文献情報
文献番号
202421061A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機器の保守点検の実施に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24IA2013
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
菊地 眞(公益財団法人 医療機器センター )
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
4,140,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療機器の保守点検は、第5次医療法改正(平成19年施行)において、医療機関に対して医療機器に係る安全確保のための体制の確保が義務づけられており、病院等の管理者が講ずべき医療機器に係る安全管理体制確保措置は、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の一部の施行について」において通知し、その運用に当たっては「医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について」(令和3年7月8日付け医政総発0708第1号・医政地発0708第1号・医政経発0708第2号、以下、通知)により具体的な内容等が示されている。特に安全管理のために病院等における保守点検対応の考え方についての整理・公表が必要となる生命維持装置や放射線照射装置等医療機器は、通知の別添として保守点検指針(以下、指針)が発出され、当該機器の安全管理について実施方法の方向性を示してきた。一方、医療機器に係る安全管理を適切に講じるためには、医療機関において通知や指針が認知・活用される必要がある。そこで、令和3年度より実施した「医療機関における医療機器安全管理の実態調査に関する研究」(以下、前研究班)では、安全管理の実態や通知及び指針を踏まえた医療機関側の実態(認知度や理解度、保守点検状況等)の把握および普及の促進について検討を行ったところである。
本研究では、これまでの医療機器の保守点検・安全管理にかかる通知・指針の周知状況や保守点検の実施状況等を踏まえ、より適切な医療機器の保守点検の実施を推進する行政施策を検討した。具体的には、保守点検の実施における課題を整理するとともに、医療機器の保守点検にかかる指針について新たに策定を行う必要の要否や既存の指針の改訂も含めた検討を行い、医療機器のより適切な保守点検の推進を通じた、質の高い医療の提供へ貢献することを目的とした。
本研究では、これまでの医療機器の保守点検・安全管理にかかる通知・指針の周知状況や保守点検の実施状況等を踏まえ、より適切な医療機器の保守点検の実施を推進する行政施策を検討した。具体的には、保守点検の実施における課題を整理するとともに、医療機器の保守点検にかかる指針について新たに策定を行う必要の要否や既存の指針の改訂も含めた検討を行い、医療機器のより適切な保守点検の推進を通じた、質の高い医療の提供へ貢献することを目的とした。
研究方法
令和6年度は、新たな指針策定を行う必要の要否や既存指針の改訂の検討として、新たに保守点検指針を策定すべき医療機器の選定と既存の保守点検指針の改訂が必要となる箇所を検討した。研究方法は、①前研究班で実施した実態調査等の回答結果の分析、②医療安全性情報等の分析、③医療機関へのヒアリングの3つを実施した。具体的には、①は、前研究班で実施した医療機器安全管理の実態調査の結果分析および職能団体等に対する医療機器安全管理の課題などの調査結果を分析した。②は、(公財)日本医療機能評価機構の医療安全情報およびPMDA安全性情報の内容の分析、(一社)日本医療安全調査機構から発出される提言書の内容の分析、メディア等で取り上げられる医療機器に関連するニュースの調査を行い、安全使用で課題となっている医療機器の分析を実施した。③は、医療機関へのヒアリングを実施し、医療機器の安全管理を担っている看護師に対して指針が必要とされる医療機器、既存指針で理解しにくい箇所の意見を伺った。
結果と考察
①前研究班で実施した実態調査等の回答結果の分析では、臨床現場で求められている新たな指針策定の対象となる医療機器について議論することができた。②医療安全性情報等の分析では、既存指針で改訂が必要な箇所を議論することができた。③医療機関へのヒアリングでは、4つの医療機関に対してヒアリングを実施し、新たに求められている指針、既存指針で理解しにくい箇所について意見を伺うことができた。
以上の結果より、臨床現場で求められている指針は、輸液ポンプ、シリンジポンプ、生体情報モニタ、超音波診断装置が挙げられ、これらの医療機器を対象に新たな指針策定の検討が必要と考えられた。
他方、既存指針で改訂が必要となる箇所については、各指針に共通した箇所として、既存指針には記載のないヒヤリ・ハット事例などの追記、用語が理解しにくい箇所(例えば、研修指針における法令に関する研修の具体的な実施内容がわかりにくいこと、保守点検指針における「使用前点検や使用後点検」(研修指針に掲載)の意味など)の補足説明などで追記の検討が必要と考えられた。また、個々の指針で改訂が必要な箇所については、人工呼吸器の指針におけるNPPV(Non invasive Positive Pressure Ventilation、非侵襲的陽圧換気)の保守点検項目、血液浄化装置の指針における消毒液の取り扱いに関する内容について追記の検討が必要と考えられた。
以上の結果より、臨床現場で求められている指針は、輸液ポンプ、シリンジポンプ、生体情報モニタ、超音波診断装置が挙げられ、これらの医療機器を対象に新たな指針策定の検討が必要と考えられた。
他方、既存指針で改訂が必要となる箇所については、各指針に共通した箇所として、既存指針には記載のないヒヤリ・ハット事例などの追記、用語が理解しにくい箇所(例えば、研修指針における法令に関する研修の具体的な実施内容がわかりにくいこと、保守点検指針における「使用前点検や使用後点検」(研修指針に掲載)の意味など)の補足説明などで追記の検討が必要と考えられた。また、個々の指針で改訂が必要な箇所については、人工呼吸器の指針におけるNPPV(Non invasive Positive Pressure Ventilation、非侵襲的陽圧換気)の保守点検項目、血液浄化装置の指針における消毒液の取り扱いに関する内容について追記の検討が必要と考えられた。
結論
本研究の最終的なアウトプットである新たな指針策定と既存指針の改訂に向けて、令和6年度は新たな指針策定の対象となる医療機器の選定、既存指針で改訂が必要な箇所を議論できた。令和7年度以降はこれらの検討結果を基に指針の素案策定、既存指針の改訂版の素案策定の検討を進めていく。素案の策定にあたっては、必要に応じて医療機関や企業への意見を伺いながら進める。
公開日・更新日
公開日
2025-05-30
更新日
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