文献情報
文献番号
202421043A
報告書区分
総括
研究課題名
遠隔医療推進のための課題抽出とエビデンス構築のための方向性の提示に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23IA2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
南学 正臣(国立大学法人東京大学 医学部附属病院 腎臓・内分泌内科)
研究分担者(所属機関)
- 黒木 春郎(医療法人社団嗣業の会 外房こどもクリニック)
- 涌水 理恵(筑波大学 医学医療系)
- 小池 創一(自治医科大学 地域医療学センター地域医療政策部門)
- 窪田 満(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 総合診療部)
- 平川 陽亮(東京大学 医学部附属病院)
- 菅原 有佳(東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科)
- 岩上 将夫(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
2,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我が国においてオンライン診療に関する規制は大幅に緩和されているにも関わらず、電話や情報通信機器を用いた診療を実施できるとして登録した医療機関数は、令和2年6月以降ほぼ横ばいで推移しており、全医療機関の15%に留まっている。個々の好事例の展開は進められているものの、オンライン診療を利用することによる疾患のアウトカムの向上等、オンライン診療を利用した医療の質についてのエビデンスは乏しいのが現状である。今後適切で質の高いオンライン診療その他の遠隔医療を普及させるためには、課題を明確化するとともに、その安全性や有効性に関する情報を蓄積、分析し、社会全体で共有される必要がある。
本研究では、①インタビュー調査・アンケート調査を通じて本邦におけるオンライン診療の導入を阻む要因を明確化することを目的とする。また、②オンライン診療の研究における評価指標についてのスコーピングレビューや、③D to D/D to P with Dが適した領域に関してのスコーピングレビューを実施することで、オンライン診療の必要性、安全性や有効性に関するエビデンスを体系的に構築するに当たっての方向性を提示することを目的とする。
本研究では、①インタビュー調査・アンケート調査を通じて本邦におけるオンライン診療の導入を阻む要因を明確化することを目的とする。また、②オンライン診療の研究における評価指標についてのスコーピングレビューや、③D to D/D to P with Dが適した領域に関してのスコーピングレビューを実施することで、オンライン診療の必要性、安全性や有効性に関するエビデンスを体系的に構築するに当たっての方向性を提示することを目的とする。
研究方法
[調査①] 患者・医師・事務担当者の各数名にインタビュー調査を実施し、その結果を踏まえてアンケート調査の設問を実施した。本邦におけるオンライン診療の実施状況及びオンライン診療の導入を阻む要因を調査するために、医療提供側(医療機関:全国から層別抽出された4,900機関)と医療受領側(患者・健常者:インターネットパネルの40,000人)という医療に関係する二大集団に対して大規模アンケート調査を実施した。
[調査②] 遠隔診療と対面診療を比較する際の評価指標についてのスコーピングレビューでは、これまでに実施されたランダム化比較試験についてMEDLINEおよびEmbaseを検索した。
[調査③] D to D/D to P with Dが適した領域に関してのスコーピングレビューを行った。
[調査②] 遠隔診療と対面診療を比較する際の評価指標についてのスコーピングレビューでは、これまでに実施されたランダム化比較試験についてMEDLINEおよびEmbaseを検索した。
[調査③] D to D/D to P with Dが適した領域に関してのスコーピングレビューを行った。
結果と考察
[調査①] 患医療提供側におけるオンライン診療実施率は16.2%(793/4,900)、医療受領側におけるオンライン診療経験率は5.29%(1956/36,998)にとどまった。両方の集団で共通して最も多く挙げられたオンライン診療の普及を妨げる要因は、「検査や処置のために対面診療への切り替えが必要となること」、「オンライン診療に関する認知度の低さ」、「教育の不足」なのであった。また、医療受領側の調査において、近隣に病院が多い場合や、対面診療が手間と感じる場合、オンライン診療を利用する傾向にあり、同時にオンライン診療に対して満足する傾向にあった。
[調査②] 初期検索で抽出された2,275件のうち最終的に79件が含まれた。頻度高く用いられた評価指標は、患者中心性(patient-centeredness)、患者アウトカム(patient outcomes)、費用対効果(cost effectiveness)の3項目にまとめることができたが、これら3つを網羅していたのは32%(25/79)にとどまった。これまで用いられた頻度は低いが、重要であり今後利用を検討されるべき指標としては、スタッフの利便性(staff convenience)、システムの使いやすさ(system usability)、環境への影響(environmental impact)が同定された。
[調査③] 初期検索で得られた英語論文173報から79報を抽出した。今回の探索では2010年代の論文が最も多く、アメリカ、カナダ、オーストラリアからの報告が多かった。疾患領域としては整形外科領域、皮膚科領域、内科領域の順に報告が多く、これらの領域でのD to DあるいはD to P with Dの需要が窺われた。
[調査②] 初期検索で抽出された2,275件のうち最終的に79件が含まれた。頻度高く用いられた評価指標は、患者中心性(patient-centeredness)、患者アウトカム(patient outcomes)、費用対効果(cost effectiveness)の3項目にまとめることができたが、これら3つを網羅していたのは32%(25/79)にとどまった。これまで用いられた頻度は低いが、重要であり今後利用を検討されるべき指標としては、スタッフの利便性(staff convenience)、システムの使いやすさ(system usability)、環境への影響(environmental impact)が同定された。
[調査③] 初期検索で得られた英語論文173報から79報を抽出した。今回の探索では2010年代の論文が最も多く、アメリカ、カナダ、オーストラリアからの報告が多かった。疾患領域としては整形外科領域、皮膚科領域、内科領域の順に報告が多く、これらの領域でのD to DあるいはD to P with Dの需要が窺われた。
結論
オンライン診療において、対面診療が手間と感じる人たち、近隣に病院が多い人たちも重要な対象である。オンライン診療の適切な普及のために、「オンライン診療に関する認知度の低さ」、「教育の不足」を解消する必要がある。
今後の遠隔医療研究においては、患者中心性、患者アウトカム、費用対効果に加え、スタッフの利便性、システムの使いやすさ、環境への影響も検討すべきである。
遠隔医療においてはD to DあるいはD to P with Dの需要は整形外科領域、皮膚科領域、内科領域で大きいと考えられる。
今後の遠隔医療研究においては、患者中心性、患者アウトカム、費用対効果に加え、スタッフの利便性、システムの使いやすさ、環境への影響も検討すべきである。
遠隔医療においてはD to DあるいはD to P with Dの需要は整形外科領域、皮膚科領域、内科領域で大きいと考えられる。
公開日・更新日
公開日
2025-10-03
更新日
-