文献情報
文献番号
201008014A
報告書区分
総括
研究課題名
カイコをモデル動物とした生活習慣病予防・治療薬の開発
課題番号
H21-生物資源・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
関水 和久(東京大学大学院 薬学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 村上 和久(株式会社ゲノム創薬研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我々は、安価で倫理的な問題が少ないカイコをモデル動物とした生活習慣病モデルの開発と、その疾患モデルを用いた創薬法の開発を目指している。
研究方法
1. 糖尿病モデル、糖尿病合併症モデル、肝障害モデル、高脂血症モデルを確立
2. 農産物や食品、天然物 (植物や微生物) から治療効果物質を探索
3. 有効成分を分離精製
4. 前臨床試験
2. 農産物や食品、天然物 (植物や微生物) から治療効果物質を探索
3. 有効成分を分離精製
4. 前臨床試験
結果と考察
本課題で、我々は、餌に添加したグルコースによって血糖値が上昇、成長阻害が起こり、ヒト・インシュリンによって回復するという糖尿病モデルの確立に成功した。また、糖尿病合併症の発症に関与する血中でのメイラード反応を阻害するアミノグアニジンの投与により高血糖カイコにおける成長阻害が回復した。さらに、カイコの糖尿病モデルを用いて、生薬のジオウの熱水抽出画分に血糖降下活性があり、血糖降下活性を指標にジオウ中のガラクトースを血糖降下物質として単離した。また、ガラクトースは糖尿病モデルマウスに対しても血糖降下作用を示した。さらに、ガラクトースにより、糖尿病マウスの肝臓におけるグルコースの輸送タンパク質の量が上昇していた。四塩化炭素等の肝薬物の投与に依り、カイコの血中ALTが上昇した (肝障害モデル)。昆虫が生合成できない胆汁酸を餌に添加する事で、カイコの血中中性脂肪濃度が上昇した (高脂血症モデル)。また、血液注射では効果が無くても、経口投与を行う事によって、糖の吸収を穏やかにする物質 (ガバ茶) を探索できる事を示し、その様な生薬として白鶴霊芝を特定した。さらに、糖尿病モデルを用いて新たに血糖降下作用を有する生薬(ニンジンエキス、カロコンエキス、カンゾウエキス)を同定した。
従って、カイコをモデル動物として糖尿病モデル、糖尿病合併症モデル、肝障害モデル、高脂血症モデルを確立できたと判断した。また、糖尿病モデルを用いて、血糖調節に寄与する生薬、食品を特定できることが示された。
平成22年度では、特にガラクトースによる糖尿病マウスを用いた血糖低下メカニズムの解析、カイコ糖尿病合併症モデルを用いた治療効果を示す候補化合物の探索と同定、カイコの糖尿病モデルに対する血糖値を低下させる生薬の探索実験を主として研究した。
従って、カイコをモデル動物として糖尿病モデル、糖尿病合併症モデル、肝障害モデル、高脂血症モデルを確立できたと判断した。また、糖尿病モデルを用いて、血糖調節に寄与する生薬、食品を特定できることが示された。
平成22年度では、特にガラクトースによる糖尿病マウスを用いた血糖低下メカニズムの解析、カイコ糖尿病合併症モデルを用いた治療効果を示す候補化合物の探索と同定、カイコの糖尿病モデルに対する血糖値を低下させる生薬の探索実験を主として研究した。
結論
無脊椎動物を用いた糖尿病モデル、糖尿病合併症モデル、肝障害モデル、高脂血症モデルを確立し、治療薬の候補化合物を同定できるという初めての研究となった。さらに、ガラクトースに血糖低下作用があることを初めて明らかとした。
公開日・更新日
公開日
2011-06-21
更新日
-