救急救命士の処置範囲に係る実証研究のための基盤的研究

文献情報

文献番号
201005001A
報告書区分
総括
研究課題名
救急救命士の処置範囲に係る実証研究のための基盤的研究
課題番号
H22-特別・指定-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
野口 宏(藤田保健衛生大学 医学部 救急科)
研究分担者(所属機関)
  • 郡山一明(救急救命九州研修所・病院前救護体制・救急救命士教育)
  • 横田裕行(日本医科大学大学院・侵襲生体管理学)
  • 浦島充佳(東京慈恵会医科大学分子疫学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成21年度に開催された救急救命士の業務のあり方等に関する検討会において、①血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与、②重症喘息患者に対する吸入β刺激薬の使用、③心肺機能停止前の静脈路確保と輸液の実施、の3行為について、救急救命士の処置範囲拡大を念頭に置き、各行為の有効性や安全性等に関して、救急医療現場での実証研究を行うこととなった。本研究は、上記検討会の答申を受け実施するものであり、検討会の結果を踏まえ、実証研究の研究プロトコール等を策定することを目的とする。本3行為が救急救命士の業務として認められることにより、これまで救うことの出来なかった命を救命することが望まれる。
研究方法
(1)研究デザイン・データ分析班が、方針の決定、外部交渉、データの解析、報告書の作成を行った。(2)倫理問題検討班は、倫理的課題、行政による省令等の整備、地域MC協議会での教育・検証体制、救急現場での同意の取得法、個人情報保護等への対応の検討を行った。(3)マニュアル作成班が、研究の対象者の確定、教育プログラムと教育教材の作成、活動アルゴリズムと医師の業務マニュアルの作成を行った。
結果と考察
3行為の妥当性と安全性を確認するための実証研究について、プロトコールの作成を行った。本プロトコールにおいては、介入によりどの程度の効果を得られるかの参考値がなく、必要対象数の計算に影響を与える可能性がある。本研究は搬送時間が長い地域において介入効果が認められる可能性があり、参加MCの選定の際、注意する必要があると思われる。
結論
救急救命士は、救急現場における傷病者に対する処置、適切な搬送先医療機関の選定、迅速な搬送、搬送途上における処置等、その役割はますます重要となっている。本研究は、3行為それぞれについて、フローチャート、エンドポイント、サンプルサイズの検討、承諾・同意の取得法、各種マニュアルの作成をすることができ、これらを用いて、今後(次年度)の実施プロトコールについて、そのフィージビリティや安全性等を検証することができる。また、実施地域を公募・選定する際、該当疾患の搬送件数、教育体制、地理的な特性、全国的なバランスなども考慮することができるだろう。選定後は当該地域の指導医向けの研修会及び救急救命士向け研修会を実施し、研修の完了した地域MC協議会から順次、ベースラインデータの収集、介入データの収集へと進むことができる。

公開日・更新日

公開日
2011-07-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201005001C

収支報告書

文献番号
201005001Z