文献情報
文献番号
202426015A
報告書区分
総括
研究課題名
災害時における地域保健活動を推進する体制整備に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24LA1004
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
奥田 博子(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究分担者(所属機関)
- 冨尾 淳(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
- 麻生 保子(和洋女子大学 看護学部)
- 大沼 麻実(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 行動医学研究部)
- 畠山 典子(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
- 大澤 絵里(国立保健医療科学院 公衆衛生政策研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
複合的な健康危機管理事象時(新興感染症等のまん延下に発生する自然災害等)に効果的な保健活動及び必要な体制を明らかにすることを目的とする。
研究方法
目的の達成に向け、研究計画を2年間で構成し、研究1年目の本年度は、結果に示す6つの分担研究について、研究班ごとにデータ収集・分析を実施した。全体研究班会議は、年間4回開催し、各分担研究の成果を共有し、補足する情報収集や追加の調査を実施した。
結果と考察
1.令和6年能登半島地震時の保健師等チーム派遣に関する実態調査
対象の42都道府県、全数回答が得られた(回収率100%)。保健師等チームの派遣先は、被災地市町と、金沢市内の1.5次避難所等であった。主な活動内容は、避難所や在宅避難者の健康支援であったが、支援チーム間の調整や指揮等のマネジメント機能を担った自治体もあった。一方、自治体による後方支援体制には差が認められた。
2. 災害等健康危機に備えた自治体における保健活動体制整備に関する実態調査
47都道府県、全数の回答が得られた(回収率100%)。
健康危機時に備えた保健活動の体制整備では、関係者間の連絡窓口の明確化、必要物品の整備、時間外連絡体制等は9割が実施していた。しかし、保健師等広域応援派遣に備えた、都道府県下の市町村との合同派遣に関する計画の整備は約1割、統括保健師の役割の規定も3割であった。
3. 国内外先行知見,他省庁対策との整合性及びDHEATと統括保健師の連携に関する検討
新型コロナウイルス感染症や能登半島地震の対応をふまえ、地域における健康危機管理、災害時の保健医療福祉活動についての指針や通知は、数多く策定・改定されており、本部機能の強化や情報連携、情報システムの利活用などが重視される傾向がみられた。また、WHO西太平洋地域事務局が示すAsia Pacific Health Security Action Frameworkは、健康危機管理の体制整備において重要となる6つのドメインを挙げており、このような視点も保健活動に関するマニュアルの作成にあたって参考になりうると考えられた。
4. 複合災害(感染症まんえん下の自然災害)時における統括保健師の役割に関するインタビュー調査
県庁、保健所、市町村の統括保健師計10名から回答を得た。複合災害時にみられた統括保健師の役割は、県庁は「避難所設営の調整」、「人材育成と派遣調整」、保健所は「感染症対応全般業務」、「感染症対応の避難所設営調整」、「マネジメント業務」、「市町村へのバックアップ」、市町村では「避難所設営の調整」、「医療状況調査」が挙がった。複合災害時の統括保健師としての共通役割と考える点は「情報・人材管理に関する平時からの先を見越したマネジメント」、「感染症対策」であった。
5. 健康危機時の活動従事保健師等のメンタルヘルス対策の検討
派遣元自治体による派遣職員のメンタルヘルス対策の有無については、実施した34(81. 0%)、実施しなかった8(19.0%)であった。メンタルヘルス対策の実施期間[複数回答可]34については、派遣前19(55.9%)、派遣中10(29.4%)、派遣後26(76.5%)、その他1(2.9%)であった。メンタルヘルス対策へのチェックリストやアンケートの活用の有無n=34については、活用した21(61.8%)、しなかった13(38.2%)であった。具体的に活用されたアンケートやチェックリストとして、県作成のストレスチェックリスト、IES-R、K6、CIDI-SF-RR等が挙げられた。
6. 平時からの災害への備えおよび保健師広域応援派遣に関するヒアリング調査
