看護師が行う医行為の範囲に関する研究

文献情報

文献番号
201005011A
報告書区分
総括
研究課題名
看護師が行う医行為の範囲に関する研究
課題番号
H22-特別・指定-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
前原 正明(防衛医科大学校 外科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 信友 浩一(福岡市医師会成人病センター)
  • 川越 正平(あおぞら診療所上本郷)
  • 小松 浩子(慶應義塾大学看護学専修慢性臨床看護分野)
  • 成田 康子(兵庫県立こども病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
8,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、患者の高齢化・重症化、医療の高度化・複雑化が進行し、現医療を維持、発展させるためには、「良質なチーム医療の推進」が切望される。
平成22年3月19日チーム医療の推進に関する検討会の提言を受けて,「特定の医行為」の範囲、特定看護師の要件等を検討し、基礎資料作成のために、調査を実施した。 
研究方法
平成22年6月文献・先行研究等から203医行為・診療業務を選定した。
平成22年8月:「看護業務実態調査」、平成22年10月:「学会・職能団体への聞き取り調査」実施、
上記2調査の結果分析、検討総括、試案・報告書作成した。
結果と考察
203の医行為・診療業務に関して、現在、看護師が実施しているか否かと今後、創設される予定の特定看護師が実施可能か否かを医師、看護師に質問WEB調査した。医師、看護師両者ともに、現在より今後に「看護師、特定看護師の実施が可能」であるという割合が大きく、両者ともに看護師の業務拡大に、大いに、前向き、積極的であった。この傾向は,特定機能病院、500床以上の病院の医師・看護師と医師、専門・認定看護師に強く見られた。203の医行為を「現在実施している割合」を縦軸と「今後実施が可能の割合」を横軸としてプロットし、散布図を作成し、検討した。この203医行為を大きく3群領域に分類した:第1群;現在でも看護師の実施が十分可能なもの、現在、今後とも60-70%以上可能と回答された医行為 第2群;今後も医師が実施すべき高度な絶対的医行為、現在10%未満、今後20%未満可能と回答された医行為、第3群;第1群と第2群の間で残りの医行為、この第3群の中から、特定看護師が実施可能の回答割合が、一般看護師が実施可能の回答割合より、大きく上回る医行為の中で、特定看護師養成・業務試行事業を勘案し、高度教育・臨床実践能力を備え持った特定看護師が行える特定の医行為として選定した。
結論
本研究結果と現在進行中の「特定看護師養成調査・業務試行事業」のデータ等を総括し、特定看護師の業務範囲や要件を検討した。特定看護師の教育養成課程とその知識・能力・技術の評価は、公的第3者機関が実施すべきである。安心、安全、高質の医療を受けたいと望む患者・国民のために、特定看護師制度を法制化し、米国を中心に広く普及し、良好に機能しているNP/PA制度導入(非医師高度診療師・中間職種創設)を検討し、新しい良質なチーム医療確立が不可欠である。

公開日・更新日

公開日
2011-07-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201005011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
チーム医療推進の観点から、一定の医学的教育・実務経験を前提に専門的な臨床実践能力を有する看護師(以下「特定看護師」(仮称))が、従来、一般的には「診療の補助」に含まれないものと理解されてきた一定の医行為(「特定の医行為」)を医師の指示を受けて実施できる新たな枠組みを構築する。これまで絶対的医行為と解釈されていた領域及び診療の補助との区別が明確にされていなかった領域の医行為を抽出、分類し、203項目の医行為・診療業務を選定し、看護業務実態調査を行い、特定看護師が行える特定の医行為を選定した。
臨床的観点からの成果
本研究は、「特定の医行為」の範囲、特定看護師の要件、特定看護師養成課程の認定基準等を検討する「チーム医療推進会議」と「チーム医療推進のための看護業務検討WG」に、基礎データ・検討資料を提供する有益な役目を果たした。医学医療実践教育を中心にしたカリキュラムのもとに、充実した教育・実習を行った、優れた臨床実践能力を習得した特定看護師(初期研修医に劣らない実践臨床能力を有した)が誕生すれば、医師と協働し、周術期管理、医療の質、安全性、効率性上昇が期待される。
ガイドライン等の開発
第13回チーム医療推進のための看護業務検討WG(2011年4月27日):資料;これまでの検討の整理、参考資料4;看護業務実態調査 結果概要(抜粋)において、医療現場等で一定のトレーニングを積み重ねた看護師による実施が望まれる業務・行為(70%以上実施可能の調査結果)、現行の看護基礎教育で対応可能であり看護師の更なる活用が望まれる業務・行為(80%以上実施可能の調査結果)が看護業務として実施される際に看護師一般が実施可能な業務・行為として提示された。
その他行政的観点からの成果
第3回(2010-9-27)、第4回(2010-10-6)、第5回(2010-10-20)、第14回(2011-5-16) チーム医療推進のための看護業務検討WGに、本研究の看護業務実態調査結果を提出し、特定看護師制度導入の施策、検討において、大いに活用された。第3回(2010-10-29)チーム医療推進会議において、本看護業務実態調査結果を報告し、チーム医療推進の施策に寄与した。
その他のインパクト
本研究の看護業務実態調査をそのまま使用して、日本医師会が調査した。その結果、データは、チーム医療推進、特定看護師導入等の施策実行に際し、補完的に寄与した。
2010-5より現在まで、各種マスコミ(全国紙新聞、医療関係メディア、テレビ、ラジオ等)、
外科学会、胸部外科学会、循環器学会、臨床外科学会、その他多数関連学会がチーム医療推進、特定看護師制度導入等に関心を持ち、取り上げ、関係者各位、国民に広報した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201005011Z