認定臨床研究審査委員会の審査の質の定期評価のための評価手法およびその実施方法に関するマニュアル策定に向けた研究

文献情報

文献番号
202406034A
報告書区分
総括
研究課題名
認定臨床研究審査委員会の審査の質の定期評価のための評価手法およびその実施方法に関するマニュアル策定に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24CA2034
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
神山 圭介(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 洋一(大阪大学医学部附属病院)
  • 高野 忠夫(東北大学 ヒューマン・リサーチ・プロテクションズ・センター)
  • 稲野 彰洋(福島県立医科大学 附属病院臨床研究センター)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,545,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和6年に成立した改正臨床研究法の令和7年施行に向けて、認定臨床研究審査委員会(CRB)の審査の質を担保するための第3者による定期評価(CRB定期評価)の仕組みを検討することを目的に、 (1) CRB定期評価の具体的な実施方法等、(2)CRB定期評価の実施結果概要の公表内容や形式等、(3)CRBによる改善策の作成やその評価の具体的な実施方法等、の3点について実施した。
研究方法
まずCRBの審査の質に関して過去に実施された、厚生労働省による「臨床研究審査委員会審査能力向上促進事業」(模擬審査事業)、「認定臨床研究審査委員会審査能力向上促進のための調査等事業」(議事録評価事業)、「臨床研究総合促進事業(臨床研究審査委員会質向上プログラム)」、および国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) 研究公正高度化モデル開発支援事業「高品質のIRB審査の基盤となるIRBクラブの設立およびIRB運用ハンドブックの作成と普及に関する研究」等の関連事業による成果を確認した。
次いで、CRB定期評価において被評価者となるCRB(委員、事務局等)、評価者となる関連事業関係者、およびCRBの利用者である研究者に対してアンケート調査を実施するとともに、CRBの審査の質に関する有識者へのヒアリングを行った。
これらをもとに、対面およびweb会議システムによる斑会議を全14回開催し、研究目的に掲げた3点に関する検討を行った。
結果と考察
1.アンケート調査
CRB定期評価に関するアンケート調査を、(A)CRB、(B)関連事業関係者、(C)研究者を対象として実施し、1次調査として(A)67件、(B)28件、(C)41件の回答を得た。また (A)CRBおよび(B)関連事業関係者を対象として追加項目に関する2次調査を行い、(A)45件、(B)14件の回答を得た。

2.有識者ヒアリング
CRB定期評価に関する聞き取り調査を、全24名を対象に実施した。

3. 班会議による検討
関連する厚生労働省・AMED事業の成果の確認、各アンケート調査の結果、および有識者ヒアリングの結果を参考とし、CRB定期評価の実装に向けた3つの課題に関する検討を行った。

(1) CRBの審査意見業務の質に関する定期評価の具体的な実施方法等に関する検討
CRB定期評価において評価対象とすべきプロセス、適用可能と考えられる評価手法、それぞれの評価手法の利点・欠点、およびこれらを踏まえたCRB定期評価の実施方法(骨子・案)を検討した。
評価対象とすべきプロセスは、法令に規定された「審査意見業務」の一部ではなく、その全体とすることが適切と考えられた。また適用可能と考えられる評価手法として、(A)「審査意見業務の過程に関する記録」による評価(議事録評価)と、(B)実際に委員会を訪問し審査意見業務の実施状況を実地に調査することにより行う評価(実地評価)の2つがあり、両者それぞれに利点・欠点が認められること、またいずれか一方の手法のみによっては、改正臨床研究法令の規定による「全CRBが3年間の認定期間内に1回以上、審査意見業務に関する専門的な知見を有する第三者の評価を受けること」との要件を充足することは困難とみられることが考えられた。
これらをもとに、CRB定期評価の実施方法に関する検討を行い、その骨子(案)を策定した。

(2) CRBの審査意見業務の質に関する定期評価の結果の概要の公表の内容や形式等に関する検討
CRB定期評価として第三者評価を実施するにあたり、実施結果の報告およびその概要の公表において、対象とすべき事項やその形式等に関する検討を行い、それらの骨子(案)を策定した。

(3) CRBが提出する審査意見業務の改善策の評価の具体的な実施方法等に関する検討
CRB定期評価による第三者評価で改善すべき所見が指摘された場合、被評価CRBにおいて改善策を検討し作成するとともに、その概要を速やかに公表することが必要となるため、それら改善策およびその概要の作成、作成後の評価、実行状況の確認等について、具体的な手順等の検討を行い、それらの骨子(案)を策定した。
結論
本研究を令和7年5月31日と定められた改正臨床研究法令の施行日までに実施することにより、CRB定期評価の実装に向けた実務上の諸課題への対応に資する検討結果が得られ、法令の円滑な施行に備えることができた。
また本研究の実施結果は、必ずしも適用規制により限定されるものではなく、すなわちCRBに限らず倫理審査委員会や治験審査委員会等の審査の質の向上にも参照可能であり、国内の臨床研究の質を担保し、適正な臨床研究の実施、ひいては革新的な医薬品等の研究開発の推進につながる効果が期待される。

公開日・更新日

公開日
2025-08-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-08-04
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202406034C

成果

専門的・学術的観点からの成果
令和7年5月の臨床研究法および同法施行規則の改正施行に伴い、認定臨床研究審査委員会(CRB)は認定更新申請時の要件として、審査意見業務の質に関する第3者評価を定期的に受けることが必須化された。このCRB定期評価の実装のため、(1)具体的な実施方法等、(2)評価結果の概要の公表の内容や形式等、(3)評価による指摘事項に対する改善策の作成や評価に関する具体的な実施方法等、の3点について検討を行い、これらに関する案を取りまとめた。
臨床的観点からの成果
該当なし
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
本研究を令和7年5月31日と定められた改正臨床研究法および同法施行規則の施行日までに実施することにより、法令の円滑な施行に備えることができた。また本研究の成果は、令和7年度厚生労働省「臨床研究総合促進事業(臨床研究審査委員会質向上プログラム)」の実施や、令和7年度厚生労働省「認定臨床研究審査委員会審査意見業務評価等事業」の仕様書策定にあたり参照されるとともに、これら両事業によるCRB定期評価の実装に活用される予定である。
その他のインパクト
本研究の実施結果は、必ずしも適用規制により限定されるものではなく、すなわちCRBに限らず倫理審査委員会や治験審査委員会等の審査の質の向上にも参照可能であり、これにより国内の臨床研究の質を担保し、適正な臨床研究の実施、ひいては革新的な医薬品等の研究開発の推進につながる効果が期待される。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2025-08-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
202406034Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,608,000円
(2)補助金確定額
4,608,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 176,450円
人件費・謝金 1,191,280円
旅費 553,000円
その他 1,515,315円
間接経費 1,063,000円
合計 4,499,045円

備考

備考
返還額108955円(100円未満切り上げにより109000円)

公開日・更新日

公開日
2025-08-04
更新日
-