文献情報
文献番号
201005017A
報告書区分
総括
研究課題名
精神疾患の受療中断者や未治療者等を対象としたアウトリーチ(訪問支援)の支援内容等の実態把握に関する研究
課題番号
H22-特別・指定-020
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
萱間 真美(聖路加看護大学 精神看護学)
研究分担者(所属機関)
- 福田 敬(東京大学大学院 医学系研究科)
- 伊藤 順一郎(独立行政法人国立精神・神経研究センター精神保健研究所 社会復帰研究部)
- 野中 猛(日本福祉大学 社会福祉学部)
- 野口 正行(岡山県精神保健福祉センター)
- 三品 桂子(花園大学 社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成23年度より実施予定の「精神障害者アウトリーチ推進事業」に向けて、未治療の者、治療を中断している重症な患者などに対し、多職種チームによるアウトリーチ(訪問支援)サービスの実践モデルと事業推進に向けた提言のために、先駆的に活動しているアウトリーチケアの実態把握を目的とした。
研究方法
行政、医療、福祉の機関を対象に、具体的事例について、①事例の基本的情報、②事例と関与した状況とその理由、③サービス開始までの状況、④サービスの契約締結までの状況、⑤サービス提供開始後の状況について調査した。あわせて、ケア提供時間(直接・間接ケア)、頻度、人員、資格等の情報を得た。回収したデータの分析は、①各事例にアウトリーチ支援の焦点を示すタイトルをつける、②各事例の基本情報について集計する、③支援の焦点と事例の背景を合わせて援助類型(援助モデル)を抽出する、④アウトリーチ支援について従来の制度でカバーできるケア時間とそうでないケア時間を区別して算出するというプロセスを経た。
結果と考察
計32事例のアウトリーチ支援の実態を把握した。男性17名、女性14名、主診断は統合失調症が24名(75.0%)で最も多く、施設・事業所が事例に関与した際の状況は、「治療を中断しており、放置すれば本人の意思によらない医療が必要となる」と「『ひきこもり』のため、放置すれば地域生活の継続が困難となる」が12名ずつで最も多かった。事例への支援内容、事例の背景である基礎データを統合し、「未治療型」「受療中断型」「定着支援型」の3類型が抽出された。アウトリーチ支援体制モデルとして、援助類型「未治療」の対象に対するアプローチとして「未治療・医療へのアクセス開始型モデル」と、「定着支援」および「受療中断」の対象に対するアプローチとしての「受療中断・地域生活の質向上モデル」を提言した。実効性のある支援とするために、支援対象の判定、施設・事業所への委託等を行うための会議体(判定会議)が必須といえ、都道府県等自治体の関与が望まれる。
結論
アウトリーチ支援の内容を分析した結果、「未治療型」「受療中断型」「定着支援型」の3類型が抽出され、これらの対象には「未治療・医療へのアクセス開始型モデル」「受療中断・地域生活の質向上モデル」によるアウトリーチ支援の実施が考えられる。実効性を上げるために会議体(判定会議)への都道府県等自治体の関与が望まれる。
公開日・更新日
公開日
2011-05-31
更新日
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