文献情報
文献番号
202422017A
報告書区分
総括
研究課題名
産業現場で活動する保健師・看護師の活用及び資質向上のための方策に係る研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23JA2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
中谷 淳子(産業医科大学 産業保健学部 産業・地域看護学)
研究分担者(所属機関)
- 井上 彰臣(産業医科大学 IR推進センター)
- 金森 悟(帝京大学 大学院 公衆衛生学研究科)
- 錦戸 典子(東海大学健康科学部)
- 千葉 敦子(青森県立保健大学 健康科学部 看護学科)
- 伊藤 美千代(東京医療保健大学 千葉看護学部)
- 後藤 由紀(四日市看護医療大学)
- 久保 善子(原 善子)(共立女子大学 看護学部)
- 吉川 悦子(高橋 悦子)(日本赤十字看護大学 看護学部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
概要版(繰越課題)
研究の目的:
労働者のニーズが多様化する中で、中小規模事業場を含むすべての職場において産業保健機能の強化が重要性を増しており、産業看護職の需要も高まっている。本研究では、産業保健現場で活動する保健師・看護師(以下、産業看護職)に求められる業務や必要な能力を明確化し、資質向上のための研修プログラムと教材を開発することを目的としている。今年度は、1年目に実施した研究「産業看護職に求められる実践能力ならびにコンピテンシー」および「中小規模事業場における産業看護職の活用ニーズ」の結果をベースに研修プログラムおよび教材開発を行った。
研究結果の概要:
1. 研修プログラム(案)の開発
1)教育モデル開発方針の検討
班会議において、①教育の目的(本研修を行う目的)および目標、②対象受講者の明確化、③教育の評価方法について検討した。
①教育の目的は「中小零細企業を含むすべての事業場において、基本的な産業保健活動を推進できる、量的・質的に充実した保健師・看護師を育成すること」とし、目標は「労働衛生に関する知識・技術・マインドを備えた保健師・看護師が、中小零細企業を含むすべての事業場で支援を行い、産業保健活動を活性化させること」とした。
②対象受講者として特に重点を置くコアターゲットは
a.これから産業保健活動を始める保師・看護師(実務経験は問わない)、
b.中小企業で活動する可能性のある保健師・看護師(※大企業では業務が分担される傾向がある一方、中小企業では包括的な活動が求められるため)とした。
2)教育項目の抽出
令和5年度に実施した「産業看護職に求められる実践能力およびコンピテンシー」に関するスコーピングレビューと、「中小規模事業場における産業看護職の活用ニーズ」に関するインタビュー調査の結果を照合し、産業現場で活動する看護職に求められる知識・能力を網羅的に抽出した。抽出した項目は質的に分類し、粒度を考慮して層化したうえで教育項目の素案を作成した。
3)各教育項目の到達目標の設定
各教育項目ごとに教育設計学(Instructional Design ;ID)の知見に基づき「何を」「どのような条件で」「どの程度」できるようになるか、という観点から到達目標を設定した。
4)研修プログラム案の設計
抽出した教育項目ごとに、教育ゴールが知識の習得を目的とするか、技術の習得を目的とするかを明確にした。知識の習得を目的とする項目はeラーニングによる学習、技術の習得を目的とする項目は対面形式の集合研修によって実施する方針とした。また、現在発刊されている初学者向け産業保健看護のテキストの目次等を参照し、研修の順序を整理した結果、7章25節53項目からなるeラーニングおよび約2日間の対面型集合研修による研修プログラムを設計した。
2.産業医および管理的立場にある看護職を対象としたヒアリング
設計した研修プログラム案の妥当性を確認するため、産業医および管理的立場にある看護職から各5名の協力を得て、以下の2点について意見を聴取した。
① 入職前に最低限身に着けてほしい能力(知識・技術・姿勢)
② プログラム(各項目)の妥当性
その結果、教育項目については全員から「必要な項目が網羅されており妥当である」との評価を得た。また、各項目で特に重視すべき事項についても具体的な意見が得られたため、それらを教育内容に反映させることとした。
3. 研修用教材の開発
研修で使用する教材の作成にあたり、各教育項目に設定した教育ゴールに到達するための学習方法について検討を行った。受講者の主体的な学習を促進するため、推奨図書による自己学習を前提とし、その理解を支援することを目的とした教材を作成した。また、各項目ごとに理解度を確認するテストを設けた。教材作成に際しては、項目間で質のばらつきが出ないようグラウンドルールを設け、eラーニング用教材の基礎となるスライドを教育項目ごとに作成した。
