文献情報
文献番号
202421062A
報告書区分
総括
研究課題名
医療上の必要性が高い革新的医薬品に対する薬価上の評価指標の開発に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24IA2014
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
成川 衛(学校法人北里研究所 北里大学 薬学部臨床医学(医薬開発学))
研究分担者(所属機関)
- 小林 江梨子(城西国際大学 薬学部)
- 間宮 弘晃(立命館大学 薬学部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
4,141,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、革新的な医薬品等の早期上市を促進することを念頭に、現行の薬価制度における課題を整理し、医薬品等が有する価値を適正に評価するための薬価制度を含めた対策を提言することを目的とした。
研究方法
研究初年度である本年度は、我が国の現行の薬価制度における課題の抽出、日本と同様に公的医療保険制度が整備されている欧州諸国での薬価設定の基礎となる考え方の整理等のために以下の研究を実施した。
1. 欧州製薬企業に対する調査
2024年11月から2025年1月にかけて欧州製薬企業7社を訪問し、同社のマーケットアクセス担当者等から、近年承認を取得した又は開発中の新規性の高い医薬品・治療法に係る保険償還やリストプライスを設定する際の基礎となる考え方を聴取した。
2. 国内有識者からのヒアリング調査
現行の薬価制度における課題を整理し、医薬品等が有する価値を適正に評価するための薬価制度のあり方に関する今後の議論に活用する目的で、2024年10月から2025年2月にかけて、医療政策・経済学等を専門とする国内の有識者に対してヒアリング調査を行った。
3. 最近の薬価収載品目の状況調査
(1) 最近の新薬薬価算定の状況
2018年4月から2025年3月までに薬価基準に収載された新薬における有用性系加算の加算率及び適用された定量的評価の項目、市場性加算及び小児加算の適用、原価計算方式による算定品目の原価の開示度を整理し、令和6年度薬価制度改革の前後で比較した。
(2) 新薬の薬価算定における類似薬効比較方式の適用状況に関する調査
2018年4月から2025年3月までに薬価基準に収載された新薬のうち、類似薬効比較方式(Ⅰ)による算定品目について、新薬及び最類似薬の特性を整理分析した。
1. 欧州製薬企業に対する調査
2024年11月から2025年1月にかけて欧州製薬企業7社を訪問し、同社のマーケットアクセス担当者等から、近年承認を取得した又は開発中の新規性の高い医薬品・治療法に係る保険償還やリストプライスを設定する際の基礎となる考え方を聴取した。
2. 国内有識者からのヒアリング調査
現行の薬価制度における課題を整理し、医薬品等が有する価値を適正に評価するための薬価制度のあり方に関する今後の議論に活用する目的で、2024年10月から2025年2月にかけて、医療政策・経済学等を専門とする国内の有識者に対してヒアリング調査を行った。
3. 最近の薬価収載品目の状況調査
(1) 最近の新薬薬価算定の状況
2018年4月から2025年3月までに薬価基準に収載された新薬における有用性系加算の加算率及び適用された定量的評価の項目、市場性加算及び小児加算の適用、原価計算方式による算定品目の原価の開示度を整理し、令和6年度薬価制度改革の前後で比較した。
(2) 新薬の薬価算定における類似薬効比較方式の適用状況に関する調査
2018年4月から2025年3月までに薬価基準に収載された新薬のうち、類似薬効比較方式(Ⅰ)による算定品目について、新薬及び最類似薬の特性を整理分析した。
結果と考察
我が国における革新的な医薬品の早期上市を促進するために薬価制度を含めた対策を提言することを目的として、現行の薬価制度における課題の抽出、欧州諸国での薬価設定の基礎となる考え方の整理等を行った。
1. 欧州製薬企業に対する調査
日本と同様に公的医療保険制度が整備されている欧州諸国に本社を置く製薬企業のマーケットアクセス担当者からのヒアリング調査により、新規性の高い(比較対照を容易に選定できない)医薬品の提案価格を設定する際のベンチマークの設定やそれをベースとした価格積み上げ時の要素など、アプローチの概要を把握した。
