文献情報
文献番号
199700740A
報告書区分
総括
研究課題名
実験動物の胚・精子の保存方法及びこれらの品質保証技術開発等に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
浅野 敏彦(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
- 横山峯介(三菱生命科学研究所)
- 葛西孫三郎(高知大学農学部)
- 松崎哲也(国立精神・神経センター)
- 笠井憲雪(東北大学医学部)
- 鈴木治(国立感染症研究所)
- 小倉淳郎(国立感染症研究所)
- 松田潤一郎(国立感染症研究所)
- 山田靖子(国立感染症研究所)
- 加藤秀樹(実験動物中央研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 ヒトゲノム・遺伝子治療研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
厚生科学研究の推進に極めて重要である疾患モデル動物の保存・分与技術を確立し、リサーチリソースバンク(RRB)が設立された場合に、スムースに有効にバンクが機能するように基礎技術の確立と標準操作手順書の作成をめざすと共に、資源の準備も行うことを目的とする。
研究方法
研究方法・結果・考察=
1 マウス胚の凍結保存(横山、葛西)マウス胚の凍結保存技術はほぼ確立されている。 しかしながら、それぞれの研究者により方法が異なり統一性がとれていない。そこで、本研究班では、より簡便な超急速凍結法を採用し、各段階ごとに検討した。本年度は、胚の保存容器の検討と胚融解時の浸透圧傷害の程度が胚のステージにより異なることが判明した。これらの事実は、RRBが設立されるまでに統一した方法を確立しておかないと、利用者が混乱する原因となる。
2 ラット胚の凍結保存(笠井)過排卵誘起法の検討を行った。ラットの系統によりまた、季節あるいは雌の週齢により効率がことなることが明らかになった。効率よく胚の収集を行うにはこれらのことを解決しておく必要があり、今後これらの差をなくしていく技術の開発を進めると共に、過排卵時のこれらの差が、胚保存効率あるいは融解・移植の効率にどのような影響を与えるかを検討していく必要がある。
3.モルモット胚凍結保存技術の開発(鈴木)モルモット胚の過排卵誘起技術はない。そこで、卵巣より卵を採取し、採取卵を体外で成熟させた後、体外受精法で胚を得る方法を検討した。卵子の体外成熟に関しては、形態学的に正常な卵子を得ることに成功した。しかしながこら、この卵子を体外受精に用いたところ、受精率は極めて悪かった。成熟卵子を得る為の指標とモルモット精子の体外での受精能獲得方法の検討が今後の課題である。
4.ハムスター胚凍結保存法の開発(小倉)ハムスターは過排卵法を用いて多くの胚を得るのは容易である。そこで得られた胚を用いて超急速凍結法で胚の凍結を試みた。DMSOを凍結保護材として用いると、形態的に正常な凍結胚が得られた。今後は、これらの凍結胚を移植して産仔が得られるかどうかの検討をする必要がある。
5.マストミス胚凍結保存法の開発(小倉)超急速凍結法でマストミス胚を凍結した。 この凍結胚を融解・移植することで産仔を得た。より効率の高い方法への技術の改良が必要となる。
6.スナネズミ胚凍結保存法の開発(松田)スナネズミ胚を凍結保存し、融解後移植にすることで産仔を得た。しかしながら、マウスと比べるとその成績は低い。今後成績を向上させる技術の改良が必要である。また、胚の体外発育において、2 cell blockを解除する方法が未だ開発されていない。
7.疾患モデルマウス胚の凍結保存(松崎、松田)
国立精神・神経センターと国立感染症研究所で疾患モデルマウス胚の凍結保存を行った。二つの施設で合計40系統の胚を今年度新たに凍結保存した。これら凍結胚の一部を融解し、移植して検査を行ったところおおむね良好な成績であった。
8.胚の品質保証技術の開発
8-1 微生物学的モニタリング技術の開発(山田)
胚を用いる研究にまでは至らなかった。今年度は汚染マウスコロニーの糞を材料にRT-PCR 法を用いて、MHV の検出を試みた。陽性コロニーからのみMHV ウイルスが検出された。従って、この方法を用いることで、胚の微生物汚染のモニタリングが可能であることが示唆された。今後は、他の病原体にもこの方法が利用できるかどうかを検討する。
