動物性食品輸出の規制対策の強化に資する研究

文献情報

文献番号
202423017A
報告書区分
総括
研究課題名
動物性食品輸出の規制対策の強化に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KA1007
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
穐山 浩(星薬科大学 薬学部 薬品分析化学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 志田 静夏(齊藤 静夏)(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 工藤 由起子(星薬科大学 薬学部薬学科)
  • 吉冨 真理(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 廣瀬 昌平(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
28,879,000円
研究者交替、所属機関変更
2024年度から研究分担者に国立医薬品食品衛生研究所 廣瀬昌平室長に加えた。

研究報告書(概要版)

研究目的
EU向けに動物性食品を輸出する際に求められるモニタリング検査の分析法として、牛肉中のステロイド類及びスチルベン類分析法を開発する。牛肉の腸管出血性大腸菌(STEC)およびサルモネラ属菌汚染リスク低減のための研究を実施した。食肉衛生検査所の指名検査員の研修に必要な教材を作成する。対米輸出向け食肉施設におけるSTECおよびサルモネラ属菌検査の信頼性向上を目的として、各施設で使用されている標準作業手順書(SOP)を収集し比較するとともに、検査手技および手法に関する精度検証を実施した。
研究方法
牛肉中のステロイド類及びスチルベン類分析法を開発するために抽出、精製、LC-MS/MS条件を検討した。牛枝肉のSTECおよびサルモネラ属菌調査では、2024年9月から4施設の協力のもとに牛枝肉合計108検体から7血清群(O26、O45、O103、O111、O121、O145、O157)のSTECおよびサルモネラ属菌を対象とした調査を行った。また、このうち3施設については衛生指標として生菌数についても測定を行なった。供試検体を増菌培養後、または施設にて増菌培養した培養液の二次増菌培養後、STEC7血清群マルチプレックスリアルタイムPCRおよびサルモネラ特異的リアルタイムPCRに供試した。アメリカ合衆国・EU等向け輸出向け食肉取扱施設を管轄する食肉衛生検査所の指名検査員の研修に必要な教材として、輸出食肉認定施設における検査実施要領の業務遂行に求められる知識及び技術を新規着任者が習得することを設定し、新規着任者が一人でも学習できる動画に使用する教材を作成する。国内の対米輸出認定食肉取扱施設10ヶ所の協力を得てSTECおよびサルモネラ検査のSOPに関する調査を実施した。
結果と考察
牛肉中のステロイド類及びスチルベン類分析法を開発した。両分析法は妥当性評価試験を実施した結果、真度、併行精度、室内精度及び選択性の目標値を満たした。施設にて増菌培養した培養液の二次増菌培養後、STEC7血清群マルチプレックスリアルタイムPCRおよびサルモネラ特異的リアルタイムPCRに供試した。スクリーニングを行い、陽性になった検体については菌分離を行った。分離された株については生化学的性状試験および血清型別を行った。この結果、1検体(0.9%)からサルモネラ属菌が分離されたが、1検体のみであったことからウシの種類や性別などの特徴については考察には至らなかった。なお、STEC7血清群は検出されなかった。また、MLG掲載または第3者認定を受けたSTECスクリーニング方法についての試行では、菌液および菌添加牛肉培養液からのキットを用いたDNAの抽出および検出を実施した。アメリカ合衆国・EU等向け輸出向け食肉取扱施設を管轄する食肉衛生検査所の指名検査員の研修に必要な教材として、輸出食肉認定施設における検査実施要領の業務遂行に求められる知識及び技術を新規着任者が習得することを設定し、新規着任者が一人でも学習できる動画に使用する教材とした。日本の対米輸出認定食肉取扱施設のSTEC検査およびサルモネラ検査において、各施設のSOPは異なる記載はあるものの、問題点は認められなかった。免疫磁気ビーズ濃縮では、特定の血清型のSTECと免疫磁気ビーズの組み合わせで非特異的濃縮が起こりやすいことが示唆された。今後検証を進め、改善策を提示する必要があると考えられた。
結論
牛肉中のステロイド類及びスチルベン類分析法を開発した。牛枝肉のSTECおよびサルモネラ属菌調査では、牛枝肉合計108検体から7血清群のSTECおよびサルモネラ属菌を対象とした調査を行った。1検体(0.9%)からサルモネラ属菌が分離されたが、1検体のみであったことからウシの種類や性別などの特徴については考察には至らなかった。なお、STEC7血清群は検出されなかった。アメリカ合衆国・EU等向け輸出向け食肉取扱施設を管轄する食肉衛生検査所の指名検査員の研修に必要な教材として、指名検査員による検証を理解するための基礎知識として、と畜場及び食肉処理場のHACCPに基づく衛生管理を踏まえた資料を作成した。対米輸出向け食肉施設におけるSTECおよびサルモネラ属菌検査の信頼性向上を目的として、各施設で使用されているSOPを収集し比較するとともに、検査手技および手法に関する精度検証を実施した。国内10施設からSOPを収集した。SOPの内容には施設ごとの差異があるものの、各施設の処理工程に即しており試験法の逸脱等は認められなかった。

公開日・更新日

公開日
2025-08-18
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-08-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
202423017Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
30,300,000円
(2)補助金確定額
30,189,000円
差引額 [(1)-(2)]
111,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 16,492,356円
人件費・謝金 1,971,318円
旅費 224,338円
その他 10,080,108円
間接経費 1,421,000円
合計 30,189,120円

備考

備考
自己負担:120円

公開日・更新日

公開日
2025-10-14
更新日
-