創薬および臨床試験の効率化に資するメタボリックシンドロームと心血管病のモデルラットの開発研究

文献情報

文献番号
201008013A
報告書区分
総括
研究課題名
創薬および臨床試験の効率化に資するメタボリックシンドロームと心血管病のモデルラットの開発研究
課題番号
H21-生物資源・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 規弘(国立国際医療研究センター 研究所・遺伝子診断治療開発研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 並河 徹(島根大学 医学部)
  • 福田 昇(日本大学 総合科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は(1)げっ歯類のcholesterol ester transfer protein(CETP)欠損を補うべく、トランスジェニック(Tg)ラットを作成して、脂質代謝障害から動脈硬化への進展、特に心筋梗塞の新規モデル動物を開発すること、(2)メタボリックシンドロームなどのリスクファクター集積に関わる疾患モデルラットを新たに開発すること、そして(3)これらを創薬および臨床試験の効率化に役立てるべく“心血管病評価用ラットパネル”として整備すること、を主たる目的とする。
研究方法
大きく三つの部分から成る。一つ目は、高血圧自然発症ラット(SHR)にヒトCETPを導入したTgラットを作成する部分であり、二つ目は、同Tgラットも含めて、心血管病関連形質を特徴的に有する近交系ラット群から“心血管病評価用ラットパネル”を作成する部分であり、三つ目は心血管病の病態探究である。
結果と考察
課題ごとに研究成果を記載する。
1. ヒトCETPを導入したTgラットの作成
transgene導入に成功した系統が全部で5系統あり、そのうち3系統の繁殖・維持に成功した。血中脂質レベルに関しては、導入copy数に応じて総コレステロール(TC)が顕著に低下し、逆に中性脂肪(TG)が顕著に上昇していた。ラットTCの最大アポ蛋白分画はHDLであることから、HDL↓、TG↑という、ヒトでの動脈硬化型脂質異常が見られた。
2.心血管病評価用ラットパネルの作成
初年度に作成した「劇症型脳卒中易発症SHR(E-SHRSP)」の臨床的評価を行った。E-SHRSPは、通常餌飼育下で5ヶ月齢までに高率に脳卒中を自然発症すること、食塩負荷により更に発症時期を早められること、生後10-12週という幼若期の血圧の比較的マイルドな減少が脳卒中発症抑制に相当な影響を及ぼす可能性が高いこと、等が判明した。
3.ラットでの心血管病の病態探究
特に腎障害に対して、補体C3の病因/病態的関与を検討した。血管平滑筋細胞、腎メサンジウム細胞を単離継代培養し、それらに対するC3a受容体拮抗薬、pre-pro-C3アンチセンスオリゴの影響を評価したところ、共にAng II産生等を抑制した。
結論
CETPのTgラットに関してphenotypeの評価を開始し、ヒトでの動脈硬化型脂質異常が認められた。高血圧性腎障害の病態改善に、補体C3阻害の治療的有用性を確証した。

公開日・更新日

公開日
2011-07-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201008013Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,500,000円
(2)補助金確定額
9,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-17
更新日
-