文献情報
文献番号
202424006A
報告書区分
総括
研究課題名
AIを用いた医療情報の医薬品安全への活用に向けた諸要件の調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KC1005
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
荒川 憲昭(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
研究分担者(所属機関)
- 佐井 君江(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部 第一室)
- 岡本 里香(京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻 ビッグデータ医科学分野)
- 太田 実紀(定作 実紀)(東京大学 医学部附属病院)
- 今任 拓也(国立がん研究センター 社会と健康研究センター コホート研究部)
- 瀬戸 僚馬(東京医療保健大学 医療保健学部 医療情報学科)
- 鈴木 晶子(国際高等研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、医薬品安全性監視(ファーマコビジランス、PV)における効率化と品質向上を目指して、人工知能(AI)の導入が検討されている。従来の手法では、副作用情報の収集や分析は人手に頼る部分が多く、膨大なデータを処理するためには限界がある。AIを活用することで、副作用の早期発見や因果関係の精緻な評価が可能となり、医薬品の安全管理の精度を高めることが期待されている。本研究は、PV分野におけるAI技術の導入に向けた現状と課題を分析し、推進に向けた具体的なガイダンス案を提案することを目的とした。
また、本研究は、国内外のPV領域におけるAI活用の現状やニーズを調査し、業界間の相違点を明確にすることを目指している。さらに、AI導入に伴う課題や留意点を整理し、医薬品安全管理の質向上に向けた実践的な提案を行うことを目指している。
また、本研究は、国内外のPV領域におけるAI活用の現状やニーズを調査し、業界間の相違点を明確にすることを目指している。さらに、AI導入に伴う課題や留意点を整理し、医薬品安全管理の質向上に向けた実践的な提案を行うことを目指している。
研究方法
1.国内外の医薬品安全対策におけるAI活用の検討状況の調査
CIOMS WG XIVや、米国FDA、EMAなどの規制当局が公開した情報を調査した。また、台湾の医療機関におけるリアルワールドデータ活用に関する進捗やAI活用の現状についても調査を行った。
2.企業におけるAI活用の検討状況や実施例の調査
国内のIT企業を対象に、AI活用のニーズや技術開発・活用動向を把握するためのアンケート調査を実施した。また、AIシステム開発を進める企業に対し、オンラインヒアリング調査を行った。
3.医療現場におけるAI活用の議論
国内の病院薬剤部門を対象に、AI導入のニーズや課題をインタビュー調査で収集し、医療現場でのAIの活用可能性を探った。
4.国内実装に向けた課題の抽出
PV業務における「既知・未知判定」や「因果関係評価」に関する課題をシミュレーションモデルで検討した。また、看護記録から副作用情報を抽出し、AIによるシグナル検出の可能性を探った。
5.倫理的・法的課題の調査
国内外の法制度やガイドライン(日本の個人情報保護法、GDPR、HIPAAなど)を比較し、AI技術導入における倫理的・法的課題を抽出した。
CIOMS WG XIVや、米国FDA、EMAなどの規制当局が公開した情報を調査した。また、台湾の医療機関におけるリアルワールドデータ活用に関する進捗やAI活用の現状についても調査を行った。
2.企業におけるAI活用の検討状況や実施例の調査
国内のIT企業を対象に、AI活用のニーズや技術開発・活用動向を把握するためのアンケート調査を実施した。また、AIシステム開発を進める企業に対し、オンラインヒアリング調査を行った。
3.医療現場におけるAI活用の議論
国内の病院薬剤部門を対象に、AI導入のニーズや課題をインタビュー調査で収集し、医療現場でのAIの活用可能性を探った。
4.国内実装に向けた課題の抽出
PV業務における「既知・未知判定」や「因果関係評価」に関する課題をシミュレーションモデルで検討した。また、看護記録から副作用情報を抽出し、AIによるシグナル検出の可能性を探った。
5.倫理的・法的課題の調査
国内外の法制度やガイドライン(日本の個人情報保護法、GDPR、HIPAAなど)を比較し、AI技術導入における倫理的・法的課題を抽出した。
