ヒトiPS細胞由来網膜色素上皮細胞移植の実用化研究

文献情報

文献番号
201006010A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒトiPS細胞由来網膜色素上皮細胞移植の実用化研究
課題番号
H21-再生・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 政代(財団法人先端医療振興財団 先端医療センター 視覚再生研究グループ)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
47,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
加齢黄斑変性は日本でも近年増加している疾患であり、新生血管抑制剤で一部の症例では視力の向上が得られるようになったが、大多数の症例は線維性瘢痕の除去とともに網膜色素上皮及び視細胞の再生を必要とする。我々はヒトES細胞およびiPS細胞から治療に必要な機能を持つ網膜色素上皮細胞を分化誘導することに成功しているが、網膜色素上皮細胞については他家移植で拒絶反応が起こることが知られており、ES細胞よりも患者由来のiPS細胞を用いることが望ましいと考えることから、細胞の純化、安全性検証を行い、臨床試験のプロトコル、SOPの作成を行うことを目的としている。
研究方法
本研究においては最終年度までに患者iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞移植のプロトコル及びSOPを検討し完成する予定であるが、本年度は、臨床研究で使用する場合と同条件でヒトiPS細胞由来網膜色素上皮細胞の培養を行うためにGMP準拠CPCの本格的な運用を開始した。
また、平成21年度に作成したCPCの管理文書(品質管理基書、製造管理基準書等)の最初のバージョン(1次バージョン)をさらに詳細な検討と確認を行い、2次バージョンを作成した。
結果と考察
平成23年度以降に実施する予定である臨床研究へ向け、CPCの本格運用を開始したことにより、臨床試験に必要となる技術的・人的問題を洗い出し、網膜色素上皮細胞培養のための手技・方法のさらなる検討・確認を行うことができた。それらの検討データを反映し、ヒトiPS細胞由来網膜細胞培養用CPCで必要となる管理文書の2次バージョン(改訂版)を作成するとともに、新たに必要となった文書の追加作成を行った。研究計画に基づき、計画通りの達成度が得られたと考える。
結論
今年度はこれまでの成果を集約し、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に適合し、かつ、コストや安全性から考えて最適と思われるCPCの運用法を決定し、臨床試験用のプロトコル作成開始に向けた準備が行えたと考える。再生医療を一般的な治療として実用化するまでに解決すべき課題はまだ存在するが、専用のCPCが稼働したことはiPS細胞を使った再生医療の実用化に向け前進したと言える。

公開日・更新日

公開日
2011-09-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201006010Z