文献情報
文献番号
201008016A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性てんかん患者由来iPS細胞を用いた新規創薬基盤の構築
課題番号
H21-生物資源・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
金村 米博(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター EBM先進医療研究開発部 再生医療研究室)
研究分担者(所属機関)
- 高橋 幸利(独立行政法人国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター)
- 佐藤 薫(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
難治性てんかん患者に由来するヒトiPS細胞/神経幹細胞を樹立し神経細胞を作成し、てんかんモデル細胞としての有用性を検証し、抗てんかん薬開発過程に利用可能な新規生物資源の確立とそれを応用した新規創薬評価系の開発を目指す。
研究方法
1.てんかん患者由来iPS細胞および神経幹細胞の樹立:患者由来神経組織から神経幹細胞、アストロサイト様神経上皮細胞を樹立した。頭皮由来線維芽細胞に山中4因子遺伝子導入し、iPS細胞を作成した。
2.培養ラット胎児神経細胞を用いたアポトーシス測定系の確立:ラット胎児大脳半球由来細胞を用いて、ApopLadder EXとAgilent 2100 バイオアナライザーにてDNAラダー形成を検討した。
3.てんかんモデル神経細胞としての有用性評価と生物資源化:患者由来アストロサイト様神経上皮細胞およびコントロール細胞として健常人iPS由来neurosphereについて特性解析を行った。
2.培養ラット胎児神経細胞を用いたアポトーシス測定系の確立:ラット胎児大脳半球由来細胞を用いて、ApopLadder EXとAgilent 2100 バイオアナライザーにてDNAラダー形成を検討した。
3.てんかんモデル神経細胞としての有用性評価と生物資源化:患者由来アストロサイト様神経上皮細胞およびコントロール細胞として健常人iPS由来neurosphereについて特性解析を行った。
結果と考察
1.神経幹細胞(11株)、アストロサイト様神経上皮細胞(13株)、線維芽細胞(20株)をそれぞれ樹立し、2症例の線維芽細胞から合計8クローンのiPS細胞の樹立に成功した。これら神経幹細胞とiPS細胞およびその分化細胞のin vitroにおける細胞特性解析を実施した。
2.培養ラット胎児神経細胞はStaurosporineを添加することでCaspase-3活性、DNAラダー形成の増加が起こり、自然経過の中で10DIV以降徐々にDNAラダー形成増加を認めた。非ヘルペス性急性辺縁系脳炎患者の髄液を加えた場合、DNAラダー形成が著増し、患者髄液中のIgG分画を加えた場合、DNAラダー形成が抑制されることが確認された。
3.てんかん患者由来アストロサイト様神経上皮細胞はアストロサイトマーカーの発現が非常に弱く、グルタミン酸取り込み能が見られず、てんかん病態を反映する異常アストロサイトである可能性が示された。また、健常人iPS由来neurosphereから興奮性グルタミン酸神経および抑制性GABA神経の分化に成功し、薬理学的解析が可能であることが示された。
2.培養ラット胎児神経細胞はStaurosporineを添加することでCaspase-3活性、DNAラダー形成の増加が起こり、自然経過の中で10DIV以降徐々にDNAラダー形成増加を認めた。非ヘルペス性急性辺縁系脳炎患者の髄液を加えた場合、DNAラダー形成が著増し、患者髄液中のIgG分画を加えた場合、DNAラダー形成が抑制されることが確認された。
3.てんかん患者由来アストロサイト様神経上皮細胞はアストロサイトマーカーの発現が非常に弱く、グルタミン酸取り込み能が見られず、てんかん病態を反映する異常アストロサイトである可能性が示された。また、健常人iPS由来neurosphereから興奮性グルタミン酸神経および抑制性GABA神経の分化に成功し、薬理学的解析が可能であることが示された。
結論
複数のてんかん患者由来細胞の樹立に成功し、種々の解析系を用いてそれら細胞特性解析を本格的に開始した。最終年度は更なる詳細な特性解析を実施し、抗てんかん薬開発過程に利用可能な新規生物資源としての有用性を評価する。
公開日・更新日
公開日
2011-06-21
更新日
-