歯周病治療薬と歯槽骨再生方法の開発

文献情報

文献番号
201009021A
報告書区分
総括
研究課題名
歯周病治療薬と歯槽骨再生方法の開発
課題番号
H22-政策創薬・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
江口 傑徳(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 口腔疾患研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
3,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、歯周病治療薬および歯槽骨再生方法を開発する。これまでに細胞内MMP3が再生因子CCN2を誘導することを明らかにしており、今回は生体防御におけるその新たな役割を明らかにする。また幹細胞の多能性と骨分化に関わるマイクロRNA(miR)を同定する。
研究方法
① ヒト由来293細胞内でMMP3およびそのドメインをHP1とともに発現させ、HSPA6の遺伝子発現をリアルタイムPCRで検討した。同じ実験系でマイクロアレイを行って得た発現プロファイルを、キーモルネット解析し、パスウェイマップ、関連する疾患、病態イベント、生体イベントのスコアとランキングを得た。
② 多能性幹細胞株KUSA-A1を骨分化誘導し、アリザリンレッド染色およびリアルタイムPCRによるマーカーの発現解析をした。同実験系でマイクロRNAアレイを行った。アレイで特徴的な発現プロファイルの得られたmiRのみリアルタイムPCRで詳細な発現プロファイルを得た。
結果と考察
① ヒトMMP3およびそのPEXドメインは、293細胞内でHP1と協調して、生体防御因子HSPA6/HSP70B’を劇的に誘導したが、CATドメインは誘導しなかった。同細胞内でヒトMMP3およびPEXを発現させるとLPSによる細胞死が回避されたが、CATでは回避されなかった。同実験系におけるMMP3とHSPA6に纏わる上流転写マップおよびパスウェイマップを得た。細胞内MMP3は、関節リウマチ、創傷修復、UV応答、分化多能性に関わることが示唆された。
② KUSA-A1は多能性幹細胞から骨細胞まで分化することが、段階的な石灰化およびマーカー(ccn2, dmp1, osteocalcin)発現パターンから明らかとなった。同実験系におけるマイクロRNA発現プロファイリングの結果、多能性幹細胞特異的miRおよび骨細胞特異的miRが明らかとなった。
結論
① ヒト由来細胞において細胞内MMP3とPEXがHP1と協調して、ストレス応答・生体防御因子HSPA6を誘導することを発見した。細胞内MMP3やPEXドメインは、細胞を適度に刺激して、免疫系を賦活するのかもしれない。本機構は、ヒトの免疫とエピジェネティクスの制御によって、老化等で応答の鈍った細胞の賦活や、新しい慢性炎症治療薬として期待できる。
②新しい多能性幹細胞マーカーおよび骨細胞分化マーカーが明らかとなり、多能性制御miR (STEMIR:ステミア)および分化制御miR (OSTEOMIR:オステミア)としての機能解明と応用が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2011-07-14
更新日
-

収支報告書

文献番号
201009021Z