ヒト組織長期維持SCIDマウスを用いた医薬品等の有効性、安全性評価システムの構築

文献情報

文献番号
201009012A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト組織長期維持SCIDマウスを用いた医薬品等の有効性、安全性評価システムの構築
課題番号
H21-政策創薬・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
野村 大成(独立行政法人医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 梁 治子(独立行政法人医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部 )
  • 小原 有弘(独立行政法人医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部 )
  • 立花 功(大阪大学・医学系研究科)
  • 本行 忠志(大阪大学・医学系研究科)
  • 野々村祝夫(大阪大学・医学系研究科)
  • 榎本 隆之(大阪大学・医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,671,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、ヒト組織長期維持SCIDマウスを用いた医薬品等の有効性、安全性評価システムの構築のため、ヒト臨床がん、疾患組織等の継代維持と再生可能な形での凍結保存基盤技術の確立を目的とし、20年間継代維持凍結保存してきたヒト頭頚部腫瘍、疾患組織等の再移植保存に加え、新たなヒト原発腫瘍組織、培養がん細胞の移植維持凍結保存、ヒト正常組織、胎児由来組織の継代維持を計り、総括的ヒト組織維持システムを完成させる。
研究方法
本研究課題について、以下に示す当初研究計画・方法どおりに実施する。
1.ヒト臓器・組織長期維持用SCIDマウスの維持・増産。 
2.長期継代維持後凍結保存ヒト組織・細胞(1988?1995)の再移植・保存。   
3.原発腫瘍、転移組織の新規移植。
4.培養細胞移植(医薬基盤研究所細胞バンク保存遺伝子、微生物汚染のない培養細胞)。
5.ヒト正常組織・細胞の長期維持。
6.移植組織・細胞の継代維持による形態・機能の変化の調査。
結果と考察
ヒト悪性腫瘍に関しては、SCIDマウス移植組織片をプログラムフリーザーにて凍結後、液体窒素保存(N2)することにより、移植・保存→再移植のサイクルを繰り返しても、増殖能、組織像に変化はなく、遺伝子発現の変化も僅かに限られている。22年度新たに移植した150症例のうち新規継代維持したヒトがんにおいてもが確認できた。ヒト悪性腫瘍組織を永久に生きたまま確保できる画期的方法である。その成果はおのずから医薬品の有効性・安全性の研究のみならず環境有害物質の人体影響評価に用いられ、国民の健康に大きく貢献する。確認できた。
結論
本研究では、(1)ヒト組織長期維持に最適のSCIDマウスの開発・使用、(2)20年間継代維持凍結保存してきたヒト腫瘍組織の再移植と再生可能な形での凍結保存を22年度までに完成、(3)未成功の前立腺がん、GIST等、新たなヒト臨床腫瘍組織の継代維持、再生可能な形での凍結保存、(4)ヒト培養がん細胞と臨床がん移植組織の創薬に向けた優位性、(5)ヒト正常組織、胎児由来組織の継代維持と褐色脂肪組織など新たなヒト資源の開発を行い、生きたヒト組織での医薬品等の有効性・安全性の研究、環境有害物質の人体影響評価システムの構築を当初計画以上の成果を得た。いずれも我々が20年間実施してきた研究の発展を期するものである。

公開日・更新日

公開日
2011-05-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201009012Z