新規な機序による抗HIV薬剤の開発研究

文献情報

文献番号
201009019A
報告書区分
総括
研究課題名
新規な機序による抗HIV薬剤の開発研究
課題番号
H22-政策創薬・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
杉浦 亙(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター、感染・免疫研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 野村 伸彦(富山化学工業株式会社 綜合研究所第3研究部)
  • 田中 晴雄(いわき明星大学薬学部薬学科)
  • 明里 宏文(京都大学霊長類研究所 人類進化モデル研究センター)
  • 足立 昭夫(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 岩谷 靖雅(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター 感染・免疫研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
8,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班では既存の抗HIV薬剤と交差耐性を示さない新規な抗HIV薬剤を開発とその実用化を目指す。
研究方法
以下の研究を進める。(1)低分子抗HIV薬剤実用化研究:初期転写阻害剤T-Y化合物群の合成展開に取り組む。合成化合物の評価としてin vitro抗HIV活性、経口吸収性、血清タンパク結合率、マスバランス、各種毒性検査を行う。また作用機序解明と、T-Y化合物のスペクトラムについての評価を行う。新たな新薬の標的としてAPOBEC3G(A3G)-Vif相互作用の阻害を狙った新薬開発の評価系構築に取り組む。(2)アクチノヒビン(AH)実用化研究:AHの投与経路の検討とそれに対応したAH化合物の最適化に取り組む。霊長類を用いたAHの感染予防効果の検討を行う。カニクイザルを用いたSIV経直腸感染系を用いてAH二量体(AH dimer/RTB-L)の有効性を評価する。(3)霊長類評価研究T-Y化合物群とAHの霊長類における抗HIV効果を評価するための実験系の確立を行う。
結果と考察
(1)低分子抗HIV薬剤実用化研究:T-Y類縁化合物36種類を新たに合成し評価した結果、T-Yと同等以上の抗HIV活性を示す化合物の同定に成功した。開発を進めるにあたり問題となるレベルの毒性は認められなかった。T-Y化合物は既存の抗HIV阻害剤耐性株および異なるサブタイプに対しても有効性を示し、多剤耐性症例の福音となる事が期待される。APOBEC3G(A3G)-Vif相互作用の阻害を狙った新薬開発のため、Tet-Off発現制御下に野生型A3G、Vif非結合性A3G、非ユビキチン化A3Gをそれぞれ安定的に発現するHeLa細胞株3種類を樹立した。(2)AH実用化研究:AHのmicrobicideとしての使用を目指し、直腸・膣局所投与可能な溶解溶媒の検討に取り組んだ。更に注射薬を目指したpolyethyleneglycol化及びstylene malete化に関しては、高溶解性変異体AHを同定した。AHは抗HIV薬による予防戦略の潮流にのる日本発の化合物となる事が期待される。
結論
T-Y化合物およびAHの実用化研究に取り組んだ。

公開日・更新日

公開日
2011-09-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201009019Z