2. 国内の有識者からのヒアリング調査
医療政策・経済学等を専門とする国内有識者からのヒアリング調査により、現行の薬価制度では評価が困難な医薬品等の価値、革新的医薬品等の将来の価格設定のあり方などについて、柔軟かつ幅広い視点からの意見を収集した。
3. 最近の薬価収載品目の状況調査(最近の新薬薬価算定の状況、新薬の薬価算定における類似薬効比較方式の適用状況に関する調査)
令和6年度薬価制度改革における有用性系加算の充実・見直しを背景に、有用性系加算が適用された品目の割合は増加傾向にあり、その際の加算率についてもルールに示された幅の中でも高めの率が適用されるものが増えてきていることが確認された。市場性加算(Ⅰ)及び小児加算についても、ルールの中で高めの加算率が適用される品目が増えてきており、特に、欧米との比較における日本での速やかな上市、国際共同治験への日本人患者の積極的な組入れ、低年齢小児を含めた適応取得などがポジティブに評価されている。原価計算方式による算定品目における原価の開示度については、開示度50%未満の品目が過半数を占めており、今後の検討課題である。
最近の類似薬効比較方式(Ⅰ)による算定品目における最類似薬の特性や選定範囲の調査では、新薬と最類似薬で効能・効果が異なる場合であっても、同じ疾患群に属する、症状が重複するといった一定の共通性が認められ、さらに、その際には薬理作用、組成・化学構造、投与形態には類似性があることが確認された。
1. 欧州製薬企業に対する調査
日本と同様に公的医療保険制度が整備されている欧州諸国に本社を置く製薬企業のマーケットアクセス担当者からのヒアリング調査により、新規性の高い(比較対照を容易に選定できない)医薬品の提案価格を設定する際のベンチマークの設定やそれをベースとした価格積み上げ時の要素など、アプローチの概要を把握した。
2. 国内の有識者からのヒアリング調査
医療政策・経済学等を専門とする国内有識者からのヒアリング調査により、現行の薬価制度では評価が困難な医薬品等の価値、革新的医薬品等の将来の価格設定のあり方などについて、柔軟かつ幅広い視点からの意見を収集した。
3. 最近の薬価収載品目の状況調査(最近の新薬薬価算定の状況、新薬の薬価算定における類似薬効比較方式の適用状況に関する調査)
令和6年度薬価制度改革における有用性系加算の充実・見直しを背景に、有用性系加算が適用された品目の割合は増加傾向にあり、その際の加算率についてもルールに示された幅の中でも高めの率が適用されるものが増えてきていることが確認された。市場性加算(Ⅰ)及び小児加算についても、ルールの中で高めの加算率が適用される品目が増えてきており、特に、欧米との比較における日本での速やかな上市、国際共同治験への日本人患者の積極的な組入れ、低年齢小児を含めた適応取得などがポジティブに評価されている。原価計算方式による算定品目における原価の開示度については、開示度50%未満の品目が過半数を占めており、今後の検討課題である。
最近の類似薬効比較方式(Ⅰ)による算定品目における最類似薬の特性や選定範囲の調査では、新薬と最類似薬で効能・効果が異なる場合であっても、同じ疾患群に属する、症状が重複するといった一定の共通性が認められ、さらに、その際には薬理作用、組成・化学構造、投与形態には類似性があることが確認された。
結論
我が国における革新的な医薬品の早期上市を促進するために薬価制度を含めた対策を提言することを目的として、現行の薬価制度における課題の抽出、欧州諸国での薬価設定の基礎となる考え方の整理等を行った。具体的には、欧州製薬企業のマーケットアクセス担当者等に対する調査、医療政策・経済学等を専門とする国内の有識者からのヒアリング調査、最近の新薬薬価算定の状況調査(有用性加算、類似薬効比較方式の適用状況など)である。得られた情報をベースとして、また、引き続き情報をアップデートしながら、次年度の研究において、我が国における革新的な医薬品の早期上市を促進することを目指した具体的な薬価上の評価手法案について検討を行っていくこととする。
公開日・更新日
公開日
2025-05-30
更新日
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