細胞シートによる関節治療を目指した臨床研究

文献情報

文献番号
201006012A
報告書区分
総括
研究課題名
細胞シートによる関節治療を目指した臨床研究
課題番号
H21-再生・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 正人(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 阿久津 英憲(国立成育医療センター研究所 生殖細胞医療研究部)
  • 長嶋 比呂志(明治大学 農学部)
  • 石原 美弥(防衛医科大学校 医用工学)
  • 瀬尾 憲正(自治医科大学 麻酔科学)
  • 村井 邦彦(自治医科大学 麻酔科学)
  • 加藤 俊一(東海大学 医学部)
  • 三谷 玄弥(東海大学 医学部)
  • 沓名 寿治(東海大学 医学部)
  • 海老原 吾郎(東海大学 医学部)
  • 長井 敏洋(東海大学 医学部)
  • 小久保 舞美(東海大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
45,313,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
従来修復困難と考えられてきた関節軟骨部分損傷に対して、私共は、温度応答性培養皿で作製した積層化軟骨細胞シートによる関節軟骨修復再生効果を世界で初めて報告し、修復能力に富んだ積層化軟骨細胞シートの特性を明らかにした。要約すると軟骨細胞シートは力学的には脆弱ではあるが、優れた接着性を有し、損傷した軟骨からのプロテオグリカンの流出を阻止し、関節液中のカタボリックファクターから軟骨を保護し、サイトカインの持続的供給源であると共に、骨髄由来幹細胞の軟骨分化を促進するイニシエータとしても機能しており、自己修復能力の向上により軟骨は修復・再生されている。細胞シート工学という日本オリジナルな技術による関節治療を目指し、自己細胞による臨床研究の早期実現と同種細胞による将来的な実用化のための基礎的な検討を行う。
研究方法
1.細胞シートの構築に適した軟骨細胞等の評価に関する研究を行う。
2.移植細胞動態の解析をBioluminescenceによる経時的評価行う。
3.ミニブタによる同種移植により安全性と有効性を確認する。
4.関節鏡視下手術を目指し、低侵襲移植手技を確立する。
5.光を用いた細胞シートの非侵襲的特性評価を実施する。
6.ヒト幹指針に則り厚労省への申請し、臨床研究を行う。
結果と考察
1.細胞のバンキングとシートの構築に適した軟骨細胞、滑膜細胞のマーカーに関する研究
適切な同種細胞を受入れるため、施設間での倫理委員会への申請を準備している。
2.移植細胞動態に関する研究
ルシフェラーゼを強発現するTgラットの細胞で作製した積層化軟骨細胞シートを作製し、関節内での細胞シートの滞在時間を計測し、細胞シートの生存期間を確認した。
3.ミニブタによる同種移植の有効性確認
同種のミニブタ膝関節において自然修復しない大きさの骨軟骨全層欠損を作製し、同種軟骨細胞シート移植による治療効果を確認した。
結論
本研究事業の主要な課題である「自己細胞シートによる軟骨再生医療の臨床研究」並びに「同種細胞シート移植のための技術開発に関する研究」は何れも、当初の予想以上の成果が得られた。特筆すべきは、「細胞シートによる関節治療を目指した臨床研究」に関して東海大学「医の倫理委員会」の承認を平成23年2月23日に得て、同年3月3日にヒト幹細胞臨床研究として厚生労働省へ申請したことである。現在本臨床研究に関しては審査中であるが、承認が得られれば直ちに臨床研究を行えるように実施体制を整備している。

公開日・更新日

公開日
2011-06-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201006012Z