食品中の自然毒等のリスク管理のための研究

文献情報

文献番号
202423024A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中の自然毒等のリスク管理のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24KA1001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 敏之(国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所 環境・応用部門 )
研究分担者(所属機関)
  • 松嶋 良次(国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産技術研究所  水産物応用開発部 安全管理グループ)
  • 渡邊 龍一(国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所  環境・応用部門 水産物応用開発部)
  • 内田 肇(国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産技術研究所 環境・応用部門 水産物応用開発部 安全管理グループ)
  • 小澤 眞由(国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所環境・応用部門水産物応用開発部安全管理グループ)
  • 沼野 聡(国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産技術研究所 環境・応用部門 水産物応用開発部)
  • 上間 匡(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 髙橋 洋(国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産大学校)
  • 辰野 竜平(水産研究・教育機構 水産大学校 食品科学科)
  • 南谷 臣昭(岐阜県保健環境研究所 食品安全検査センター)
  • 柴田 識人(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
  • 志田 静夏(齊藤 静夏)(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 長澤 和夫(東京農工大学 大学院工学研究院)
  • 足立 真佐雄(高知大学 教育研究部自然科学系農学部門)
  • 土方 悠希(愛知県衛生研究所 生物学部 医動物研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
29,634,000円
研究者交替、所属機関変更
研究代表者の所属機関は、R7年度から(国)水産研究・教育機構水産技術研究所から北里大学海洋生命学部に変更。

研究報告書(概要版)

研究目的
ふぐをはじめとする海洋生物毒を有する魚介類の喫食や、きのこを含む有毒植物の誤食による食中毒事例は毎年報告されており、死亡者も発生している。また、近年、温暖化による海水温の上昇の影響により、これまで毒化が確認されていなかった貝類の麻痺性貝毒による毒化や、ふぐの漁獲海域の変化や雑種ふぐの発生による食中毒も懸念されている。本研究は、食品中の動物性/植物性自然毒に係る最新の知見を収集・整理し、関係行政機関や事業者への効果的な対策、及び消費者への正確な情報提供のための手法を確立することを目標とする。
研究方法
「雑種ふぐの発生状況及びふぐの流通状況の把握」では、水揚げされた天然フグを外見で鑑別し、種組成や雑種個体数を調査し、一部の試料は、雑種フグの皮、筋肉、肝臓、生殖腺を分離し、毒分析をLC/MS/MSにより行った。 不明種のフグについてゲノムDNAを抽出し、TaqManアッセイで種・雑種を判別した。また、市場で購入したフグの鑑別を行い、雑種フグの流通状況を把握した。「国際動向を踏まえた麻痺性貝毒の機器分析法の確立」では、M-toxin類の単離・合成を行い、毒性評価手法として、Neuro2Aアッセイを最適化し、M2の毒性を確認した。また、国内沿岸でのM-toxin類探索として、毒化した二枚貝の分析を行い、M-toxin類の蓄積部位を特定した。ホタテガイの毒性変動と餌生物解析のため、TTX含有量の季節変動を測定し、メタバーコーディングで餌生物の解明を試みた。「植物性自然毒(きのこ含む)の食中毒の発生動向の分析による効果的な防止策の提案」では、各国の食品安全当局が公表した規制や消費者向けの注意喚起を調査し、食品への植物性自然毒の混入事例について、EUの「食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)」のデータや各国の公表資料を分析した。国内外の健康被害事例を、各国当局の資料や関連文献をもとに調査した。また、ピロリジジンアルカロイドの分析法開発にむけて分析条件を検討した。「汎用性の高い植物性自然毒(きのこ)の分析法・同定法の確立」では、毒キノコの毒成分一斉分析法1、2について室間共同試験や添加回収実験により妥当性を評価した。植物性自然毒(きのこ)の鑑別に係る遺伝子検査法の検討のため、テングタケと推定されるきのこを採取し、そのゲノムを抽出するともに、NCBIより、テングタケ属の遺伝子情報を収集し、BLAST_TSNを用い、ドクツルタケに特異的な配列を抽出した。また、既知毒性関連遺伝子を探索した。「自然毒のリスクプロファイルの更新、消費者に対する効果的な情報提供方法の提案」では、「自然毒のリスクプロファイル」を厚生労働省HPに掲載予定のため、令和3-5年度厚生労働科学研究費補助金事業(21KA1005)において厚生労働省の食中毒担当部署(医薬・生活衛生局食品監視安全課)と協議して決定した掲載項目等に従い、新規知見をもとに更新作業を実施した。
結果と考察
「雑種ふぐの発生状況及び流通の調査」では、宮城県気仙沼市と神奈川県横須賀市で雑種ふぐの調査を実施し、混獲率は2.1~14.7%だった。シラスに混入したふぐ仔稚魚965個体の調査では3種を確認した。北海道で水揚げされた雑種ふぐの雄個体の精巣から10 MU/gを超える毒性を検出した。ヒガンフグやクサフグの卵巣の毒性が高く、その他の部位は低毒性だった。今後、個体数を増やし毒性の評価を継続する必要がある。「麻痺性貝毒の分析法確立」では、二枚貝からM-toxin類を精製や合成により、6成分を単離した。M2とM4の合成を実施し、Na⁺チャネル阻害活性の評価を最適化した。北海道噴火湾のホタテガイの毒性調査で、麻痺性貝毒とテトロドトキシンの産生生物が異なる可能性が示唆された。二枚貝の毒化原因生物を解明するため、ペプチド核酸(PNA clamp)を設計し、ホタテガイのrDNA増幅を高効率で抑制した。「植物性自然毒(きのこ含む)の食中毒防止策」では、国内外の健康被害事例を整理し、シアン化合物やピロリジジンアルカロイドなどが多く報告されていることを確認した。EUではピロリジジンアルカロイドの規制値設定が進むが、日本では十分な調査が行われていないため、今後の汚染実態調査が必要である。「植物性自然毒の分析法確立」では、有毒植物および毒きのこの毒成分一斉分析法を開発し、試験室間共同試験で妥当性を確認した。ドクツルタケを特異的に検出するPCR法を開発し、交差反応がないことを確認した。食中毒事例が多いテングタケのゲノム解析を実施し、毒成分の遺伝子配列を特定できなかったが、今後の遺伝子検査法開発に活用予定である。「自然毒のリスク管理と情報提供」では、既存の研究成果を基にリスクプロファイルを更新し、消費者向け情報提供の改善を図った。
結論
計画通り進捗した。

公開日・更新日

公開日
2025-08-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-08-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
202423024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
34,192,000円
(2)補助金確定額
34,192,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 18,323,352円
人件費・謝金 8,171,734円
旅費 2,109,788円
その他 1,154,076円
間接経費 4,558,000円
合計 34,316,950円

備考

備考
自己負担金124,950円

公開日・更新日

公開日
2025-08-26
更新日
-