令和6年能登半島地震における医療チームの対応の検証に基づく災害時医療提供体制の向上に資する研究

文献情報

文献番号
202406020A
報告書区分
総括
研究課題名
令和6年能登半島地震における医療チームの対応の検証に基づく災害時医療提供体制の向上に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24CA2020
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 久禎(独立行政法人国立病院機構本部 DMAT事務局)
研究分担者(所属機関)
  • 泉川 公一(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 感染免疫学講座 臨床感染症学)
  • 佐藤 浩之(東京慈恵会医科大学 救急医学講座)
  • 久保 達彦(広島大学大学院医系科学研究科 公衆衛生学)
  • 五明 佐也香(獨協医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,903,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、本災害に関連する記録や関係者の記憶が風化していない現時点において、被災地内での医療チームによる活動を様々な観点から適切に検証し、課題を抽出した上で、有識者や現地関係者も含めた検討会を開催し、我が国の実態に即した災害医療支援のパラダイムシフトに繋がるよう、今後の対応を議論し、来る災害への政策提言をまとめることを目的とする。
研究方法
本研究では、医療チームによる支援という観点からは、適時適切に医療チームをニーズに応じて派遣するなどの広域的な対応を行う本部活動のあり方、医療を要する被災患者への病院における医療提供体制の維持と医療アクセスの確保のあり方、社会福祉施設等における入所者等が寒冷な気候の中で状態の悪化を引き起こさないための支援のあり方と医療チームの役割、アクセスが寸断される中での被災地からの円滑な緊急医療搬送や広域避難搬送等の医療搬送体制の確保のあり方、復興に向けた診療所や避難所における医療提供のための支援のあり方、医療機関や社会福祉施設、避難所等における効率的な感染管理手法とその支援のあり方、行政機関や医療チームが情報を共有し、効率的な支援を行うための医療システムのあり方について検討し、本災害の本質を考察した。
結果と考察
本災害の本質は、甚大な被害のある地域の孤立、そして高齢化率の高い地域の被災であった。常に一つのリスクにとらわれない優先順を付ける必要があった。また、単に甚大な被害のある地域の孤立により、防ぎえる死亡だけでなく悲劇の低減のための対応、復旧・復興が課題となった。
保健医療福祉活動の調整機能における本災害のレガシーは、DHEAT(行政内・保健支援)、DMAT ロジチーム(支援調整・医療福祉支援)が協調して保健医療福祉調整本部
を支援したことである。レガシーを生かすためにもDHEAT とDMAT コーディネートチームの総称として保健医療福祉調整本部支援チームとする等の制度化が必要である。また、本部運営においては、各団体がそれぞれの島で独立して活動するよりも、病院支援・施設支援・地域支援・活動指揮・物資支援・搬送調整の各機能班に入る形で活動
するのが有用であり、今後はこのような体制が求められる。
福祉施設は脆弱な方が入所されている施設であるが、プライベート施設であることもあり、助けを求める声が届きにくいことが課題である。今回の対応時に確立した災害時情報システム、介護職・MSW・ケアマネ等福祉にかかわる人的資源の動員の枠組みを制度化することが必要である。
災害時の搬送は一定の悲劇を招く。命を長らえるための避難搬送がやみくもに進められるべきでない。搬送には常に明確な根拠づけが必要である。そのためにも重症患
者搬送、緊急避難搬送、需給調整搬送の鑑別をした運用が必要である。
プライマリケア支援の中心はやはり診療所支援である。単なる診療支援にとどまらない支援のモデルの開発が必要である。
また、JSPEED やD24H などの情報システムを統括するチームの育成、DPAT、DICTについてもさらなる発展も今後の課題である。
結論
本災害の本質は、甚大な被害のある地域の孤立、そして高齢化率の高い地域の被災であった。常に一つのリスクにとらわれない優先順を付ける必要があった。また、単に甚大な被害のある地域の孤立により、防ぎえる死亡だけでなく悲劇の低減のための対応、復旧・復興が課題となった。

公開日・更新日

公開日
2025-08-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
202406020C

収支報告書

文献番号
202406020Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,800,000円
(2)補助金確定額
4,800,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 2,717,255円
旅費 969,295円
その他 216,450円
間接経費 897,000円
合計 4,800,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2025-08-19
更新日
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