令和6年能登半島地震において保健師等広域派遣を行った自治体のうち、過疎地域を含む都道府県、かつ先行調査において統括保健師の役割明記および平時の備えの実態のある8自治体15名の協力を得た。抽出されたカテゴリは、「医療と介護の連携(医介連携)」、「平時からの保健所と市町村の連携体制の構築と課題の把握」、「地理的特性を持つ地域への対策」、「圏域ブロック別の体制整備」、「人工透析等への対応協議」、「人材育成」、「平時において小規模市町村も研修等へ参加できる体制」、「次期統括への伝承」等であった。
対象の42都道府県、全数回答が得られた(回収率100%)。保健師等チームの派遣先は、被災地市町と、金沢市内の1.5次避難所等であった。主な活動内容は、避難所や在宅避難者の健康支援であったが、支援チーム間の調整や指揮等のマネジメント機能を担った自治体もあった。一方、自治体による後方支援体制には差が認められた。
2. 災害等健康危機に備えた自治体における保健活動体制整備に関する実態調査
47都道府県、全数の回答が得られた(回収率100%)。
健康危機時に備えた保健活動の体制整備では、関係者間の連絡窓口の明確化、必要物品の整備、時間外連絡体制等は9割が実施していた。しかし、保健師等広域応援派遣に備えた、都道府県下の市町村との合同派遣に関する計画の整備は約1割、統括保健師の役割の規定も3割であった。
3. 国内外先行知見,他省庁対策との整合性及びDHEATと統括保健師の連携に関する検討
新型コロナウイルス感染症や能登半島地震の対応をふまえ、地域における健康危機管理、災害時の保健医療福祉活動についての指針や通知は、数多く策定・改定されており、本部機能の強化や情報連携、情報システムの利活用などが重視される傾向がみられた。また、WHO西太平洋地域事務局が示すAsia Pacific Health Security Action Frameworkは、健康危機管理の体制整備において重要となる6つのドメインを挙げており、このような視点も保健活動に関するマニュアルの作成にあたって参考になりうると考えられた。
4. 複合災害(感染症まんえん下の自然災害)時における統括保健師の役割に関するインタビュー調査
県庁、保健所、市町村の統括保健師計10名から回答を得た。複合災害時にみられた統括保健師の役割は、県庁は「避難所設営の調整」、「人材育成と派遣調整」、保健所は「感染症対応全般業務」、「感染症対応の避難所設営調整」、「マネジメント業務」、「市町村へのバックアップ」、市町村では「避難所設営の調整」、「医療状況調査」が挙がった。複合災害時の統括保健師としての共通役割と考える点は「情報・人材管理に関する平時からの先を見越したマネジメント」、「感染症対策」であった。
5. 健康危機時の活動従事保健師等のメンタルヘルス対策の検討
派遣元自治体による派遣職員のメンタルヘルス対策の有無については、実施した34(81. 0%)、実施しなかった8(19.0%)であった。メンタルヘルス対策の実施期間[複数回答可]34については、派遣前19(55.9%)、派遣中10(29.4%)、派遣後26(76.5%)、その他1(2.9%)であった。メンタルヘルス対策へのチェックリストやアンケートの活用の有無n=34については、活用した21(61.8%)、しなかった13(38.2%)であった。具体的に活用されたアンケートやチェックリストとして、県作成のストレスチェックリスト、IES-R、K6、CIDI-SF-RR等が挙げられた。
6. 平時からの災害への備えおよび保健師広域応援派遣に関するヒアリング調査
令和6年能登半島地震において保健師等広域派遣を行った自治体のうち、過疎地域を含む都道府県、かつ先行調査において統括保健師の役割明記および平時の備えの実態のある8自治体15名の協力を得た。抽出されたカテゴリは、「医療と介護の連携(医介連携)」、「平時からの保健所と市町村の連携体制の構築と課題の把握」、「地理的特性を持つ地域への対策」、「圏域ブロック別の体制整備」、「人工透析等への対応協議」、「人材育成」、「平時において小規模市町村も研修等へ参加できる体制」、「次期統括への伝承」等であった。
結論
本年度は,最新の関連施策等の動向、複合災害対策を含めた統括保健師の役割の明確化、メンタルヘルス対策を含む支援従事者の健康管理、応援派遣時の派遣元自治体における後方支援体制等から、今後の健康危機事象に備えた保健活動体制整備の標準化に向けた既存のガイドラインの改訂点を明らかにした。次年度は、必要な追加調査を実施し、WHO西太平洋地域事務局が示すAPHSAFの6つのドメインを参考に、各自治体が今後の複合災害に備えて取り組むべき体制整備内容を提言としてまとめる予定である。
公開日・更新日
公開日
2026-05-26
更新日
-