健康危機管理センターと多分野連携体制の推進のための研究

文献情報

文献番号
202426002A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機管理センターと多分野連携体制の推進のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22LA2004
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
久保 達彦(広島大学大学院医系科学研究科 公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
  • 小井土 雄一(独立行政法人国立病院機構本部 DMAT事務局)
  • 冨尾 淳(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
  • 齋藤 智也(国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター)
  • 立石 清一郎(産業医科大学 産業生態科学研究所)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
8,580,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2018年に実施された世界保健機関による国際保健規則(IHR)合同外部評価では、公衆衛生緊急オペレーションセンター(HEOC: Health Emergency Operations Center)の欠如が指摘された。本研究では、国内外の特に医療・公衆衛生領域における先行事例を検討し、IHR等の国際的動向を分析しつつ、我が国の既存の健康危機管理体制に適合するHEOCの体制の検討することを目的として関係調査を推進した。
研究方法
本邦の既存の災害・健康危機管理体制に適応しやすいHEOCモデルの研究開発のために、我が国の既存の健康危機管理体制に基づくHEOCモデルの検討、DMATが国内外で蓄積してきた知見を我が国におけるHEOC の制度設計に組み込む研究、HEOC構築に求められる要素の検討、感染症対応におけるEOC運用に関する研究、災害対応者の健康管理に係る知見をHEOCの制度設計に組み込む研究を行った。
結果と考察
WHO等の国際的な知見や国内調査から、HEOC構築に求められる要素として法的権限、ポリシーグループ、運営委員会、オペレーション構想(CONOPS)が重要であると特定された。また、ハードとしての施設設置以前に可能な運用面(ソフト面)の強化に焦点を当て、国、自治体、支援団体を対象とした健康危機対応の要となる本部運営手法のハザード種別を超えた標準化及び健康危機対応において必要となるリソース(人的支援、物資支援、財源・制度調整)の普遍性に着目し、平時からのリソース管理体制を強化し、危機発生時に活用する体制を構築することを検討した。
分担研究においては、HEOC立ち上げの判断要素や評価の必要性が検討され、感染研におけるEOC運用に関する図上訓練モジュールが開発された。特に、感染症対応においては、施設常設、専任者配置、IMS等拡張可能な体制、CONOPS確立、明確なアクティベーションメカニズム等の必要性が提案された。また、災害対応者の健康管理の重要性が指摘され、国のマニュアル等にその必要性や具体的な対応策が反映された。
結論
我が国の健康危機管理体制において、ハザード管理からリソース管理へ転換すること、平時からの運営委員会(ネットワーク会議)を通じて関係団体のキャパシティや連携窓口を共有し(「顔の見える関係」)、研修訓練資料の共有に向けた議論を行うこと(「共通言語」)を提案する。

