文献情報
文献番号
202406027A
報告書区分
総括
研究課題名
薬局製造販売医薬品の範囲の見直しに向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24CA2027
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 美千穂(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
4,081,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
薬局製造販売医薬品(薬局製剤)は厚生労働省が定める薬局製剤指針の範囲内で承認され、薬局において製造、販売されている。こうした生薬製剤等については、一部の薬局において不適切な販売実態があるとの指摘があり、薬局製剤を販売する薬局、関係団体から位置づけの整理・明確化が求められている。また、2024年1月にとりまとめを公表した医薬品の販売制度に関する検討会において、医薬品の販売区分を検討する過程で、薬局製剤、生薬製剤について、実態を踏まえて整理する必要性が指摘されたところである。そこで本研究は、薬局製剤指針等の改定に向けた基礎資料とすることを目的に、現在の薬局製剤指針、製造販売承認基準、薬局の実態等を整理し、生薬製剤等の位置づけについて検討するとともに、必要に応じて薬局製剤指針収載原案の検討を行う。
研究方法
薬局製造販売医薬品のうち、生薬が含まれるもの、また薬局内で取り扱う生薬等についてWEBアンケートを作成し、日本薬剤師会等の薬剤師関連団体の協力を得て全国の薬局を対象に送付した。その結果、2109件の有効な回答を得、それらを解析した。また、生薬を使った調剤及び薬局製剤の販売をしている薬局へのインタビューにより現状把握のための調査を行った。
結果と考察
薬局製剤及び生薬の取り扱いについてWEBアンケートを行い結果を解析したところ、薬局製剤における漢方処方に基づく品目の充実の必要性や単味生薬製剤の消費者ニーズ等が明らかとなった。他方、調剤薬局での生薬の取り扱いの難しさや関連知識の不足についての指摘も多かった。一般用漢方製剤製造販売承認基準には多くの漢方処方が収載されているものの、実際に一般用医薬品として店頭で製剤が販売されている漢方処方は限られており、さらに原材料費高騰等諸般の事情で製造中止になる製品も多数あるという状況がある。一般用医薬品として入手できなくなった漢方処方を求める消費者のニーズが、いわゆる零売薬局に頼る状況につながっているとの指摘もあった。また、単味生薬製剤は、現在の薬局製剤指針には1処方だけ収載されているが、それ以外の単味生薬製剤を求める消費者のニーズにこたえられるようにしてほしいとの要望があった。一般用医薬品供給の充実、また医薬品の適切な販売形態維持のためには、薬局製剤指針を改訂して漢方処方に基づく薬局製剤品目を増補し、さらに単味生薬製剤の追加を検討することが必要と考えられた。
結論
消費者のニーズを取り入れつつ、医薬品の適切な販売制度を保つためには、一般用医薬品として入手が困難である漢方製剤や単味生薬製剤について、薬局製剤が有効に活用できるよう、薬局製剤指針を改訂し、また薬局での生薬の取り扱いについて、適切な手引きまたはガイドライン等の策定を行うことが望ましいと考えられた。その具体的な手順について考案したところ、医薬局審査管理課を中心とし、日本薬剤師会等の各分野の専門家を加えた検討会による作業が必要なのではないかと考えられた。
公開日・更新日
公開日
2025-06-02
更新日
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