文献情報
文献番号
202423012A
報告書区分
総括
研究課題名
食品衛生検査施設等の検査の信頼性確保に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23KA1002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 卓穂(一般財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所 )
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
25,695,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
食品の安全性を確保するために外部精度管理調査プログラムの改善と開発を実施し、食品衛生検査施設等の分析値の信頼性の維持に寄与することを目的とした。
研究方法
外部精度管理調査プログラム用適正試料の改善と開発に関する研究では、スプレードライヤを用いた残留農薬検査用試料の開発を検討し、微生物検査については、サルモネラ属菌検査の硫化水素非産生菌を用いパイロットスタディを実施した。また、器具・容器包装用試料においてもパイロットスタディを実施した。食品添加物試験法及び動物用医薬品試験法の開発に関する研究では、LC-MS/MSを用いて高感度に動物用医薬品を一斉分析するための測定条件を設定した。重金属類試験法の改良と妥当性評価に関する研究では、3種類の肉試料標準物質を用いて分析妥当性を確認した。下痢性貝毒検査の試験所間比較に関する研究では、ホタテガイからの抽出2法を検討した。残留農薬分析の外部精度管理に関する研究では、スプレードライヤで作製した残留農薬検査用ホウレンソウ試料でパイロットスタディを実施した。
結果と考察
外部精度管理調査プログラム用適正試料の改善と開発に関する研究では、スプレードライヤを用いてパイロットスタディ用ホウレンソウパウダーを作製し、課題5に供与した。器具・容器包装調査試料では、均質性、安定性に問題なくパイロットスタディを実施した結果、機関間で採用手法に相違があるが妥当な結果が得られた。食品添加物試験法及び動物用医薬品試験法の開発に関する研究では、酸性条件下で分解しやすい動物用医薬品の真度向上のため検討した試験法について、鶏肉ペーストを用い添加回収試験を実施した結果、真度、精度は良好であった。重金属類試験法の改良と妥当性評価に関する研究では、3種の認証標準物質を用いて妥当性確認を行った結果、認証値とほぼ一致し、真度、併行精度及び室内再現精度は目標値を満たしていた。下痢性貝毒検査の試験所間比較に関する研究では、開発した分析法に酸添加/高温抽出法を適用した結果、抽出が困難である実試料分析において有効である可能性を示した。残留農薬分析の外部精度管理に関する研究では、課題1においてスプレードライヤで作製したホウレンソウ試料への正確な値付けを行った。決定した噴霧条件で調製したホウレンソウ試料中の4種農薬の均質性及び安定性が確認され、パイロットスタディに用いる試料として問題のないことを確認した。また、参加者の中央値及びIDMSによる精確な分析値も参照値として付与することで、より信頼性の高い技能評価ができた。
結論
外部精度管理調査プログラムに使用する適正試料の開発において、スプレードライヤで作製した残留農薬用ホウレンソウパウダーを用いてパイロットスタディを実施して、高信頼度の技能評価をすることができた。器具・容器包装試料の均質性及び安定性に問題がなく、外部精度管理の実運用に用いることが可能となった。また、頑健性の高い動物用医薬品試験法開発のためLC-MS/MS測定条件及び前処理法を最適化した。重金属類試験法では、3種類の肉試料標準物質の妥当性が確認できた。また、下痢性貝毒検査では、オカダ酸群の精確な分析法として開発した分析法に酸添加/高温抽出法を適用し、実試料分析における有効性を示した。さらに、スプレードライヤで作製したホウレンソウ試料を用いIDMSによる精確な分析値を付与することで、信頼度の高い技能評価ができた。
公開日・更新日
公開日
2025-09-11
更新日
-