RMCE法による心血管傷害モデルの開発と核酸医薬標的分子の探索

文献情報

文献番号
201008010A
報告書区分
総括
研究課題名
RMCE法による心血管傷害モデルの開発と核酸医薬標的分子の探索
課題番号
H21-生物資源・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
栗原 裕基(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 栗原 由紀子(東京大学 大学院医学系研究科 )
  • 西山 功一(東京大学 大学院医学系研究科 )
  • 富田 幸子(東京女子医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、マイクロRNA(miRNA)の病態生理学的意義が注目されている。本研究において我々は、エンドセリンA受容体(ETAR)遺伝子座を標的とするリコンビナーゼ依存性カセット交換(RMCE)を用いたマウス遺伝学的研究を基盤として、心筋細胞および血管平滑筋細胞におけるmiRNAの病態生理的役割の検証や標的分子の探索が可能なマウスモデルの確立を試みた。
研究方法
マウスES細胞におけるRMCEを用いて、ETAR遺伝子座にmiRNA(miR199a, miR214)を含む前駆体cDNA断片をノックインした。心傷害モデルマウスの作成のため、Isl1-Creマウスと(Sylvia Evans博士より)、iDTRマウス(Ari Waisman博士より)の交配によりIsl1-Cre; iDTRマウスを作成し、ジフテリア毒素(DT)の腹腔内投与を行った。心臓形成の解析はβ-gal染色、in situハイブリダイゼーション、免疫染色、蛍光色素標識、胚組織移植、ニワトリ-ウズラ胚の作成などにより、細胞分化の解析は心筋細胞の初代培養により行った。
結果と考察
本年度は以下の成果を得た。(ⅰ)RMCEにより、miR199a+miR214ノックインマウスを作成した。(ⅱ)Isl1-Cre; iDTRマウスにおいて、DT投与により重篤な心筋傷害が誘導されることを確認した。(ⅲ)本研究の標的細胞であるETAR発現心筋細胞が、心形成過程で流入路から上行して心室筋や心房筋に分化する特徴的な細胞系譜を示すこと、ETシグナルによるERK活性化を介して初期の心臓形成に寄与することを明らかにした。(ⅳ)ETAR-EGFPノックインマウス胚からの初期心筋細胞を、心臓線維芽細胞をフィーダーとして培養することにより、ETAR-EGFP発現細胞の分化方向性を評価する系を確立した。これにより、複数種の心筋細胞への分化能をもつ可能性が示唆された。(ⅴ)ニワトリ-ウズラキメラ胚を用いた細胞系譜の解析と領域特異的な蛍光色素標識解析によって、ETARを発現する心臓神経堤細胞の分布や冠血管系への寄与を明らかにした。
結論
本研究において作成されたマウスおよび実験系は、心血管系におけるmiRNA特異的発現による疾患モデルマウスの確立と解析に有用と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2011-09-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201008010Z