結果と考察
1.国内外の医薬品安全対策におけるAI活用の検討状況
CIOMS WG XIVでは、「Artificial intelligence in pharmacovigilance」についてのレポート案が公表され、AIの活用に関する基本的な原則が策定された。AI技術導入には、リスク評価や人間による監督が不可欠であるとの認識が示され、AI導入のガイドラインが整備されつつあることが明らかになった。
欧米では、AIを活用した副作用検出や因果関係評価の研究が進められており、AI技術の信頼性や透明性が重視されている。台湾では、医療機関におけるデータ標準化が進んでおり、AIによる副作用予測が期待されているが、システム間の互換性やデータ標準化が課題となっていることが確認された。
2.企業におけるAI活用の実施例
国内のIT企業では、AIを活用したPV業務支援のニーズが高まっており、特に「個別症例評価」におけるAI導入に対する関心が強いことがわかった。しかし、実際にAI技術を商用化した企業は少なく、技術開発や導入は依然として検討段階にある企業が多い。特に、副作用報告書や構造化データを活用することに注力されており、AI導入による作業工数削減や評価精度向上が期待されていることがわかった。
3.医療現場におけるAIの課題と可能性
国内の医療現場では、看護記録や診療データをAIで処理することに対して一定の関心が示されているが、アラート過多による情報過負荷やデータ非標準化といった課題も浮き彫りになった。特に、高齢者の多剤併用時におけるAI活用の有効性が期待されており、AIが補完ツールとして機能する可能性があることが示唆された。
4.AI導入における倫理的・法的課題
AI導入に伴う個人情報保護の問題については、個人データの仮名化や匿名化が求められる一方で、AIによる再識別リスクが存在することが確認された。これに対処するためには、明確なガイドラインや透明性の確保が重要であり、データの正確な取り扱いや適切な匿名化手法の整備が必要である。
CIOMS WG XIVでは、「Artificial intelligence in pharmacovigilance」についてのレポート案が公表され、AIの活用に関する基本的な原則が策定された。AI技術導入には、リスク評価や人間による監督が不可欠であるとの認識が示され、AI導入のガイドラインが整備されつつあることが明らかになった。
欧米では、AIを活用した副作用検出や因果関係評価の研究が進められており、AI技術の信頼性や透明性が重視されている。台湾では、医療機関におけるデータ標準化が進んでおり、AIによる副作用予測が期待されているが、システム間の互換性やデータ標準化が課題となっていることが確認された。
2.企業におけるAI活用の実施例
国内のIT企業では、AIを活用したPV業務支援のニーズが高まっており、特に「個別症例評価」におけるAI導入に対する関心が強いことがわかった。しかし、実際にAI技術を商用化した企業は少なく、技術開発や導入は依然として検討段階にある企業が多い。特に、副作用報告書や構造化データを活用することに注力されており、AI導入による作業工数削減や評価精度向上が期待されていることがわかった。
3.医療現場におけるAIの課題と可能性
国内の医療現場では、看護記録や診療データをAIで処理することに対して一定の関心が示されているが、アラート過多による情報過負荷やデータ非標準化といった課題も浮き彫りになった。特に、高齢者の多剤併用時におけるAI活用の有効性が期待されており、AIが補完ツールとして機能する可能性があることが示唆された。
4.AI導入における倫理的・法的課題
AI導入に伴う個人情報保護の問題については、個人データの仮名化や匿名化が求められる一方で、AIによる再識別リスクが存在することが確認された。これに対処するためには、明確なガイドラインや透明性の確保が重要であり、データの正確な取り扱いや適切な匿名化手法の整備が必要である。
結論
本研究は、医薬品安全性監視活動(PV)におけるAI活用に関する現状と課題を明らかにし、実用化に向けた具体的なガイダンスを提案することを目指した。AI技術の導入により、副作用の検出精度向上や作業効率化が期待される一方で、システムの信頼性や倫理的・法的な問題が存在することがわかった。現在は、AI活用に関するガイダンス案作成に資する情報・課題の整理検討を進めている。本研究の結果は、医薬品安全性監視活動におけるAI導入の推進における重要な参考情報になると期待される。
公開日・更新日
公開日
2025-06-06
更新日
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