8-2 遺伝学的モニタリング技術の開発(加藤)
胚を用いる研究にまでは至らなかった。保存されている細胞株の遺伝子型の判定をPCR 法を用いて行ったところ、細胞株を用いても遺伝子型の判定は可能であることがわかった。従って、胚あるいは卵子においてもPCR 法で遺伝学的モニタリングが可能であることがわかった。
1 マウス胚の凍結保存(横山、葛西)マウス胚の凍結保存技術はほぼ確立されている。 しかしながら、それぞれの研究者により方法が異なり統一性がとれていない。そこで、本研究班では、より簡便な超急速凍結法を採用し、各段階ごとに検討した。本年度は、胚の保存容器の検討と胚融解時の浸透圧傷害の程度が胚のステージにより異なることが判明した。これらの事実は、RRBが設立されるまでに統一した方法を確立しておかないと、利用者が混乱する原因となる。
2 ラット胚の凍結保存(笠井)過排卵誘起法の検討を行った。ラットの系統によりまた、季節あるいは雌の週齢により効率がことなることが明らかになった。効率よく胚の収集を行うにはこれらのことを解決しておく必要があり、今後これらの差をなくしていく技術の開発を進めると共に、過排卵時のこれらの差が、胚保存効率あるいは融解・移植の効率にどのような影響を与えるかを検討していく必要がある。
3.モルモット胚凍結保存技術の開発(鈴木)モルモット胚の過排卵誘起技術はない。そこで、卵巣より卵を採取し、採取卵を体外で成熟させた後、体外受精法で胚を得る方法を検討した。卵子の体外成熟に関しては、形態学的に正常な卵子を得ることに成功した。しかしながこら、この卵子を体外受精に用いたところ、受精率は極めて悪かった。成熟卵子を得る為の指標とモルモット精子の体外での受精能獲得方法の検討が今後の課題である。
4.ハムスター胚凍結保存法の開発(小倉)ハムスターは過排卵法を用いて多くの胚を得るのは容易である。そこで得られた胚を用いて超急速凍結法で胚の凍結を試みた。DMSOを凍結保護材として用いると、形態的に正常な凍結胚が得られた。今後は、これらの凍結胚を移植して産仔が得られるかどうかの検討をする必要がある。
5.マストミス胚凍結保存法の開発(小倉)超急速凍結法でマストミス胚を凍結した。 この凍結胚を融解・移植することで産仔を得た。より効率の高い方法への技術の改良が必要となる。
6.スナネズミ胚凍結保存法の開発(松田)スナネズミ胚を凍結保存し、融解後移植にすることで産仔を得た。しかしながら、マウスと比べるとその成績は低い。今後成績を向上させる技術の改良が必要である。また、胚の体外発育において、2 cell blockを解除する方法が未だ開発されていない。
7.疾患モデルマウス胚の凍結保存(松崎、松田)
国立精神・神経センターと国立感染症研究所で疾患モデルマウス胚の凍結保存を行った。二つの施設で合計40系統の胚を今年度新たに凍結保存した。これら凍結胚の一部を融解し、移植して検査を行ったところおおむね良好な成績であった。
8.胚の品質保証技術の開発
8-1 微生物学的モニタリング技術の開発(山田)
胚を用いる研究にまでは至らなかった。今年度は汚染マウスコロニーの糞を材料にRT-PCR 法を用いて、MHV の検出を試みた。陽性コロニーからのみMHV ウイルスが検出された。従って、この方法を用いることで、胚の微生物汚染のモニタリングが可能であることが示唆された。今後は、他の病原体にもこの方法が利用できるかどうかを検討する。
8-2 遺伝学的モニタリング技術の開発(加藤)
胚を用いる研究にまでは至らなかった。保存されている細胞株の遺伝子型の判定をPCR 法を用いて行ったところ、細胞株を用いても遺伝子型の判定は可能であることがわかった。従って、胚あるいは卵子においてもPCR 法で遺伝学的モニタリングが可能であることがわかった。
結果と考察
結論
公開日・更新日
公開日
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更新日
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