文献情報
文献番号
202424007A
報告書区分
総括
研究課題名
地域連携薬局・専門医療機関連携薬局が地域で果たすべき機能に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KC1006
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
山村 重雄(城西国際大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
- 藤 秀人(富山大学大学院医学薬学研究部(薬学)医療薬学研究室)
- 岡崎 光洋(北海道薬科大学 社会薬学系 医薬情報解析学分野)
- 友成 真理(富山大学 薬学部)
- 藤岡 孝志(富山大学 学術研究部薬学・和漢系 医療薬学研究室)
- 倉田 なおみ(昭和大学 薬学部)
- 吉岡 優子(一般社団法人日本コミュニティファーマシー協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
2,826,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
地域連携薬局および専門医療機関連携薬局は、地域においてその専門性を発揮し、地域医療の中核を担うことが期待されている。しかし、認定要件は明確である一方で、認定後における具体的な地域活動についての包括的な報告は存在しない。そこで、地域連携薬局、専門医療機関連携薬局の認定を受けているすべての薬局に対して現状の調査を行うこととした。今年度は地域連携薬局および地域連携薬局以外に対する調査を行う。さらに、認定薬局の利用者に対し、認定薬局に対する認知度および期待する機能について調査を行うことで、認定薬局の現状と、薬局および薬剤師が抱える課題を明らかにすることを目的とする。
研究方法
2023年12月の段階で地域連携薬局の認定を受けているすべての薬局に調査を依頼した。調査内容は、地域連携薬局では、薬局の基本的立地条件や認定要件の実施状況、また、認定に至るまでに苦労した点などを包括的に調査した。同時点で地域連携薬局の認定を取得していない薬局に対しても同様の薬局背景や認定を取得していない理由等を調査した。専門医療機関連携薬局では、前年度調査した結果を解析した。さらに、前記調査で利用者に対する調査の実施を可能と回答した薬局に対して利用者に対する調査票を配布し、調査への参加の同意を得たのち、利用者に対する認定薬局のイメージや期待する機能についても調査した。質問表に対する回答はWEB経由で収集した。
結果と考察
地域連携薬局では地域において利用者に対する認定要件に含まれるサービスは提供できているものの、利用者におけるサービス内容の認知度は十分でなかった。地域連携薬局の認定前後における近隣の医療機関や地域住民の反応、薬剤師の業務変化、認定を取得していない薬局との違いなどについて質問したが、大半の薬局でこれらの変化を感じてはおらず、地域連携薬局になったことで業務などが好転したという意見はほとんどなかった。また、地域連携薬局の機能を利用者からあまり理解してもらえていないとの回答が多かった。一方、利用者の回答からは認定薬局だからとの理由で当該薬局を利用しているとの反応は少なく、連携薬局の認定(機能の充実)が利用者の薬局選択に影響していなかった。利用者の回答では、地域連携薬局の内容まで知っているという利用者であっても具体的な内容の理解度は十分でなかった。これらの結果は地域連携薬局の機能の認知度を上げる活動を広げる必要があることを示している。また、地域連携薬局の認定を受けていない薬局と比較すると、構造・設備の問題と薬剤師の研修(認定取得等)の問題で取得されないとの意見が多かった。これは、認定を受けた後でも同様で、常に薬剤師の能力、意識を高めるための方策を講じていく必要があることを示唆している。
専門医療機関連携薬局でも地域で利用者に対する認定要件に含まれるサービスは提供できているものの、サービス内容の認知度は十分でなかった。「専門医療機関連携薬局」という名称からより専門性の高いサービスが受けられるとのイメージを持つためか、薬局・薬剤師に対する期待する内容も専門性の高いサービスの提供を期待する声が多かった。利用者による専門医療機関連携薬局の認知度は低く、認定をとれているから薬局を選んでいるという利用者も少なかった。地域連携薬局の場合と機能と提供できるサービス内容の認知度を上げる必要がある。
利用者が期待する連携薬局のサービスは薬剤師からのわかりやすい薬の説明であった。これを実現するためには薬剤師の知識やコミュニケーションスキルの向上および薬局の適切な構造設備が必要になるだろう。連携薬局の認定に構造や薬剤師の人数といったハード面だけでなく、薬局・薬剤師の能力といったソフト面の評価も必要かもしれない。いずれにしても認定薬局の機能向上や薬剤師の能力のスキルアップにつなげ、認定の重要性が認知度されるようなシステム作りが求められる。
専門医療機関連携薬局でも地域で利用者に対する認定要件に含まれるサービスは提供できているものの、サービス内容の認知度は十分でなかった。「専門医療機関連携薬局」という名称からより専門性の高いサービスが受けられるとのイメージを持つためか、薬局・薬剤師に対する期待する内容も専門性の高いサービスの提供を期待する声が多かった。利用者による専門医療機関連携薬局の認知度は低く、認定をとれているから薬局を選んでいるという利用者も少なかった。地域連携薬局の場合と機能と提供できるサービス内容の認知度を上げる必要がある。
利用者が期待する連携薬局のサービスは薬剤師からのわかりやすい薬の説明であった。これを実現するためには薬剤師の知識やコミュニケーションスキルの向上および薬局の適切な構造設備が必要になるだろう。連携薬局の認定に構造や薬剤師の人数といったハード面だけでなく、薬局・薬剤師の能力といったソフト面の評価も必要かもしれない。いずれにしても認定薬局の機能向上や薬剤師の能力のスキルアップにつなげ、認定の重要性が認知度されるようなシステム作りが求められる。
結論
地域連携薬局や専門医療機関連携薬局では、認定要件に基づくサービスは提供できているものの、利用者の認知度は低く、認定が薬局選びに影響していない。薬局側でも認定による業務の変化やメリットを感じていない場合が多く、利用者もその機能を十分に理解していない。利用者が最も期待するのは「わかりやすい薬の説明」であり、それには薬剤師の知識やコミュニケーション力の向上、薬局の設備改善が必要。今後は薬局単体でなく薬剤師会などの組織による認知活動や、構造面だけでなく薬剤師の能力といったソフト面も含めた評価が重要である。
公開日・更新日
公開日
2025-07-29
更新日
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