科学的エビデンス等に基づき医療環境に応じた適切な輸血療法実施についての研究

文献情報

文献番号
202424030A
報告書区分
総括
研究課題名
科学的エビデンス等に基づき医療環境に応じた適切な輸血療法実施についての研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KC2009
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
松本 雅則(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 松下 正(名古屋大学 医学部附属病院輸血部)
  • 園木 孝志(和歌山県立医科大学 医学部)
  • 高見 昭良(愛知医科大学)
  • 長谷川 雄一(筑波大学医学医療系)
  • 野崎 昭人(横浜市立大学 附属市民総合医療センター)
  • 北澤 淳一(福島県立医科大学医学部)
  • 田中 朝志(東京医科大学八王子医療センター 臨床検査医学分野)
  • 岡崎 仁(日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所研究開発部)
  • 生田 克哉(旭川医科大学内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野)
  • 奥田 誠(東邦大学医療センター大森病院  輸血部)
  • 藤田 浩(東京都立墨東病院 輸血科)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,310,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歴史的な経緯から厚生労働省が作成する「血液製剤の使用指針」(使用指針)と「輸血療法の実施に関する指針」(実施指針)は別々に改定されてきたため記載の様式も統一されていない。さらに、これらの指針は日本輸血・細胞治療学会が作成したガイドラインを参考にして作成されるため、最新の科学的根拠を指針に盛り込むためには指針とガイドラインをリンクさせることが必要となっている。しかし、現状の学会のガイドラインは記載方法がそれぞれの製剤で異なっており、そのままでは統一した記載内容にならず、指針にそのまま記載するには記載量が多すぎるガイドラインもある。そのため、指針に引用されることを目的として、統一した記載方法のガイドラインを作成し、使用指針と実施指針を統合した輸血療法実践ガイドの作成を本研究班の目的とする。
研究方法
1)輸血療法実践ガイドの使用指針パートに必要なガイドラインの改定
赤血球、血小板、新鮮凍結血漿(FFP)、アルブミンの各製剤の使用ガイドライン、大量出血ガイドライン、小児輸血のガイドラインの6つのガイドラインを改定する。

2)輸血療法実践ガイドの使用指針パートに必要なガイドラインの作成・改定
実施指針に必要なガイドラインとして輸血有害事象対応ガイドライン(輸血有害事象)を改定する。それ以外に、赤血球型検査ガイドライン、輸血情報管理システムガイドライン、輸血用血液製剤保管管理ガイドが実践ガイドには必要である。さらに、離島・へき地での輸血、在宅輸血に関する項目も必要であり、アンケート調査などの実態調査を実施する。
結果と考察
1)使用指針パート
1)-1 赤血球輸血ガイドライン
赤血球輸血ガイドライン第3版は既に完成し、日本輸血細胞治療学会誌70巻6号に掲載されている。記載項目として、疾患別の赤血球製剤使用の推奨があり、制限輸血(Hb7-8g/dLを輸血トリガー)と非制限輸血(Hb8-10g/dL未満を輸血トリガー)のどちらを推奨するか記載されている。もう一つの項目は自己血輸血の推奨である。大きな推奨の変化はないが、強い推奨は心臓血管外科手術のみであった。
1)-2 血小板輸血ガイドライン
第3版の草稿は完成した。今後、パブリックコメントを募集して最終版を完成し、発表する予定である。
1)-3 FFPガイドライン
第3版の推奨文を作成中であり、5月中に完成予定である。今後パブリックコメントを募集して完成させる予定である。
1)-4 アルブミンガイドライン
アルブミン製剤使用ガイドライン第3版は、日本輸血細胞治療学会誌70巻3号に掲載されている。CQは13個のままで変更はなく、推奨も大きな変更はない。近年、腹水を伴う肝硬変に対する使用が多く、研究が進んでいる。今回推奨は1のままであるがエビデンスレベルがBからAに変更となった。
1)-5 大量出血症例に対する血液製剤の適正な使用のガイドライン
第2版の推奨が決定し、草稿が完成した。今後、パブリックコメントを募集する。9学会合同で作成しているので、それぞれの学会での承認作業が必要であり、最終的にそれぞれの学会の理事会承認を得た後に公表する。
1)-6 小児輸血
前回と同じ6つのCQで行うことになった。文献検索は2024年5月までの期間で実施し、文献選択は終了した。

2)実施指針パート
2)-1 輸血有害事象対応ガイドライン
第2版は完成し、学会誌で印刷中である。第1版と比べて大きな変更はないが、「輸血中の患者がアナフィラキシーまたはアナフィラキシーショックを発症した場合、迅速なアドレナリンの筋肉注射が推奨される」の推奨に関して、前回は1Cであったが、今回は1Aとなった
2)-2 赤血球型検査ガイドライン
今回第5版が作成され、前版よりいくつかの変更点があるが、患者確認の方法、精度保証、コンピュータクロスマッチなどの記載が変更された。
2)-3 輸血用血液製剤保管管理ガイド
日本輸血細胞治療学会雑誌70巻6号に掲載され、平成5年に作成された「血液製剤保管管理マニュアル」を30年以上ぶりに改定したものである
2)-4 輸血情報管理システムガイドライン
「コンピュータクロスマッチに適合する患者と輸血管理システムに必要な条件(改訂2版)」というタイトルで論文として発表した。
2)-5 離島・へき地での輸血療法
離島、へき地での実態調査を計画し、結果を解析中である。
2)-6 在宅輸血
 在宅輸血の実地調査を行い、情報収集を行った。赤血球、血小板製剤などを在宅へ搬送する手段、クリニックでの一時保管の環境などを検討する。
結論
輸血療法実践ガイド作成のための、使用指針に必要なガイドラインや実施指針に必要なガイドラインもほぼ完成した。令和7年度中に実践ガイドを完成予定である。

公開日・更新日

公開日
2025-07-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-07-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
202424030Z