文献情報
文献番号
202405008A
報告書区分
総括
研究課題名
ポストSDGsを見据えた新たなUHC指標開発に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24BA1003
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
大澤 絵里(国立保健医療科学院 公衆衛生政策研究部)
研究分担者(所属機関)
- 三浦 宏子(北海道医療大学 歯学部)
- 坂元 晴香(慶應義塾大学 医療政策・管理学教室)
- 野村 真利香(長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科)
- 佐々木 由理(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
- 中西 康裕(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
- 渡 三佳(国立保健医療科学院 公衆衛生政策研究部)
- 五十嵐 久美子(国立保健医療科学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
3,634,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC) は,SDGs3のターゲットとして,世界的にモニタリングされてきたが,2030年までのUHC実現の達成が困難と報告されている。UHCサービス・カバレッジ・インデックスに扱われていない保健サービスを,UHCに統合する議論もあり,2030年以降のポストSDGsに向けて,UHCの新たな枠組みや指標を検討する時期が到来している。本研究では,ポストSDGsを見据え,よりUHCに適合した指標の提案を目的とした。
研究方法
令和6年度 は、[分担課題1] 既存のUHC指標の傾向とその課題点,[分担課題2] 新たな保健関連サービスのUHCへの統合に関する国際的動向と指標,[分担課題3] 公的な保健医療保障制度に統合する政策決定の際に必要な価値基準(費用対効果,倫理観,環境配慮等)について,研究論文や既存資料のレビュー、UHCデータ,関連データを用いた予備的分析,関係者へのヒアリングを実施 した。
結果と考察
UHCの指標に関しては,国連Inter-agency and Expert Group on SDG Indicatorsでは,2015年以降5回の会議までに,関係機関との意見交換などにより,方法論の改善,指標内容の改善が提案されていた。また,国特有のUHC指標の開発の動きがあることもわかった。指標の分析では,14の指標の関連,医療費自己負担について間接費用や非医療費も自己負担割合に含む重要性が示唆された。UHC指標の新分野としては,歯科,リハビリテーションで議論が進んでいた。視聴覚を含む感覚機能と健康に関する治療や予防の体制整備も進められていたが,指標開発と同時に取り組み強化の必要性がみられた。またさらに先をいく議論として,環境に配慮をしたUHCの促進として,保健医療分野の気候変動対策の議論もすすみつつあること,すべての国での確立はむずかしいものの,英国のHealth Technology Assessmentは,エビデンスに基づく政策決定という点で,UHCに参考になると考えられた。
結論
既存のSDGsのUHC指標に関しても,2025年には,追跡指標の定義や計算方法の改訂があり,改善の余地があることが把握できた。現在,UHCの追跡指標に入っていない分野においても,UHC指標への統合を目指し,活発な議論が進んでいた。UHCのモニタリングに関して,グローバル標準指標に加え,その国や地域の現状に合わせた質の高い指標が求められており,そのような指標開発に向けた研究を進める必要がある。
公開日・更新日
公開日
2025-07-17
更新日
-