胚性幹細胞(ES細胞)、人口多能性幹細胞(iPS細胞)及び体性幹細胞の樹立及び分配に関する指針策定のための調査研究

文献情報

文献番号
201005015A
報告書区分
総括
研究課題名
胚性幹細胞(ES細胞)、人口多能性幹細胞(iPS細胞)及び体性幹細胞の樹立及び分配に関する指針策定のための調査研究
課題番号
H22-特別・指定-016
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松山 晃文(財団法人 先端医療振興財団 再生医療研究開発部門 膵島肝臓再生研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 青井 貴之(京都大学iPS細胞研究所規制科学部門)
  • 末盛 博文(京都大学再生医科学研究所附属幹細胞医学研究センター)
  • 内田 恵理子(国立医薬品食品衛生研究所遺伝子細胞医薬部第1室)
  • 古江 美保(独立行政法人 医薬基盤研究所 難病・疾患資源研究部 培養資源研究室 )
  • 辰井 聡子(明治学院大学 法学部)
  • 重松 美加(国立感染症研究所 感染症情報センター 第1室)
  • 堀口 逸子(順天堂大学 医学部 公衆衛生学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に基づき、ヒト体性幹細胞を用いる再生医療臨床研究は適正に推進されている。これまでの指針は、同一研究機関内での細胞の培養等を想定していた。そのため、今後想定される胚性幹細胞(ES細胞)あるいは人工多能性幹細胞(iPS細胞)を細胞源として用いる臨床研究のように、ES/iPS細胞樹立・分配機関とそれを臨床研究に用いる研究機関が同一でない場合には対応しきれない。本研究は、これら臨床研究に用いるES/iPS細胞の樹立・分配に際して必要となる項目、内容等を明確化し、新指針策定に寄与、もって再生医療の適切な推進という政策に資することを目的とする。
研究方法
本研究では、国内外における体性幹細胞、ES細胞及びiPS細胞を取り巻く状況及び関連する指針等の調査分析を行い、樹立分配に際して必須となる項目、内容等を明確化する。そのため、諸外国の規制等策定状況にかかる調査を実施し、それら成果をベースとし、
(1) 原材料としての余剰胚・組織あるいは細胞のprocurement
(2) 当該原材料を用いたES細胞・iPS細胞・体性幹細胞の樹立
(3) 樹立されたES細胞・iPS細胞・体性幹細胞の貯蔵
(4) 貯蔵されたES細胞・iPS細胞・体性幹細胞の分配
(5) 原材料としての余剰胚・組織あるいは細胞のprocurementからみた同意取得のあり方
(6) ドナーとES細胞・iPS細胞・体性幹細胞の連結性・匿名化方法のあり方
を中心的に検討を加え、必須とされる要件を議論し、これら項目を取りまとめる。
結果と考察
これまでの厚生労働省告示「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」においては、各医療研究機関にて組織・細胞採取から調製、投与、そして経過観察までが一貫して行われる場合を主に想定していた。医療科学技術の長足の進歩により、ES細胞・iPS細胞の臨床応用への展望が開かれ、今後ある施設で樹立されたES細胞・iPS細胞・体性幹細胞が他施設にて調製工程をへて臨床研究が実施されることが想定される。しかし、ES細胞あるいはiPS細胞といった細胞株の樹立に関する規定とその貯蔵と分配に関する基準がなく、現状の指針では十分に対応できないことが明らかとなった。
結論
品質が十分担保されないES細胞やiPS細胞を用いるヒト幹細胞臨床研究が行われるという、公衆衛生上ゆゆしき事態を忌避するため、何らかの形で指針が策定されることが望ましい。当該指針により、再生医療の一層の推進が可能となり、今まで治療法等がなかった患者の新規治療法を確立する道筋がつけられることとなろう。

公開日・更新日

公開日
2011-07-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-01-04
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201005015C

成果

専門的・学術的観点からの成果
これまでの厚生労働省告示「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」においては、各医療研究機関にて組織・細胞採取から調製、投与、そして経過観察までを一貫して行われる場合を主に想定していた。ES細胞・iPS細胞の臨床応用への展望が開かれ、今後ある施設で樹立されたES細胞・iPS細胞・体性幹細胞が他施設にて調製工程をへて臨床研究が実施されることが想定されるが、ES細胞あるいはiPS細胞といった細胞株の樹立に関する規定とその貯蔵と分配に関する基準がなく、現状の指針では対応しきれないとの成果が得られた。
臨床的観点からの成果
これまでの厚生労働省告示「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」においては、各医療研究機関にて組織・細胞採取から調製、投与、そして経過観察までを一貫して行われる場合のみならず、今後ある施設で樹立されたES細胞・iPS細胞・体性幹細胞が他施設にて調製工程をへて臨床研究が実施されることが想定される。そのための細胞株の樹立に関する規定とその貯蔵と分配に関する基準策定にむけた資料収集と議論すべき論点が得られた。
ガイドライン等の開発
平成23年度以降のヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針見直しWGにて参考にされると認識。
その他行政的観点からの成果
平成23年度以降のヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針見直しWGにて参考にされると認識。
その他のインパクト
該当なし

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
松山晃文
トランスレーショナルリサーチと生命倫理
シリーズ生命倫理学全 20 巻 第15巻 第11章  (2011)

公開日・更新日

公開日
2015-05-27
更新日
2019-05-21

収支報告書

文献番号
201005015Z