若年層に対する献血推進方策と血液製剤の需要予測に資する研究

文献情報

文献番号
202424011A
報告書区分
総括
研究課題名
若年層に対する献血推進方策と血液製剤の需要予測に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24KC1004
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
田中 純子(広島大学 大学院医系科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 鹿野 千治(日本赤十字社 血液事業本部 経営企画部 事業戦略室)
  • 佐藤 智彦(東京慈恵会医科大学 輸血・細胞治療部)
  • 秋田 智之(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,220,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、
1. 血液製剤の医療需要と供給の予測に関する研究、
2. 若年層に対する献血推進の方策とその効果に関する研究、
3. 国内外の血液製剤に係る研究開発の動向に関する研究、
の3つの研究の柱からなり、エビデンスに基づいた献血施策の基盤となる成果の提示を目指す
研究方法
NDB(National Data Base)、日赤血液製剤供給実績、日本輸血・細胞治療学会の調査結果等を用いたより精緻な需要予測を行い、医療需要の動向を明らかにする。
結果と考察
1. 血液製剤の医療需要と供給の予測に関する研究
1)NDBを使用した免疫グロブリン製剤の実態解析と必要原料血漿量の需要予測では、従来の国内血漿由来製剤を基にした推計に加え、総処方量(海外血漿由来分を含む)と期待自給率95.3%を基にした原料血漿量の推計を行った。
免疫グロブリン製剤の処方患者数、のべ処方本数(2.5g換算)は、国内血漿由来では、2025年度54,019人、1,836,376本、2028年度42,834人、1,704,765本、総処方量では、2025年度54,819人、2,363,737本、2028年度44,744人、2,431,523本、必要原料血漿量は、国内血漿由来では、2025年度91.8~107.4万ℓ、2028年度85.2~99.7万ℓ、総処方量では、2025年度103.9~129.5万ℓ、2028年度95.8~133.2万ℓと予測された。
また、2024年4月に2012~2023年度のNDBデータを厚生労働省に申請し、同年6月の審査で利用承諾を得た。2025年3月末時点、提供待ちである。
従来の線形回帰から機械学習を用いた予測精度向上も検討中である。
2)献血の需要と供給の将来推計では、
【供給】日赤より令和6年11月に提供された献血者データより算出した年間のべ献血者数は2021年度505万人(令和4年度研究での予測値493万人)、2022年度501万人(同482万人)、2023年度501万人(同471万人)であった。引き続き、Age-Period-Cohortモデルによる献血者数の将来推計を行う予定である。
【需要】輸血用製剤は、令和5年度研究にて日本赤十字社の「血液製剤単位数」(2008〜2021年)を年齢群別に按分し、人口千人あたりの年齢群別製剤使用数を基に一般化線形モデルで将来推計を行った結果、2025年度の推定需要は赤血球・全血製剤620万単位、血小板製剤870万単位、血漿製剤205万単位、2028年度では594万単位、834万単位、194万単位と予測された。1)の原料血漿量を合わせて、血液製剤の需要量を献血者数に換算し、2025年度全血献血321万人、血小板成分献血83万人、血漿成分献血18万人、2028年度307万人、80万人、17万人が必要と予測された。
原料血漿の確保に必要な成分献血者数(他の献血からの転用を除く)は、2025年度約72万〜126万人、2028年度約62万〜140万人と予測された。
これらを合わせた輸血用血液製剤と血漿分画製剤の総需要に対する必要献血者数は、2025年度494万〜548万人、2028年度465万〜543万人となる。
不足する場合の献血者数は、2025年度約45万〜99万人、2028年度約51万〜129万人と試算された。
特に16〜39歳の若年層に対する目標献血率は、2025年度6.4〜8.2%、2028年度6.3〜8.8%と推計され「献血推進2025」で掲げられた目標値6.7%とほぼ一致することから、目標値の修正は現時点では不要と判断された。
これらの結果は、2024年7月の第1回献血推進調査会にて田中純子代表が参考人として「献血推進2025」の妥当性および2028年の目標値案として説明した。
引き続き、2028年度の具体的な献血目標値を更新する予定である。

2.若年層に対する献血推進の方策とその効果に関する研究では、医療系大学生向けの献血啓発教材を用いた教育後の献血行動の追跡調査の検討や、献血教育において参加型実習による効果を検討した。参加型実習では初回献血者が増加する結果を得た。
また、令和5年度研究で実施した「ポストコロナにおける効果的な献血確保策の先進事例調査」結果を事例集としてまとめ、Web公開した。

3.国内外の血液製剤に係る研究開発の動向に関する研究では、日本・輸血細胞治療学会 令和6年度血液製剤使用実態調査を分析し、赤血球、血小板、新鮮凍結血漿、免疫グロブリン製剤の使用量は近年増加傾向、アルブミン製剤は減少傾向であった。
新規血液製剤の開発動向を調査の結果、各種の新規血液製剤の国内での製造・開発の点で課題が多く、使用承認の見通しは立っていなかった。今後は海外の使用動向をエビデンスに基づき調査する必要がある。
結論
上記、得られた知見は研究目的に適う

公開日・更新日

公開日
2025-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
202424011Z