研究の実施経過:
研修プログラム完成に向け、複数回にわたり教育項目および教育内容の検討・精選を行った。項目ごとに教育ゴールを設定し、確認テストを導入するなど、実効性のある研修とするためのプログラムおよび教材を開発した。令和7年度にはモデル事業として実施し、最終的な調整を行う予定である。現在は、作成したスライド教材をもとにしたeラーニング用教材および集合研修用教材の開発を進めるとともに、モデル事業の準備を進めている。
労働者のニーズが多様化する中で、中小規模事業場を含むすべての職場において産業保健機能の強化が重要性を増しており、産業看護職の需要も高まっている。本研究では、産業保健現場で活動する保健師・看護師(以下、産業看護職)に求められる業務や必要な能力を明確化し、資質向上のための研修プログラムと教材を開発することを目的としている。今年度は、1年目に実施した研究「産業看護職に求められる実践能力ならびにコンピテンシー」および「中小規模事業場における産業看護職の活用ニーズ」の結果をベースに研修プログラムおよび教材開発を行った。
研究結果の概要:
1. 研修プログラム(案)の開発
1)教育モデル開発方針の検討
班会議において、①教育の目的(本研修を行う目的)および目標、②対象受講者の明確化、③教育の評価方法について検討した。
①教育の目的は「中小零細企業を含むすべての事業場において、基本的な産業保健活動を推進できる、量的・質的に充実した保健師・看護師を育成すること」とし、目標は「労働衛生に関する知識・技術・マインドを備えた保健師・看護師が、中小零細企業を含むすべての事業場で支援を行い、産業保健活動を活性化させること」とした。
②対象受講者として特に重点を置くコアターゲットは
a.これから産業保健活動を始める保師・看護師(実務経験は問わない)、
b.中小企業で活動する可能性のある保健師・看護師(※大企業では業務が分担される傾向がある一方、中小企業では包括的な活動が求められるため)とした。
2)教育項目の抽出
令和5年度に実施した「産業看護職に求められる実践能力およびコンピテンシー」に関するスコーピングレビューと、「中小規模事業場における産業看護職の活用ニーズ」に関するインタビュー調査の結果を照合し、産業現場で活動する看護職に求められる知識・能力を網羅的に抽出した。抽出した項目は質的に分類し、粒度を考慮して層化したうえで教育項目の素案を作成した。
3)各教育項目の到達目標の設定
各教育項目ごとに教育設計学(Instructional Design ;ID)の知見に基づき「何を」「どのような条件で」「どの程度」できるようになるか、という観点から到達目標を設定した。
4)研修プログラム案の設計
抽出した教育項目ごとに、教育ゴールが知識の習得を目的とするか、技術の習得を目的とするかを明確にした。知識の習得を目的とする項目はeラーニングによる学習、技術の習得を目的とする項目は対面形式の集合研修によって実施する方針とした。また、現在発刊されている初学者向け産業保健看護のテキストの目次等を参照し、研修の順序を整理した結果、7章25節53項目からなるeラーニングおよび約2日間の対面型集合研修による研修プログラムを設計した。
2.産業医および管理的立場にある看護職を対象としたヒアリング
設計した研修プログラム案の妥当性を確認するため、産業医および管理的立場にある看護職から各5名の協力を得て、以下の2点について意見を聴取した。
① 入職前に最低限身に着けてほしい能力(知識・技術・姿勢)
② プログラム(各項目)の妥当性
その結果、教育項目については全員から「必要な項目が網羅されており妥当である」との評価を得た。また、各項目で特に重視すべき事項についても具体的な意見が得られたため、それらを教育内容に反映させることとした。
3. 研修用教材の開発
研修で使用する教材の作成にあたり、各教育項目に設定した教育ゴールに到達するための学習方法について検討を行った。受講者の主体的な学習を促進するため、推奨図書による自己学習を前提とし、その理解を支援することを目的とした教材を作成した。また、各項目ごとに理解度を確認するテストを設けた。教材作成に際しては、項目間で質のばらつきが出ないようグラウンドルールを設け、eラーニング用教材の基礎となるスライドを教育項目ごとに作成した。
研究の実施経過:
研修プログラム完成に向け、複数回にわたり教育項目および教育内容の検討・精選を行った。項目ごとに教育ゴールを設定し、確認テストを導入するなど、実効性のある研修とするためのプログラムおよび教材を開発した。令和7年度にはモデル事業として実施し、最終的な調整を行う予定である。現在は、作成したスライド教材をもとにしたeラーニング用教材および集合研修用教材の開発を進めるとともに、モデル事業の準備を進めている。
公開日・更新日
公開日
2025-08-18
更新日
-