漢方薬スクリーニングによる新規パーキンソン病治療成分の同定・その作用機序解明

文献情報

文献番号
201008024A
報告書区分
総括
研究課題名
漢方薬スクリーニングによる新規パーキンソン病治療成分の同定・その作用機序解明
課題番号
H22-創薬総合・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
服部 信孝(順天堂大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 栄人(順天堂大学 医学部)
  • 斉木 臣二(順天堂大学 医学部)
  • 井本 正哉(慶応義塾大学 理工学部)
  • 田代 悦(慶応義塾大学 理工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
パーキンソン病(以下PD)は我が国で有病率が2番目に高い神経変性疾患で、薬物療法・定位脳手術療法などの対症療法は確立されつつあるが、疾患の進行を食い止める分子病態に基づいた根本的治療法は存在しない。本研究では3年間の研究期間で、複数のPDモデル細胞を用いた漢方薬スクリーニングにより、オートファジー調節・ミトコンドリア機能保護によるPD進行予防効果が期待できる神経細胞保護効果を持つ漢方薬成分を同定し、薬効成分の結合蛋白の同定・構造解析、更にin vivoモデルでの薬効を証明することを目的とした。
研究方法
現在我が国で使用可能な128種の漢方薬ライブラリーをアセトン抽出後、抽出液をGFP-LC3安定発現HeLa細胞、通常のHeLa細胞を用いてオートファジー活性を上昇させ、遺伝性PD原因遺伝子PINK1を欠くPINK1-/-マウス線維芽細胞の増殖能を回復させ、分化型PC12D細胞にMPP+を添加したPDモデル細胞の細胞死を抑制する漢方薬をヒットとした。さらにC57BL/6Jマウスに、各ヒット漢方薬1mg/gの濃度で第1-7日目まで連続経口投与する。第8日目にMPTPを腹腔内投与し、第9、10、11、15日目に自発運動機能を評価した。
結果と考察
細胞死を抑制するヒットのみ2種類が得られた(ダイオウカンゾウトウ、チョウイジョウキトウ)、同漢方薬はオートファジー活性を変化させず、ミトコンドリア膜電位保護効果を示した。ヒット漢方薬はいずれも2:1の比率でダイオウとカンゾウを含んでおり、同薬剤比率が重要なカギを握る可能性が示唆された。またヒット漢方薬は高濃度ではMPTPの毒性を強化することが示唆された。血液脳関門を通過することが期待されるが、有効濃度については再検討が必要と考えられた。
結論
ヒット漢方薬2種は、パーキンソン病モデル細胞の細胞死を抑制し、ミトコンドリア膜電位を回復させる。

公開日・更新日

公開日
2011-09-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201008024Z