医療対話推進者の質向上と医療機関内の医療安全管理部門との連携に向けての研究

文献情報

文献番号
202421044A
報告書区分
総括
研究課題名
医療対話推進者の質向上と医療機関内の医療安全管理部門との連携に向けての研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23IA2002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
稲葉 一人(中京大学 法務研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
2,280,000円
研究者交替、所属機関変更
研究者交替、所属機関変更はない

研究報告書(概要版)

研究目的
医療対話推進者(以下対話推進者ともいう)の業務・研修指針における課題を明らかにし、その改定に資する実証的根拠を提示することを目的とした。そのため、具体的には医療安全部門との連携を含む、対話推進者の業務の実施状況や困難感、養成研修の実態と課題、対話推進者の配置や介入による効果を明らかにすることとした。また、患者サポート体制充実加算の届出状況が横ばいで推移している背景等についても調査する。
研究方法
研究1 )研修実施団体へのインタビュー調査(2023年10月〜12月)では、対話推進者養成研修を実施する6団体を対象に、研修の実施状況・内容・修了者数・課題などを聴取した。研究2) 対話推進者の業務・研修の実態と課題および配置効果(2024年4月〜5月)では、全国の病院約8,150施設から2,000施設(患者サポート体制充実加算の算定有無で各1000施設)を抽出し、二種類の調査票を配布した(以上配布まで前年度、調査結果の分析は今年度調査)。研究3)対話推進者の業務と研修に関する指針改定に向けてのヒアリング調査(2024年9月〜11月)では、対話推進者、安全管理者、管理者等、全国8施設11名を対象に調査を行った。
研究1~3の結果・考察を基に、今年度研究班で改定案を作成し有識者に確認、意見をふまえ表現等を調整し改定案を作成した。
結果と考察
研究1は6団体に調査を実施した。研修修了者数は対話推進者の業務指針が策定された2013年から2022年までに6団体の合計で計35,559名であった。受講職種、研修の内容、研修形態などについて調査がなされた。
研究2は、看護部長用調査票では、医療機関における相談体制や対話推進者の配置状況、配置効果、患者サポート体制充実加算の届出状況や意向等が明らかになった。対話推進者は、医療有資格者である看護職やMSWが多かったが、養成研修の受講率は非医療職に比べ低かった。患者サポート体制充実加算の届出施設では加算を継続する意向が高かったが、未届出施設では人員配置が課題とされていた。対話推進者の配置により、患者対応における職員の負担軽減やクレームの重大化防止などの効果が認識されていた。対話推進者用調査票では、対話推進者の業務の実施状況について、職員に対する教育や研修に関する業務は十分実施できておらず、事例分析や結果の活用、説明と対話の文化醸成に関する業務や患者・家族への一次対応に困難を感じていた。研修に対して、職員研修や実践の分析・評価に関する研修内容が不十分と感じており、患者対応の基本となる研修内容には業務を行う上で十分とする回答が多かったが、さらに充実すべきという意見も一部あった。医療安全部門との連携について、回答者の3割は定期的な会議等の機会がなく、連携が十分でないと捉えていた。
研究3では、全国8施設11名へのヒアリングを実施した。職員研修、医療事故(医療事故調査制度における医療事故と、それ以外の不具合事案を含む)対応、説明と対話の文化の醸成が困難な背景には、対話推進者の認知や役割の不明確さが共通していた。研修は段階的体系の必要性や、職種に関わらず受講することが望ましいとの意見が挙がった。医療事故対応では、医療安全部門との役割分担や連携の不明確さが課題とされ、研修での制度理解や連携における役割等の提示が求められた。また職員支援を業務として位置付けること、暴力・カスタマーハラスメントに対しては対話推進者の役割ではないが組織的対応の知識と体制整備の推進が求められた。患者サポート体制充実加算の課題は研究2と同様であるが、対話推進者の配置効果が見えにくく、患者サポート体制充実加算の届出のインセンティブにならないことなどが指摘された。
結論
研究1~3から、次の観点で対話推進者の業務・養成指針の見直しが必要であることが示唆され、①医療安全との連携の明確化:連携の具体的内容を明文化し、対話推進者が関与すべき場面等を明確にする②自ら相談を受け、患者・家族と職員との対話促進を行う役割の明示:相談窓口としての対応に加え、対話を促進し、各部署が自立的に対応できるよう支援する役割を明示③患者・家族支援だけでなく職員支援も業務として位置付ける必要:職員に対する支援が日常的に行われていることを業務として明記し、研修や評価にも反映④医療事故の対応時における対話推進者の役割の明確化:事故初動からの関与を検討し、医療安全管理者との役割分担を含め業務指針上に明示⑤「説明と対話の文化」の意味と具体実践の明確化:説明と対話の文化が意味することを明記し、それを現場で実践するための方法を示す。これらをふまえた新たな業務指針が必要と考え、研究班で改定案を提案した業務の見直しに伴う研修プログラム作成指針についても改定案を示した。具体的な修正箇所は新旧対照表に示している。

公開日・更新日

公開日
2025-11-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2025-11-07
更新日
-

文献情報

文献番号
202421044B
報告書区分
総合
研究課題名
医療対話推進者の質向上と医療機関内の医療安全管理部門との連携に向けての研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23IA2002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
稲葉 一人(中京大学 法務研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
研究者交替(交代)、所属機関変更はない

