輸血医療の安全性向上のためのデータ構築研究

文献情報

文献番号
202424019A
報告書区分
総括
研究課題名
輸血医療の安全性向上のためのデータ構築研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22KC2006
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 佐保子(国立感染症研究所 次世代生物学的製剤研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 栄史(愛知医科大学病院 輸血部)
  • 田中 朝志(東京医科大学八王子医療センター 臨床検査医学分野)
  • 米村 雄士(熊本大学医学部附属病院)
  • 上野 志貴子(熊本大学病院 輸血・細胞治療部)
  • 紀野 修一(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 岡崎 仁(東京大学 輸血部)
  • 日野 郁生(日本赤十字社 血液事業本部 )
  • 後藤 直子(日本赤十字社 血液事業本部 技術部 安全管理課)
  • 北澤 淳一(福島県立医科大学医学部)
  • 大谷 慎一(北里大学 医学部 輸血・細胞移植学)
  • 末岡 榮三朗(佐賀大学 医学部 臨床検査医学講座)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
4,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
輸血の安全性向上には、献血における採血から医療施設における輸血実施までの transfusion chain全体をカバーする一 連の安全監視(ヘモビジランス)が求められる。 日本ではtransfusion chain前半の日本赤十字社の情報と transfusion chain後半の医療機関の情報が
恒常的に結び付けられていない。本研究では、日本赤十字社の持つ献血情報と医療施設の持つ輸血情報を結合し、トレース可能な状態で収集・解析評価するシステムを構築し、そのシステムを用いて日本全国の輸血副反応情報を収集・解析 ・活用することで輸血のさらなる安全性向上と適正使用を目指す。
研究方法
トレーサビリティの確保された輸血情報収集システムの構築のために、これまでの研究で、医療機関と日本赤十字社の情報管理端末から正確な輸血情報を可能な限り簡易に抽出できる仕組みを確立した。本年度は、新規構築したトレーサビリティが確保された輸血用血液製剤情報収集システム(J-HeST: Japanese hemovigilance scheme with secured traceability)の改良を進めると共に、日本赤十字社データ提供システムを新たに構築した。また、 国家的ヘモビジランス体制整備を目的とする「血液製剤安全監視体制整備事業」が開始され、国の事業において J-HeSTが活用されることとなった。
また、稀な血液型検査に関する医療機関間での協力体制の構築を目指し、各種調査を活用して、医療機関間の協力体制の必要性、受け入れの可否、日本赤十字社の関与方法、外部委託検査機関の現状などの調査を実施した。
結果と考察
初年度は、J-HeSTを稼働しデータ収集を開始するとともに、J-HeSTの周知活動を行った。2年目には、実際に収集された情報を基に解析を開始し、製剤の規格変更を見据えたデータ収集と小規模医療機関対応システムの改良を進めた。3年目には、J-HeSTの機能強化と運用改善を図り、よりシームレスなデータ結合・管理が実現した。さらに、「血液製剤安全監視体制整備事業」での活用により、参加医療機関数が大幅に増加した。また、医療機関間の検査協力体制の調査を実施し、検査体制の具体化に向けた現状把握を行なった。
結論
国家的ヘモビジランス体制の整備を目的とする「血液製剤安全監視体制整備事業」にて、J-HeST が活用される。また、収集した情報は、年次報告としてJ-HeSTサイト内にて公開する。
さらに、収集情報を活用し、「人赤血球液の有効期間の延長による影響の有無に関する調査」「細菌スクリーニングを導入した新規血小板製剤の副反応や廃棄率等への影響に関する調査」を計画している。

