糖脂質抗原による免疫活性化を応用した呼吸器感染症に対するワクチン開発

文献情報

文献番号
201009025A
報告書区分
総括
研究課題名
糖脂質抗原による免疫活性化を応用した呼吸器感染症に対するワクチン開発
課題番号
H22-政策創薬・一般-012
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
金城 雄樹(国立感染症研究所 生物活性物質部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肺炎は日本人の死因第4位である。肺炎を予防する有効なワクチン開発は国民の保健医療向上に重要である。本研究では、市中肺炎の起炎菌として最も頻度の高い細菌の一つである肺炎球菌に対する、より効果的なワクチン開発を目指す。自然免疫応答に関与するリンパ球のNatural killer T(NKT)細胞が肺炎球菌感染防御に重要な役割を担うというこれまでの研究成果を基に、NKT細胞活性化を介する新しい手法を用いて、肺炎球菌ワクチンの効果を増強するための基礎的研究を行った。
研究方法
マウスに肺炎球菌莢膜多糖抗原ワクチンと糖脂質抗原の併用接種を行い、B細胞活性化及び抗体産生への影響を解析した。また、ヒトB細胞の胸腺非依存性抗原刺激(抗IgM抗体による架橋刺激)による抗体産生において、ヒトNKT細胞との共培養による影響を解析した。
結果と考察
肺炎球菌莢膜多糖抗原ワクチンを接種したマウスに糖脂質抗原を投与すると、ワクチン単独投与と比較して、脾臓の辺縁帯B細胞の強い活性化が認められた。その結果と一致して、糖脂質投与マウスでは肺炎球菌多糖抗原に対する抗体の産生増加を認めた。また、ヒトB細胞を胸腺非依存性抗原刺激する際に、ヒトNKT細胞と共培養すると、共培養が無い状態と比較して、抗体産生が増強した。このことより、ヒトNKT細胞がヒトB細胞を刺激して、抗体産生を増強することが明らかになった。以上の結果から、糖脂質抗原によるNKT細胞の活性化は、肺炎球菌莢膜多糖抗原ワクチンによる抗体産生を増強させうると考えられ、肺炎球菌感染予防効果につながる可能性があると考えられた。
結論
本研究結果より、マウスにおいてNKT細胞の糖脂質抗原の併用により、肺炎球菌莢膜多糖抗原ワクチンによる抗体産生を増強することができると考えられた。また、ヒトのNKT細胞が直接B細胞に作用して肺炎球菌莢膜多糖抗原ワクチンによる抗体産生誘導を増強させうることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2011-07-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-01-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
201009025Z