文献情報
文献番号
202424015A
報告書区分
総括
研究課題名
体外診断用医薬品に係る安全対策のあり方に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22KC2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
矢冨 裕(国際医療福祉大学 大学院)
研究分担者(所属機関)
- 大西 宏明(杏林大学 医学部臨床検査医学教室)
- 古川 泰司(帝京大学 医学部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,120,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、体外診断用医薬品(体外診)の安全対策に係る規制(副作用報告及び添付文書の記載要領)の問題点を明らかにし、改善案を提案することであるが、令和6年度においては、これまでの研究成果を踏まえた検討を進め、本研究班としてのとりまとめを行った。
研究方法
全委員が密に連携を取り、全体会議をハイブリッド形式で、毎月1回開催した。さらには、これとは別に、研究代表者・分担者と研究協力者がテーマを絞った形で集まり、意見交換を行った。また,適宜,メールによる議論も展開した。
結果と考察
1.体外診断用医薬品の不具合報告体制の確立~報告手順、報告様式の検討~
これまでの研究、つまり、国内規制の問題点の洗い出し、諸外国の規制に関する実態調査を通じて、現状の体外診の副作用報告制度は、その特性上、医薬品の副作用報告制度から独立させることが望ましいこと、我が国においても諸外国同様に、体外診の特性への一定の配慮のもとで、医療機器の不具合報告制度を体外診のそれに準用することが可能であることを報告していた。令和5年度においては、体外診不具合報告の具体的な報告手順(デシジョンツリー)や報告様式の案を確定するとともに、体外診の特性から、医療機器の不具合報告制度を応用した場合に生じる問題点について議論、指摘した。
その一方、医療機関等からの体外診の不具合報告に関しては、アメリカ・カナダにおいては、その報告義務が課せられているのに対し、我が国では努力義務となっている。令和6年度においては、体外診の使用者である医薬関係者(医療機関)からの不具合報告に関しても検討し、医薬品・医療機器等安全性情報報告制度の活用が提案された。その上で、製造販売業者からの不具合報告様式の案を参考にして、医薬関係者からの報告様式についても、体外診に特化した内容に変更した案を作成した。
2.体外診断用医薬品の添付文書記載要領の記載内容の検討について
体外診の添付文書は、薬機法で規定された体外診を適切に使用・活用するための最も基本となる文書である。体外診の添付文書記載要領通知は、平成17年(2005年)以降、軽微な更新は行われたものの、実質的には約20年間包括的な内容の見直しがされていなかった。
令和6年度においては、現状に合わせた、的確な体外診の添付文書とするための前年度までの検討をさらに進め、既存添付文書の記載内容の問題点抽出、結果をふまえた対応検討を行い、それに基づき、添付文書に関する考え方等に関してコンセンサスを形成した後、記載要領の各項目に対して段階的な検討を進めた。論点として、全体に係る事項、警告の取扱い、禁忌・禁止の取扱い、全般的な注意の取扱い、形状・構造等(キットの構成)の取扱い、使用目的の取扱い、臨床的意義の取扱い、の7つについて必要な対応を提案した。なお、現行の添付文書における課題として、「行政が確認した事項」と「企業が自己責任で記載した事項」が混在しているために使用者からは判断出来ない問題について、内容の類型整理を行い、明確な記載のための基盤整備を行った。研究班において、体外診断用医薬品添付文書整理案、さらには、それを元に実際の添付文書サンプル案を作成し、体外診の使用者である関連2団体(日本臨床検査医学会、日本臨床衛生検査技師会)を対象に、これに対するアンケート調査を実施した。その結果、整理案に対して概ね肯定的な意見が寄せられ、本研究班の調査結果に沿った添付文書作成は妥当と考えられた。
これまでの研究、つまり、国内規制の問題点の洗い出し、諸外国の規制に関する実態調査を通じて、現状の体外診の副作用報告制度は、その特性上、医薬品の副作用報告制度から独立させることが望ましいこと、我が国においても諸外国同様に、体外診の特性への一定の配慮のもとで、医療機器の不具合報告制度を体外診のそれに準用することが可能であることを報告していた。令和5年度においては、体外診不具合報告の具体的な報告手順(デシジョンツリー)や報告様式の案を確定するとともに、体外診の特性から、医療機器の不具合報告制度を応用した場合に生じる問題点について議論、指摘した。
その一方、医療機関等からの体外診の不具合報告に関しては、アメリカ・カナダにおいては、その報告義務が課せられているのに対し、我が国では努力義務となっている。令和6年度においては、体外診の使用者である医薬関係者(医療機関)からの不具合報告に関しても検討し、医薬品・医療機器等安全性情報報告制度の活用が提案された。その上で、製造販売業者からの不具合報告様式の案を参考にして、医薬関係者からの報告様式についても、体外診に特化した内容に変更した案を作成した。
2.体外診断用医薬品の添付文書記載要領の記載内容の検討について
体外診の添付文書は、薬機法で規定された体外診を適切に使用・活用するための最も基本となる文書である。体外診の添付文書記載要領通知は、平成17年(2005年)以降、軽微な更新は行われたものの、実質的には約20年間包括的な内容の見直しがされていなかった。
令和6年度においては、現状に合わせた、的確な体外診の添付文書とするための前年度までの検討をさらに進め、既存添付文書の記載内容の問題点抽出、結果をふまえた対応検討を行い、それに基づき、添付文書に関する考え方等に関してコンセンサスを形成した後、記載要領の各項目に対して段階的な検討を進めた。論点として、全体に係る事項、警告の取扱い、禁忌・禁止の取扱い、全般的な注意の取扱い、形状・構造等(キットの構成)の取扱い、使用目的の取扱い、臨床的意義の取扱い、の7つについて必要な対応を提案した。なお、現行の添付文書における課題として、「行政が確認した事項」と「企業が自己責任で記載した事項」が混在しているために使用者からは判断出来ない問題について、内容の類型整理を行い、明確な記載のための基盤整備を行った。研究班において、体外診断用医薬品添付文書整理案、さらには、それを元に実際の添付文書サンプル案を作成し、体外診の使用者である関連2団体(日本臨床検査医学会、日本臨床衛生検査技師会)を対象に、これに対するアンケート調査を実施した。その結果、整理案に対して概ね肯定的な意見が寄せられ、本研究班の調査結果に沿った添付文書作成は妥当と考えられた。
結論
体外診は、疾患の治療の目的で使われたり、身体に直接使われたりする医薬品・医療機器とは異なる特性を有しており、体外診の特性を考慮した安全対策が必要であることが、本研究において、いっそう明確になった。また、その報告体制に関しては、(医薬品の副作用報告の枠組みではなく)医療機器同様、不具合報告として、体外診の安全性に関わる情報を蓄積・分析し、体外診の安全性向上に活用すべきと考えられ、本研究において、その体制整備に関する提案ができたことは意義深い。また、体外診の添付文書の記載要領の内容に関しても、現場の使用者(臨床検査技師、臨床検査医など)に対するアンケート調査を踏まえた上で、提案できたことは意義深いと考えられる。
公開日・更新日
公開日
2025-06-13
更新日
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