小児がんおよび小児希少難治性疾患の医薬品の早期実用化を目指した新たな審査基準提言のための研究

文献情報

文献番号
202424031A
報告書区分
総括
研究課題名
小児がんおよび小児希少難治性疾患の医薬品の早期実用化を目指した新たな審査基準提言のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KC2010
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
中村 秀文(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 研究開発監理部)
研究分担者(所属機関)
  • 荒川 歩(国立がん研究センター 中央病院小児腫瘍科)
  • 小川 千登世(国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科)
  • 富澤 大輔(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 小児がんセンター 血液腫瘍科)
  • 河合 利尚(国立成育医療研究センター 免疫科)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
2,310,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先行研究で得られた国内外での規制や開発の最新状況、開発ラグの実態、海外での取り組みについての情報収集を活用することで、日本に馴染む新たな審査基準・承認申請データパッケージ・承認後の追加データの収集などの在り方、またこれらスキームに実効性を持たせるための体制・インセンティブ・規制の枠組みなども含めて包括的な提言を作成することを目的とする。令和6年度には、提言に盛り込むべき類型・項目を確定し、解決策について具体的な検討を進めた。
研究方法
検討は小児希少難治性疾患分担班と小児がん分担班で検討を進め、適宜、研究代表者である中村秀文が調整し全体会議で提言の個別の内容の議論を深めた。医薬品医療機器総合機構(PMDA)小児医薬品 WG および、PMDA 審査員は、研究協力者として研究協力体制を構築し連携している。また、令和4年度厚労科研の研究者である鹿野真弓先生、林憲一先も研究協力者として、連携している。さらに厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課とも密に連携の上で実施され、その他の関係団体についても必要に応じて連携が図れる体制にある。鹿野・林班と欧米の医薬品開発促進制度及びドラッグラグ状況についての情報共有・意見交換を行い、鹿野研究室及び製薬協で取りまとめ中のデータパッケージの具体例についても反映する予定である。令和6年度には、提言に盛り込むべき類型・項目を確定し、解決策について具体的な検討を進めた。それぞれの項目について箇条書き的に解決策・提言案を作成し、纏める作業を進めた。
結果と考察
昨年度、議論がやや拡散したため4月にコアメンバーで今後の検討の方向性を検討し、また希少難治性疾患について6月と8月に分担会議を行い、EUでの状況を踏まえた取るべきアクションについての議論を行った。また、提言内容について、7月、9月、10月、12月、3月に全体会議にて検討を進め、提言骨子に盛り込む項目と、それぞれの項目に記載すべき内容についての検討を進めた。以下に項目を示す。
1. 日本に馴染む新たな審査基準・承認申請データパッケージ
1) 既存データの最大活用とデータ取得効率化
2) 海外規制当局との議論等も踏まえつつ、有効性及び安全性を確認する臨床試験を実施せずともM&S等を活用することにより、小児用法・用量を設定可能な疾患領域の特定と拡大
3) 小児医薬品開発を行うべき対象医薬品について:「成人を対象とした医薬品の開発期間中に行う小児用医薬品の開発計画の策定について」通知を踏まえて
4) 小児製剤、添加物について
5) 小児疾患領域における医薬品開発の関するガイダンスの行政からの発出
6) 日本人小児の安全性・有効性データがない、あるいは少ない場合の条件付き承認について
2. 承認後の追加データの収集などの在り方
1) 小児における使用情報を効率的かつ適切に収集する方法の検討
2) 従前のスタイルにとらわれることなく、効率的な情報収集方法を活用する。
3) 日本人データがない、あるいは少ない場合に条件付き承認となった薬剤の承認後のデータ収集
3. 小児の情報を添付文書・IF・その他公開情報にどのように掲載できるかの検討
1) 海外の承認関連データは反映する
2) アカデミアの臨床研究結果をどう反映できるか
3) RWDをどこまで活用可能か
4. これらスキームに実効性を持たせるための体制・インセンティブ・規制の枠組み
1) EMA及びFDAが行っているparallel adviceにPMDAが積極的に参加することにより、早期から国際的な審査の協調を取ることは出来ないか。
2) PMDAに小児・希少疾病用医薬品等薬事相談センターが設立されたが、審査当局として小児開発推進のために何をすべきか
3) PMDAへのアカデミアやhealth care professionalの関与をより密接にできないか
4) アカデミア・現場のネットワーク・インフラ
5) 患者参画
6) アカデミアへのインセンティブ
7) 国立保健医療科学院等による欧米のオーファン指定品目リストの公表
8) Risk sharing
9) Health Literacyの向上
添加剤の情報共有について、また薬物動態や剤形変更の情報のインタビューフォームへの開示などについては、関係団体との意見交換を進めた。これら議論を踏まえて提言の文案作成が進んでおり、令和7年度夏をめどに提言案の最終化の作業を進めている。
結論
承認申請パッケージ・参考資料等の評価、類型化を行い、課題を整理・検討し、各類型・課題における新たな具体的開発・承認推進のためのスキームの検討を進め、それぞれの検討項目について提言内容の検討を進め、一部ステークホルダーとの意見交換も開始した。令和7年夏をめどに案を確定し、関係者の意見聴取の上で内容を確定したい。

公開日・更新日

公開日
2025-06-11
更新日
2025-06-12

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-06-11
更新日
2025-06-12

収支報告書

文献番号
202424031Z