公開日・更新日

公開日
2025-09-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-09-01
更新日
-

文献情報

文献番号
202426002B
報告書区分
総合
研究課題名
健康危機管理センターと多分野連携体制の推進のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22LA2004
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
久保 達彦(広島大学大学院医系科学研究科 公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
  • 小井土 雄一(独立行政法人国立病院機構本部 DMAT事務局)
  • 冨尾 淳(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
  • 齋藤 智也(国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター)
  • 立石 清一郎(産業医科大学 産業生態科学研究所)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2018年に実施された世界保健機関による国際保健規則(IHR)合同外部評価では、公衆衛生緊急オペレーションセンター(HEOC: Health Emergency Operations Center)の欠如が指摘された。本研究では、国内外の特に医療・公衆衛生領域における先行事例を検討し、IHR等の国際的動向を分析しつつ、我が国の既存の健康危機管理体制に適合するHEOCの体制の検討することを目的として関係調査を推進した。
研究方法
本邦の既存の災害・健康危機管理体制に適応しやすいHEOCモデルの研究開発のために、我が国の既存の健康危機管理体制に基づくHEOCモデルの検討、DMATが国内外で蓄積してきた知見を我が国におけるHEOC の制度設計に組み込む研究、HEOC構築に求められる要素の検討、感染症対応におけるEOC運用に関する研究、災害対応者の健康管理に係る知見をHEOCの制度設計に組み込む研究を行った。
結果と考察
我が国の既存の健康危機管理体制に適合する公衆衛生緊急オペレーションセンター(HEOC: Health Emergency Operations Center)及び多分野連携の体制について検討した。アメリカ、カナダ、イスラエルの緊急オペレーションセンター(EOC: Emergency Operations Center)現地視察や、WHOのFramework for a Public Health Emergency Operations Centre (2015)の文献調査及び本邦における健康危機管理体制を踏まえ、HEOCの在り方、必要な体制について検討を行い、我が国の既存の健康危機管理体制に適合するHEOCモデルをまとめた。
HEOCの果たすべき役割は、都道府県本部支援、政治的リーダーシップへの情報集約及びオールハザード運用を実現することであり、そのためにオールハザード分野から参加する各支援機関の実動リーダーによる運営委員会(ネットワーク会議)を設置し、定期的に開催(顔のみえる関係構築)する。平時には、標準教育資料(共通言語)の開発を行い、有事には、各支援機関は国HEOCへの情報集約に協力し、国の意向も踏まえて保有リソース(主に人的資源)を地域で動員、必要に応じて国HEOCに動員する。
同モデル案に沿って、国、自治体、支援団体を対象とした健康危機対応の要となる本部運営手法のハザード種別を超えた標準化を目指し、標準的な本部運営手順書の作成、研修資料を開発した。
結論
日本版HEOCの設立に際して、厚生労働省と都道府県との情報連携を推進し、特に都道府県の対応を支援する観点から、政府や関係省庁、都道府県等の対策本部、関係機関との関係性を体系的に整理した。
我が国の既存の健康危機管理体制に適合するHEOCモデルは以下の通りである。
・HEOCの果たすべき役割
都道府県本部支援、政治的リーダーシップへの情報集約及びオールハザード運用を実現すること。
・運営委員会(ネットワーク会議)の設置
 上記役割を果たすために、オールハザード分野から参加する各支援機関(DMAT・DHEAT・日赤等)の実動リーダーによる運営委員会(ネットワーク会議)を定期開催(顔のみえる関係構築)し、標準教育資料(共通言語)の開発を行う。
・運営委員会(ネットワーク会議)を活用した国HEOC本部運営
各支援機関は国HEOCへの情報集約に協力し、国の意向も踏まえて保有リソース(主に人的資源)を地域で動員、必要に応じて国HEOCに動員する。

公開日・更新日

公開日
2025-09-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-09-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202426002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
アメリカ、カナダ、イスラエルの緊急オペレーションセンター(EOC: Emergency Operations Center)現地視察や、WHOのFramework for a Public Health Emergency Operations Centre (2015)の文献調査及び本邦における健康危機管理体制を踏まえ、Health Emergency Operation Center(HEOC)の在り方、必要な体制について具体的な方策の明確化に向けた知見を得た。
臨床的観点からの成果
①運営委員会(仮称)の設置、②HEOCが有するコア機能の検討精緻化(都道府県本部支援(都道府県ができないことを支援)、政治的リーダーシップへの情報集約、オールハザード運用の実現)、③健康危機管理調整本部(仮称)のレベル設定、リスク評価方法、施設要件(物理的インフラ、情報通信技術インフラ及び規格)、④健康危機管理に関する専門的な知識を有する人材育成(標準教育資料の開発を含む)、⑤支援機関の連携を円滑に行うための実働機関も含めた教育/訓練の実施が重要であることが整理された。
ガイドライン等の開発
健康危機対応にて必要なリソース(人的支援、物資支援・財源・制度調整)のハザード別を超えた普遍性に着目し、平時からのリソース管理体制強化、危機発生時の事前計画や危機の特性に合わせたリソース活用体制を構築するために、施設としての HEOC 設置以前に導入可能なオプションとして運用面を強化することとして、国、自治体、支援団体を対象とした健康危機対応の要となる本部運営手法の標準化を目指した。標準的な本部運営手順書の作成、研修資料の開発したのち、地域で平時のネットワーク会議の開催及び研修・訓練を実施した。
その他行政的観点からの成果
国立感染症研究所EOCにおける緊急検査対応を事例として図上訓練を計画し、訓練実施要項、MSEL、アクションカードを作成した。そしてこれらを用いて、合計4回の図上訓練を実施し、AARにより訓練の運営手順の改善を図りつつ有用性を確認することができた。
災害時の労働衛生・産業保健対応の重要性が再認識され、EOC等への機能実装や国のマニュアル等への反映により、制度化に向けた大きな進展があった。
その他のインパクト
被災地の社会福祉施設で職場環境改善プログラムを開発・実施し、有効性を確認した。「公衆衛生緊急オペレーションセンター構築のためのハンドブック」パートA:方針、計画、手順 日本語版を翻訳し、HEOC構築の具体的な方策の明確化に向けた知見を得た。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
22件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2025-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
202426002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,153,000円
(2)補助金確定額
11,152,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 72,549円
人件費・謝金 3,235,845円
旅費 2,360,653円
その他 2,910,294円
間接経費 2,573,000円
合計 11,152,341円

備考

備考
自己資金:341円

公開日・更新日

公開日
2025-09-29
更新日
-