公開日・更新日

公開日
2025-09-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-09-29
更新日
-

文献情報

文献番号
202424019B
報告書区分
総合
研究課題名
輸血医療の安全性向上のためのデータ構築研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22KC2006
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 佐保子(国立感染症研究所 次世代生物学的製剤研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 栄史(愛知医科大学病院 輸血部)
  • 田中 朝志(東京医科大学八王子医療センター 臨床検査医学分野)
  • 米村 雄士(熊本大学医学部附属病院)
  • 上野 志貴子(熊本大学病院 輸血・細胞治療部)
  • 紀野 修一(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 岡崎 仁(東京大学輸血部)
  • 日野 郁生(日本赤十字社 血液事業本部 )
  • 後藤 直子(日本赤十字社 血液事業本部 技術部 安全管理課)
  • 北澤 淳一(福島県立医科大学医学部)
  • 大谷 慎一(北里大学 医学部 輸血・細胞移植学)
  • 末岡 榮三朗(佐賀大学 医学部 臨床検査医学講座)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
輸血医療の安全性を向上させるためには、献血時の採血から医療施設における輸血実施に至るまでの transfusion chain 全体を対象とする包括的な安全監視、すなわちヘモビジランス体制の構築が不可欠である。日本においては、transfusion chain 前半を担う日本赤十字社が保有する献血・製造情報と、後半を担う医療機関が保有する管理・輸血情報が恒常的に結び付けられていない。本研究では、日本赤十字社が保有する献血・製造情報と医療機関が保有する管理・輸血情報を製剤番号で紐付けて結合し、トレーサビリティを確保した形で収集・解析・評価するシステムを構築、改良、および運用を目的とした。さらに、このシステムを通じて全国規模で輸血副反応情報を収集・解析・活用することで、輸血のさらなる安全性向上と適正使用を実現することを目指した。
研究方法
初年度は、トレーサビリティの確保された輸血情報収集システム(J-HeST: Japanese hemovigilance scheme with secured traceability)を稼働させ、医療機関からの登録およびデータ提出体制を整備した。これにより、副反応報告や使用製剤情報を製造番号で紐付けることが可能となり、献血から輸血までのトレーサビリティを確立できることが実証された。一方で、カルテからの情報抽出の困難さ、倫理審査の必要性、データ標準化の不足といった課題も明らかとなった。
2年目には、収集した情報を用いて赤血球製剤や血小板製剤の有効期限、副反応発生状況等の解析を進めた。特に、赤血球製剤の有効期限延長、血小板製剤の細菌スクリーニング導入および有効期限延長といった規格変更を見据え、現状データの収集を実施した。また、小規模医療機関からのデータ収集を可能とするために専用システムの構築、改良を行い、幅広い施設からの参加を試みた。
3年目には、実際にJ-HeSTを稼働させる中で顕在化した課題を整理し、セキュリティ強化や操作性改善を含むシステム改修を行った。加えて、日本赤十字社のデータ提供システムを新たに構築した。その結果、データの管理・結合が一層シームレスとなり、効率的かつセキュアな情報収集が可能となった。国の事業として「血液製剤安全監視体制整備事業」が進められ、J-HeSTがその中核的役割を担うこととなった点は大きな成果である。また、稀な血液型検査に関する医療機関間の協力体制の必要性や受け入れ体制、日本赤十字社や外部検査機関の関与方法についての調査も行い、今後の制度設計に資する知見を得た。
結果と考察
初年度は、J-HeSTを稼働しデータ収集を開始するとともに、J-HeSTの周知活動を行った。2年目には、実際に収集された情報を基に解析を開始し、製剤の規格変更を見据えたデータ収集と小規模医療機関対応システムの改良を進めた。3年目には、J-HeSTの機能強化と運用改善を図り、よりシームレスなデータ結合・管理が実現した。さらに、「血液製剤安全監視体制整備事業」での活用により、参加医療機関数が大幅に増加した。また、医療機関間の検査協力体制の調査を実施し、検査体制の具体化に向けた現状把握を行なった。
結論
本研究で構築・改良したJ-HeSTは、国家的ヘモビジランス体制の整備を目的とする「血液製剤安全監視体制整備事業」において活用される。収集した情報の集計、統計解析結果のWeb公開が予定されており、公開情報の利活用を通じたヘモビジランス教育・研修による全国的な輸血安全性の向上が期待される

公開日・更新日

公開日
2025-09-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-09-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202424019C

収支報告書

文献番号
202424019Z