HIV-1エンベロープ蛋白(Env)の立体構造変化誘導剤(NBD誘導体)の臨床応用に向けた基礎研究

文献情報

文献番号
201009020A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV-1エンベロープ蛋白(Env)の立体構造変化誘導剤(NBD誘導体)の臨床応用に向けた基礎研究
課題番号
H22-政策創薬・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松下 修三(国立大学法人 熊本大学 エイズ学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 玉村 啓和(国立大学法人 東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 )
  • 五十嵐 樹彦(国立大学法人 京都大学 ウイルス研究所  )
  • 吉村 和久(国立大学法人 熊本大学 エイズ学研究センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
21,539,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は、HIV-1、gp120のCD4結合部位に作用してエンベロープ蛋白(Env)の三量体構造を変化させ、中和抗体活性を増強する低分子化合物NBD-556を同定した。本研究の目的はNBD誘導体で中和抗体の臨床効果を増強させるという、これまでとは異なる戦略が、in vivoでも有効かどうか、動物モデルで検証することであり、さらに多くの誘導体を探索し、臨床応用可能なNBD誘導体を作出することである。
研究方法
NBD-556及びその誘導体は、種々のアニリンを出発原料として、クロログリオキシル酸カップリング、けん化、縮合反応を用いて合成した。抗ウイルス効果をWST-8 assayで解析し、構造活性相関を検討した。中和単クローン抗体を用いて、NBD誘導体による中和増強効果を検討した。YYA-021の急性毒性試験は、汎用系統ラットを用いた。抗体の機能的Env三量体に対する結合活性は、FACS解析により行った。
結果と考察
研究計画の第一段階として、NBD-556の基礎的な研究成果及び構造活性相関研究の研究成果を論文発表した。これらの成果から得られた誘導体の一つである YYA-021はNBD-556と同程度のgp120構造変化誘導能があり、細胞毒性が低いことから、リード化合物として適正と判断され、これを大量に合成し、ラットでの急性毒性試験、血中濃度測定などを行い、霊長類モデルのための基礎データを集積した。一方、YYA-021より、さらに低濃度で効果のある誘導体として、新規化合物HAR-171を見出した。中和抗体とNBD誘導体の併用効果をSHIV感染サルモデルで検証するためには、臨床分離株のエンベロープを持つSHIVを構築する必要がある。今年度は、南アフリカのエイズ患者から分離されたHIV-1臨床分離株(97ZA012株)のenv遺伝子をSHIV KS661株の相同領域と組換える方法で、新規にSHIV 97ZA012株を作成した。
結論
本年度までの研究成果から YYA-021が、霊長類モデルで用いる化合物として適正と判断され、これを大量に合成し、ラットでの急性毒性試験、血中濃度測定などの基礎データを集積した。平成23年度には、霊長類における毒性試験及び血中濃度測定を行い、これらのデータをもとに基本的計画を立て、POC試験を開始する予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-09-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201009020Z