フィットファクタの支配因子探索による呼吸用保護具の適切な選択と使用のための簡易的チェック手法の検討

文献情報

文献番号
202422011A
報告書区分
総括
研究課題名
フィットファクタの支配因子探索による呼吸用保護具の適切な選択と使用のための簡易的チェック手法の検討
研究課題名(英字)
-
課題番号
23JA1007
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
東 秀憲(産業医科大学 産業生態科学研究所 労働衛生工学)
研究分担者(所属機関)
  • 大藪 貴子(産業医科大学 産業生態科学研究所 労働衛生工学)
  • 西田 千夏(産業医科大学 産業生態科学研究所 労働衛生工学)
  • 榎原 毅(産業医科大学 産業生態科学研究所・人間工学研究室)
  • 辻 真弓(産業医科大学 医学部 衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
9,040,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では,呼吸用保護具の選択および適正使用のための簡便で日常的なチェック手法の確立を目的とし,①フィットファクタと保護具および顔サイズの相関,②フィットテストにおいて重要な操作等の検討および③簡便で日常的なチェック法の検討を実施する.具体的には,以下の項目を実施する.
1)呼吸用保護具のサイズおよび着用者の顔の寸法の計測
2)既存のシールチェックおよびフィットテスト
3)フィットファクタと保護具および顔サイズの相関解析
4)簡便で日常的なチェック法と定量的評価法の検討
 1~4)を総合的に検討することで,現場で日常的に持続可能な定量的チェックの方法及び評価基準等について提言するとともに,法改正により今後標準となると思われる凝縮核計数法(CNC)に光散乱粒子計数法を組み合わせた短縮定量的フィットテストを簡便化した手法等についての提言をめざす.
研究方法
 2年度は,初年度に引き続きフィットテスタ1機種を加え,短縮定量的フィットテストを実施し,様々な呼吸用保護具の種類と作業者の顔の形状とフィットファクタとの関係を得ることにより,呼吸用保護具の選定の際の目安となる顔の形状に適した保護具の選定方法を検討した.検討手順は以下のとおりである.
1)呼吸用保護具のサイズおよび着用者の顔の寸法の計測
 使用する保護具を選定し,保護具のサイズとして面体の縦,横の幅と高さ(深さ)等を測定し,保護具のパラメータとした.一方,着用者の顔の寸法として,NIOSHで呼吸用保護具の選定に影響を与える因子とされている顔サイズなどの10個のパラメータに唇幅を加えた11個を顔サイズ形状因子として測定した.さらに,スケールとともに顔の正面写真撮影を実施するとともに,3Dカメラでの撮影も同時に行った.
2)既存のシールチェックおよびフィットテスト
 実験対象者に選定した保護具を適切な手順に従って着用してもらい,シールチェックにより漏れのないことを確認してもらった.その後,凝縮核計数法に光散乱粒子計数法を組み合わせたフィットテスタ(PortaCount 8048,AccuFIT9000PRO,MT-11DおよびMNFT PRO)を用いてJIS T 8150に示された手順に従い,短縮定量的フィットテストを実施してフィットファクタを測定した.
3)フィットファクタと保護具および顔サイズ形状因子との相関解析
 各研究対象者に対して,装着した呼吸用保護具ごとに得られたフィットファクタを,各呼吸用保護具の粒子捕捉メカニズムやレベル,サイズのパラメータ(縦,横幅および高さなど),研究対象者の顔サイズ形状因子との関係を解析ソフトにより解析することで,これらパラメータの関数として定式化した.一方,顔画像を用いた機械学習によるフィットファクタの推定も試みた.
結果と考察
 まず、顔サイズ形状因子のうちフィットファクタに大きな影響を与えるパラメータに関する情報を抽出した結果から呼吸用保護具のフィットテストの結果を推定し,実際のテスト結果と比較した.一方,正面画像による顔認証機械学習によるフィットファクタの推定についても検討し,作業者に適した呼吸用保護具の選定法について検討した.
 フィットファクタおよびフィットテストの合否判定結果に強く相関している顔サイズ形状因子は呼吸用保護具によって異なる複数の因子があることが示された.一方,顔の正面写真による顔認識機械学習の結果,顔サイズ形状因子による機械学習と同精度程度で訓練データのフィットテストの判定結果を再現することが可能であり,既報では1割程度に留まっていた検証データの予想正答率も概ね6割以上再現可能となった.
 結果、訓練データおよび支配因子の再検討により,サンプル数が増加しても顔サイズ形状因子による機械学習と顔画像認証による機械学習の両方で,フィットテスト結果の再現精度は向上した.また,最も不合格の多い保護具に対しても訓練データを含む検証データの正答率は60%程度を維持できた.さらに,検証データの誤判定の多くは合格であるテスト結果を不合格と安全側に推定したものであり,本方法の呼吸用保護具の選定法としての可能性が示された.一方,短縮定量的フィットテストの動作のうち,テスト結果に影響の大きなものとして,動作4が挙げられることを見出した.
結論
 初年度から,訓練データおよび支配因子の再検討により,対象者数が増加しても顔サイズ形状因子および顔画像認証による機械学習の両方で,これらの情報を用いたフィットテスト結果の予想精度は向上した.さらに,検証データの誤判定の多くは合格であるテスト結果を不合格と安全側に推定したものが多く,本方法の呼吸用保護具の選定法としての可能性が示された.
 一方,短縮定量的フィットテストの4つの動作のうち,テスト結果に影響を及ぼす動作として,動作4の可能性があることが示唆された.

公開日・更新日

公開日
2026-02-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-02-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
202422011Z