研究報告書(概要版)

研究目的
医療対話推進者(以下対話推進者ともいう)の業務・研修指針における課題を明らかにし、その改定に資する実証的根拠を提示することを目的とした。そのため、具体的には医療安全部門との連携を含む、対話推進者の業務の実施状況や困難感、養成研修の実態と課題、対話推進者の配置や介入による効果を明らかにすることとした。また、患者サポート体制充実加算の届出状況が横ばいで推移している背景等についても調査する。
研究方法
研究1 )研修実施団体へのインタビュー調査(2023年10月〜12月)では、対話推進者養成研修を実施する6団体を対象に、研修の実施状況・内容・修了者数・課題などを聴取した。研究2) 対話推進者の業務・研修の実態と課題および配置効果(2024年4月〜5月)では、全国の病院約8,150施設から2,000施設(患者サポート体制充実加算の算定有無で各1000施設)を抽出し、二種類の調査票を配布した(以上配布まで前年度、調査結果の分析は今年度調査)。研究3)対話推進者の業務と研修に関する指針改定に向けてのヒアリング調査(2024年9月〜11月)では、対話推進者、安全管理者、管理者等、全国8施設11名を対象に調査を行った。
研究1~3の結果・考察を基に、今年度研究班で改定案を作成し有識者に確認、意見をふまえ表現等を調整し改定案を作成した。
結果と考察
研究1は6団体に調査を実施した。研修修了者数は対話推進者の業務指針が策定された2013年から2022年までに6団体の合計で計35,559名であった。受講職種、研修の内容、研修形態などについて調査がなされた。
研究2は、看護部長用調査票では、医療機関における相談体制や対話推進者の配置状況、配置効果、患者サポート体制充実加算の届出状況や意向等が明らかになった。対話推進者は、医療有資格者である看護職やMSWが多かったが、養成研修の受講率は非医療職に比べ低かった。患者サポート体制充実加算の届出施設では加算を継続する意向が高かったが、未届出施設では人員配置が課題とされていた。対話推進者の配置により、患者対応における職員の負担軽減やクレームの重大化防止などの効果が認識されていた。対話推進者用調査票では、対話推進者の業務の実施状況について、職員に対する教育や研修に関する業務は十分実施できておらず、事例分析や結果の活用、説明と対話の文化醸成に関する業務や患者・家族への一次対応に困難を感じていた。研修に対して、職員研修や実践の分析・評価に関する研修内容が不十分と感じており、患者対応の基本となる研修内容には業務を行う上で十分とする回答が多かったが、さらに充実すべきという意見も一部あった。医療安全部門との連携について、回答者の3割は定期的な会議等の機会がなく、連携が十分でないと捉えていた。
研究3では、全国8施設11名へのヒアリングを実施した。職員研修、医療事故(医療事故調査制度における医療事故と、それ以外の不具合事案を含む)対応、説明と対話の文化の醸成が困難な背景には、対話推進者の認知や役割の不明確さが共通していた。研修は段階的体系の必要性や、職種に関わらず受講することが望ましいとの意見が挙がった。医療事故対応では、医療安全部門との役割分担や連携の不明確さが課題とされ、研修での制度理解や連携における役割等の提示が求められた。また職員支援を業務として位置付けること、暴力・カスタマーハラスメントに対しては対話推進者の役割ではないが組織的対応の知識と体制整備の推進が求められた。患者サポート体制充実加算の課題は研究2と同様であるが、対話推進者の配置効果が見えにくく、患者サポート体制充実加算の届出のインセンティブにならないことなどが指摘された。
結論
研究1~3から、次の観点で対話推進者の業務・養成指針の見直しが必要であることが示唆され、①医療安全との連携の明確化:連携の具体的内容を明文化し、対話推進者が関与すべき場面等を明確にする②自ら相談を受け、患者・家族と職員との対話促進を行う役割の明示:相談窓口としての対応に加え、対話を促進し、各部署が自立的に対応できるよう支援する役割を明示③患者・家族支援だけでなく職員支援も業務として位置付ける必要:職員に対する支援が日常的に行われていることを業務として明記し、研修や評価にも反映④医療事故の対応時における対話推進者の役割の明確化:事故初動からの関与を検討し、医療安全管理者との役割分担を含め業務指針上に明示⑤「説明と対話の文化」の意味と具体実践の明確化:説明と対話の文化が意味することを明記し、それを現場で実践するための方法を示す。これらをふまえた新たな業務指針が必要と考え、研究班で改定案を提案した業務の見直しに伴う研修プログラム作成指針についても改定案を示した。具体的な修正箇所は新旧対照表に示している。患者サポート体制充実加算の届出を推進するためには、対話推進者の配置効果を可視化することが重要と考える。

公開日・更新日

公開日
2025-11-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-11-07
更新日
2026-01-06

行政効果報告

文献番号
202421044C

収支報告書

文献番号
202421044Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,000,000円
(2)補助金確定額
326,000円
差引額 [(1)-(2)]
674,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 124,500円
その他 1,614円
間接経費 200,000円
合計 326,114円

備考

備考
自己資金114円

公開日・更新日

公開日
2026-03-30
更新日
-