統合医療の情報発信等の在り方に関する調査研究

文献情報

文献番号
201005007A
報告書区分
総括
研究課題名
統合医療の情報発信等の在り方に関する調査研究
課題番号
H22-特別・指定-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
福井 次矢(聖路加国際病院)
研究分担者(所属機関)
  • 渥美 和彦(一般社団法人日本統合医療学会)
  • 寺澤 捷年(千葉メディカル中央センター)
  • 鈴木 隆雄(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 山本 精一郎(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報・統計部)
  • 丸井 英二(順天堂大学医学部 公衆衛生学教室)
  • 高橋 理(聖路加国際病院 一般内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
12,285,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
統合医療(伝統医療および相補・代替医療)の、(1)安全性、有効性、経済性等についての評価のあり方、(2)国民への情報提供の実態調査およびそのあり方、について検討する。
研究方法
統合医療の評価方法の問題点については、過去に行われた研究報告書をレビューし、議論・検討した。情報提供の実態については、インターネット上での質問票調査を行った。外国(米国、インド、韓国)の状況については、文献調査、インターネットでの検索、関連機関・施設への訪問調査などを行った。
結果と考察
(1)統合医療の安全性や有効性、経済性等に関する評価は、基本的にはEBMの手法が適用できるが、更なる工夫・開発が必要である。疾病や病態の概念(病態概念)が西洋医学と統合医学で異なる場合は、臨床試験の結果の解釈・臨床応用上、注意が必要である。
(2)国民が統合医療を利用する際に参考とするのは「価格」が最も多く(58.9%)、「一般の人々の体験談」と「研究結果(データ)の提示」、「効果を示す文句」がそれぞれ40%弱であった。統合医療は、多くの国民にとって、医療というよりも一般消費財と捉えられているとも言えよう。
(3)2001年?2009年の新聞記事中、統合医療関係の単語が扱われていた記事は年間平均118件(約10件/月)で、2008年、2009年は減少傾向を示していた。
(4)統合医療の専門医の養成は、インドや中国、韓国のように医学部教育から西洋医学とは別のコースを設ける国と、米国のようにメディカルスクールを卒業した後、研究員(フェロー)を養成する国とがある。
(5)米国Harvard Osher Research CenterでのFellowshipプログラムでは、臨床疫学や統計学など、臨床研究の方法論が教えられていて、統合医療の厳格な評価に貢献している。
(6)米国NCCAMでは、一般国民向け、医療従事者向けの統合医療の情報提供が、、主としてインターネットを介して行われている。
(7)インドや中国、韓国では国家戦略のもと、統合医療を推進すべく、学術面、産業面での支援が行われている。
結論
統合医療の安全性、有効性、経済性等に関する評価は、基本的にはEBMの手法で評価しうるが、更なる工夫・開発が必要である。わが国での情報提供、専門医養成、国家的推進策について、インドや中国、韓国から学ぶ点は多い。

公開日・更新日

公開日
2011-07-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201005007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
従来、統合医療の安全性や有効性に関する評価は、他の分野とは異なり、EBM(Evidence-based Medicine)の概念・手法では不可能との意見が少なくない。その背景には、EBMの誤解があるように思われる。EBM自体、不完全であいまいさを含む概念・手法ではあるが、現在までのところ、EBMに優る評価方法が提言されておらず、統合医療も、基本的にはEBMの概念・手法によって評価されるべきであろう。

臨床的観点からの成果
統合医療の安全性や有効性の評価は、EBMの概念・手法が適用される他の分野の医療とは根本的に異なった手法で行われるべきであるとの考えが改められれば、EBMの手法での臨床評価が促され、ひいては患者の受ける診療の質、医療の質の向上につながるであろう。

ガイドライン等の開発
ガイドライン等の開発は行わなかった。
その他行政的観点からの成果
国民が統合医療を利用する場合に参考とするのは「価格」が最も多く(58.9%)、「一般の人々の体験談」や「研究成果(データ)の提示」、「効果を示す文句」などが40%弱で続くこと、外国の中には、統合医療の一般向け・医療者向けの情報提供やこの分野における専門医の養成、産業支援において、わが国とは異なる体制がとられていること、などについて共通認識を持つことができた。
その他のインパクト
統合医療について、安全性や有効性、経済性などに関する科学的評価(研究)を促すとともに、研究成果を体系的にまとめ、迅速に一般国民及び医療者に提供できるような国家レベルの体制整備、さらにはそれらの活動を支える医療者や研究者の養成(教育)、産業面での支援などについて、国としてのビジョンを早急に策定し、実行に移す必要性が実感された。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201005007Z