文献情報
文献番号
202424005A
報告書区分
総括
研究課題名
薬局における口腔の健康維持・増進を推進する薬剤師対象研修プログラムの開発および地域住民を対象とした口腔の健康サポート事業の有用性評価
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KC1004
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
山浦 克典(慶應義塾大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
- 浜田 将太(一般財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 研究部)
- 岩田 紘樹(慶應義塾大学 薬学部)
- 岡崎 光洋(秋田大学大学院 医学系研究科遠隔医療推進開発研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
4,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
口腔の健康問題は多くの全身疾患の原因となり、さらに健康寿命にまで影響を与えることが報告されているが、国民の歯科受診率は伸び悩んでいる。健康サポート薬局は地域住民の健康サポートを具体的かつ積極的に行う機能を有していることから、地域住民の“口腔”の健康サポートを行い、歯科受診勧奨を勧める上でも、最適な立ち位置にある。2015年の「患者のための薬局ビジョン」では健康サポート薬局の機能として地域住民の健康サポートが明示されており、口腔の健康もその一部と捉えられる。しかし、我々の調査では、口腔の健康維持・増進に関する薬局薬剤師の知識と自信度は不足していた。そこで本研究では、1年目に構築した口腔の健康サポートに特化した薬局薬剤師向け研修プログラムを実施し、その有用性を評価した。さらに今年度は、当該研修プログラムを修了した薬剤師による、地域住民の口腔の健康サポートの有用性を、27薬局による多施設無作為化介入研究(RCT)により検証し、医療費への影響も推計した。
研究方法
1年目は、薬局薬剤師の口腔の健康サポートの能力向上を目的に、歯科医師監修のWeb研修と実地研修から成るプログラムを構築した。2年目の今年度は、研究参加に同意した健康サポート薬局に勤務する39名の薬剤師が研修を受講し、研修前後の知識・態度の変化を質問紙で評価した。併せて、多施設無作為化介入研究を実施し、対象27薬局の来局者のうち同意取得した者314名を無作為に介入群と非介入群に分け、薬剤師による口腔の健康サポートの有無が歯科健診受診率や口腔状態に与える影響を検証した。介入内容は支援資材を用いた薬剤師による説明やセルフチェックの指導等で、6ヵ月間に3回、口腔健康イベントを来局時に行い、歯科受診行動やオーラルフレイル等の変化を評価した。さらに、文献調査と研究結果を基に、薬剤師による地域住民の口腔の健康サポートが医療費・歯科医療費に与える影響を推計した。
結果と考察
健康サポート薬局に勤務する薬剤師を対象に、口腔の健康サポートに特化した研修プログラムを実施したところ、受講した薬剤師の知識・対応力・自信が有意に向上した。さらに、勤務薬局での口腔関連商品の品揃えも充実した。また、27薬局での多施設無作為化介入研究では、薬剤師が地域住民に対して口腔の健康サポートを行うことで、非歯科健診受診者の受診率が有意に増加した。さらに、介入群と非介入群を合わせた対象者全体(254名)における非オーラルフレイルの割合は、6ヵ月間で受診・予約した者で有意に改善した。文献および本研究結果に基づく考察から、薬剤師による口腔の健康サポートが中長期的に健康状態の改善や医療費・歯科医療費の抑制にも寄与する可能性が示唆された。
結論
本年度は、1年目に薬剤師向けに構築した口腔に特化した研修プログラムを活用し、健康サポート薬局の薬剤師に対する研修を実施することで、薬剤師の口腔の健康に関する知識および支援に対する自信度の向上が図られることを確認した。
さらに、選定された支援資材を用いて地域住民の口腔の健康サポートの介入を歯科医師との連携のもとで全国的に展開することにより、歯科受診率の向上および健康寿命の延伸に資するのみならず、医療費の適正化にも寄与することが期待される。
さらに、選定された支援資材を用いて地域住民の口腔の健康サポートの介入を歯科医師との連携のもとで全国的に展開することにより、歯科受診率の向上および健康寿命の延伸に資するのみならず、医療費の適正化にも寄与することが期待される。
公開日・更新日
公開日
2025-10-03
更新日
-