善策に加え、作業中のモニタリング、定期的な有識者によるモニタリング・教育セッションの開催、ディスカッションによる各事業所の状況に応じたリスクマネージメントの実施を提言する。
結論
何れの臍帯血バンクも良好な清浄度が保たれていた。一方、臍帯血調製環境モニタリング方法や、その意義の理解については、事業所個別の問題があり、改善の余地があった。海外では臍帯血バンクも再生医療等製品製造業者同等の施設認定が求められており、国内の法規や省令、指針の改正に合わせて、適宜更新する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2025-07-01
更新日
-