文献情報
文献番号
201005018A
報告書区分
総括
研究課題名
向精神薬の処方実態に関する国内外の比較研究
課題番号
H22-特別・指定-021
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中川 敦夫(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター 臨床研究支援部臨床研究支援室)
研究分担者(所属機関)
- 中林 哲夫(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター 臨床研究支援部臨床研究支援室)
- 三島 和夫(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神生理研究部)
- 稲垣 中(慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科)
- 佐渡 充洋(慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室)
- 吉尾 隆(東邦大学薬学部 医療薬学教育センター 臨床薬学研究室)
- 宮本 有紀(東京大学大学院 医学系研究科 精神看護学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
診療報酬や診療録データを用いてわが国の向精神薬の処方実態を調査する。また、向精神薬の処方患者の特性を踏まえた薬剤師、看護師による向精神薬に対する有用な情報提供・支援について検討する。
研究方法
診療報酬データ(約30万人)及び診療録データ(約1000人)を用いた向精神薬処方に関する実態調査研究を行った。また、薬剤師、看護師による向精神薬に対する効果的な情報提供・支援法に関するエビデンスの分析とヒアリング調査を行った。
結果と考察
処方実態調査に関しては選択バイアスなどデータ解釈には十分に注意をすべき点はあるものの、わが国の一般人口における抗うつ薬、睡眠薬、抗不安薬の処方率は各々2.6%、4.7%、5.0%とヨーローパや台湾の調査と同程度であったことが認められた。一方、わが国の一般人口における抗うつ薬処方率については1996年のアメリカの半分、急峻な伸びを認めた以降の2005年のアメリカとでは1/4程度の処方率にとどまっていたことが示された。また、わが国の一般人口における抗うつ薬は男性の50歳以降において年齢とともに処方率が低下する傾向が示された。わが国の一般人口および精神科医療機関における抗うつ薬の単剤処方率は約70-80%でアメリカと韓国のデータと同程度であったことが認められた。
抗うつ薬、睡眠薬、抗不安薬の平均1日処方力価は治療ガイドラインが推奨する範囲内にピークを有し、処方力価の増加とともにその処方数は減少するもののレンジは広かった。また、一般人口における2005-2009年の5年間で抗うつ薬、抗不安薬の多剤処方率は減少傾向を示したのに対して、睡眠薬処方は2剤併用処方率は微増が認められた。
向精神薬に対する情報提供・支援に関しては、向精神薬の薬理作用に関する教育資材とShared Decision Making(SDM)を念頭とした患者とのコミュニケーションスキルの向上に関する補助資材が必要であることが明らかになった。
抗うつ薬、睡眠薬、抗不安薬の平均1日処方力価は治療ガイドラインが推奨する範囲内にピークを有し、処方力価の増加とともにその処方数は減少するもののレンジは広かった。また、一般人口における2005-2009年の5年間で抗うつ薬、抗不安薬の多剤処方率は減少傾向を示したのに対して、睡眠薬処方は2剤併用処方率は微増が認められた。
向精神薬に対する情報提供・支援に関しては、向精神薬の薬理作用に関する教育資材とShared Decision Making(SDM)を念頭とした患者とのコミュニケーションスキルの向上に関する補助資材が必要であることが明らかになった。
結論
本研究成果から、わが国におけるうつ病をはじめとする精神疾患の適切な治療を推進する上での重要な実証的データが示され、また向精神薬に対する情報提供・支援をするためのポイントが示された。
公開日・更新日
公開日
2011-09-14
更新日
-