高年齢労働者の身体的能力の実態把握とそれに基づく転倒を始めとした労働災害防止対策の効果の検証のための研究

文献情報

文献番号
202422008A
報告書区分
総括
研究課題名
高年齢労働者の身体的能力の実態把握とそれに基づく転倒を始めとした労働災害防止対策の効果の検証のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23JA1004
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
財津 將嘉(産業医科大学 高年齢労働者産業保健研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 酒井 一博(公益財団法人 大原記念労働科学研究所)
  • 東 尚弘(国立大学法人 東京大学 大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
11,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本の高齢者人口の増加に伴い、高年齢労働者の労働災害も増加している。特に60歳以上の労働者の労働災害は増加傾向にあり、全労働災害の29.3%を占めている(令和5年)。「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(令和2年3月厚生労働省、以下「エイジフレンドリーガイドライン」)が存在するが、高年齢労働者の労働災害の減少には至っていない。一般的に高齢者は心身機能の低下により労働災害リスクが高まるが、若年層と高年齢労働者の心身機能を直接比較した指標は1967年まで遡り、その後の最新指標がなく、高年齢労働者の労働災害防止に対してエビデンスに基づいた対策が実施できていない。よって、本研究では、この最新版の指標を作成し、さらに高年齢労働者の労働災害の詳細な分析を通じてエイジフレンドリーガイドラインの実施状況や効果を把握し、該当ガイドラインのエッセンス版の作成を行い、最終的にはより効果的な労働災害防止策の提言を目的とする。
研究方法
本研究は、労働災害疫学研究グループと心身機能等人間工学研究グループが相互連携して実施した。
労働災害疫学研究グループでは、高精度の年齢調整直接法による日本の転倒災害の発生率を算出し、高齢化の影響を除いた転倒災害の発生状況の推移を明らかにすることを目的として、総務省「労働力調査」および厚生労働省「労働者死傷病報告」のデータを用いて、2014年~2021年の年齢調整直接法による年齢調整転倒災害発生率を算出し、分析を行った。
心身機能等人間工学研究グループでは、最新指標の作成のために、文献レビューおよび平衡感覚・姿勢保持能評価の測定を実施した。文献レビューによって把握した心身機能に関する測定・評価と実場面での使われ方について検討した。
結果と考察
5歳ごとかつ90歳以上を単一の年齢階級とした、より高い精度の年齢調整転倒災害発生率を算出した結果、10万人あたり50件前後の転倒による休業4日以上の災害が発生しており、年齢調整転倒災害発生率は減少傾向にないということが示唆された。また、企業の体力測定等の健康イベントにて収集された転倒リスク関連データを中間報告として集計したところ、ロンベルグ率には加齢による変化を認めなかったものの、2ステップ値、座位ステッピング回数、ファンクショナルリーチ、片脚立位時間、重心動揺総軌跡長の身体的能力に加齢による線形的な低下を認めた。
平衡感覚・姿勢保持能の測定では、多くの指標において、20歳代と70歳代の差はみられるものの、加齢の過程による変化の傾向が見出しにくい指標があることが分かった。傾向が顕著な例であっても、どの世代から変化が生じるかそのトレンドにも相違があった。
結論
引き続き、身体指標の測定データ収集と労働災害データの詳細な分析を継続して実施し、最新指標とエイジフレンドリーガイドラインのエッセンス版の作成を目指す。

公開日・更新日

公開日
2025-08-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-08-08
更新日
-

収支報告書

文献番号
202422008Z