長期抗HIV療法に適う新規エイズ治療薬Reverse Transcriptase associated RNase H活性阻害剤の実用化開発

文献情報

文献番号
201009013A
報告書区分
総括
研究課題名
長期抗HIV療法に適う新規エイズ治療薬Reverse Transcriptase associated RNase H活性阻害剤の実用化開発
課題番号
H21-政策創薬・一般-010
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
星野 忠次(国立大学法人 千葉大学 大学院薬学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 駒野 淳(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
  • 岩谷 靖雅(国立病院機構 名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 村上 努(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
  • 沖本 憲明(理化学研究所 基幹研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
25,014,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
既存薬と作用機序が異なる新規抗HIV薬の開発は、薬剤耐性ウイルスを抑制する有効かつ現実的な対策である。本研究班では、HIV逆転写酵素に内在するRNase H活性を標的とする抗HIV薬の開発を進めている。研究終了時には、前臨床レベルの薬物を創出することが目標である。
研究方法
本年度は、Ⅰ.計算機設計、Ⅱ.有機合成、Ⅲ.活性測定、Ⅳ.毒性評価、Ⅴ.変異パターンの分子疫学解析、を実施した。
結果と考察
Ⅰ.計算機設計では、これまでに見出された活性化合物の代表的なものについて、標的タンパク質である逆転写酵素のRNaseH部位との結合構造予測を行った。RNaseH領域に2つの金属イオンを配置し、さらにこの金属イオンに配位するように阻害剤を配置して、分子軌道法と分子動力学法を組合せた計算技法により、予測した結合構造が実現可能な原子配置であるかを確かめた。Ⅱ.有機合成では、先導化合物を足掛かりに、100種類を越える誘導体を合成展開した。前年度の合成物と合わせて、合計190種類の合成物を得ることができた。主にニトロフランカルボン酸を基本骨格として、これに様々な置換基を導入した化合物を合成した。Ⅲ.活性測定では、本年度は152種類の小分子化合物のRNaseH阻害活性を評価し、新たに38種類の誘導体をRNaseH阻害剤として同定することに成功した。昨年度よりも高いRNaseH阻害効果を有する化合物が同定された。Ⅳ.毒性評価では、本研究班で合成しRNase H 阻害活性を測定した28化合物について、MT-4細胞と293T細胞を使用してそれらに対する細胞毒性をMTT法にて測定した。その結果、どちらの細胞においても、CC50が10 M程度に比較的細胞毒性の強い化合物からCC50が100 M以上の細胞毒性の弱い化合物まで確認された。Ⅴ.変異パターンの分子疫学解析では、未治療患者に感染している HIV-1 の RNaseH 遺伝子多型を解析、その遺伝情報を蓄積した。さらに治療患者に見られる RNaseH 遺伝子変異と、RT Polymerase 遺伝子領域およびインテグラーゼ遺伝子領域の変異との相関性について解析した。
結論
研究成果として、当初IC50値で16.5μMの先導化合物を有していたが、前年度までに1.0μMの活性化合物を得た。今年度はさらに構造変換を進め、IC50値で0.8μMの誘導体を得ることに成功した。

公開日・更新日

公開日
2011-05-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201009013Z